トルコライス

　長崎を離れて3年近い。
　駅前の再開発を始め、故郷が変貌して行くのを半年ごとに見ている。
　馴染みのお店が消えていき、新しいお店が増えていく。
　もうあの店はないのかと立ち尽くすことも多い。

　旧友が営んでいた店に、新しい店舗が入っていた。
　新地中華街の中程にある店舗だった。ほぼ居抜きで運営されているみたいで、調度や照明も懐かしい空気がある。
　しかしそこはもう別空間なのだろうと思う。

　諫早に古馴染みのお店がお正月でも営業していた。
　車を転回させてそこに向かう。
　長崎の地元料理であるトルコライスを注文する。もう還暦に近いので食欲なんてかつてほどではない。男性でも頼めるレディーストルコにした。
　どうしてこの料理がトルコライスと呼ぶのかは諸説ある。
　私はトリコロールではないのか、という説を信奉している。
　基本はチキンライスにカレー、それにパスタついて揚げ物として豚カツとかエビがつく。そのバリエーションでは無限大だし、100以上のレシピをあげているお店もある。
　そのカウンターで食事をしながら、かつての相方を思い出す。
　それぞれのボックス席で交わした会話が、残像のように蘇る。