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✅40代男性【老親の習慣 改めさせたい】を選択理論でコーチング人生案内#138

◇今回は、相談者が「相手の行動を変えさせたい」という事例です。

40代の男性です。高齢の親の習慣を変えてもらうのに、よい説得方法はないものでしょうか。

 ゴミの分別や衣類の片づけ方などのお願いを聞き入れてもらえません。虫やカビ、においの防止のためと、衛生上の理由を説明しても、聞く耳を持ってもらえません。それどころか、うるさがって怒り出す始末です。

 注意してばかりでは互いに息苦しく、残りの人生を少しでも楽しく過ごしてもらいたいので、塩分過多や間食などについて指摘することはやめました。しかし、この先、介護施設にお世話になった時、規則を守れずに不当な扱いを受けないかなど、飛躍した心配までしてしまいます。

 親子のある種の上下関係というのはいつまでたってもあるでしょうから、子どもに注意されるのは気持ちの良いものではないでしょう。習慣を変えさせようとする私が高慢なのかもしれません。

 それでも、かたくなな態度を改めてもらえるような助言を頂きたいと思っています。(神奈川・G男)

(2022年7月23日読売新聞朝刊)

次を参考に「相談者の答え」を引き出す質問を考えてください。

【相談者の困りごと、願いごとを考えましょう】

相談者の「困りごと」

・高齢の親に、ゴミの分別や衣類の片づけ方などの習慣を改めさせようと説得しても、かたくなに態度を改めようとせず、このままでは、介護施設に入ったときに、規則を守れず、不当な扱いを受けないかと心配で、困っている。

相談者の「願いごと」

・かたくなな親の態度を改めてもらえるような説得方法を知りたい。

相談者が満たせていない(満たしたい)基本的欲求


(力・自己価値の欲求)
 

【選択理論コーチングの三角モデル】

 

【選択理論心理学で考えてみましょう】

・自分の考え方や見方、行動は、自分が自由に選択できるし、変えられる、と考えましょう。
 
・相手の行動を変えられるのは相手本人であって、他者は助言や情報提供、リクエストができるだけ、と考えましょう。

・いやがる相手を変えようとしても、相手の抵抗を生み、人間関係が遠ざかるだけ、と考えましょう。

・変わろうとしない相手に自分が振り回されていることに気づきましょう。

・相手を批判したり、強制したり、脅したり、文句を言ったりすることはやめましょう。

・同じするなら、いやいやでなく進んでする方が自分のコントロール感も高く自由度も広がると考えましょう。 

【相談者の困りごとのパターン】を考えましょう

・高齢の親の習慣を改めさせたいが、かたくなに態度を改めようとせず、困っている。
  
(困りごとのパターン:相手をコントロールしよう(変えよう)としている。「変わろうとしない相手」に振り回されている)
 
以上を参考に、ここで、みなさんのコーチング質問を考えてみましょう。 

【心に響く回答者(出久根達郎さんの言葉】

 いやがらせの注意とは、受け取っていないはずです。家族特有の甘えでしょうか。このくらいなら許される、という身内意識がどこかにあって、約束をまもらないのだと思います。

 とがめるのは息子さんですからね。真剣に聞きませんよ。高齢者は皆そういうものです。

 同じ注意を2度、3度と繰り返すと怒りだすものです。老いを認めたくないからです。

 身勝手なものですが、これは家族の前だからです。施設などで共同生活を始めたら、この限りではないはずです。

 高齢者は習慣をなかなか変えられません。目に余ることでもなければ、あなたが代わりにしてあげたらいかがですか。たとえば、ゴミの分別はやっかいなので、教えるより、あなたが手がけた方が早いし、いらいらしなくて済むと思います。

 注意は1回だけと決めたらどうですか。それでだめなら、あきらめる。老いのなせるわざ、と割り切ると、あなたもフラストレーションをためることなく、家の中が明るくなること請け合いです。

(2022年7月23日読売新聞朝刊)

私は次のような質問を考えました(ご参考まで)

・親の生活の衛生面や、残りの人生を楽しく過ごしてほしいこと、介護施設に入ったことの心配まで、いろいろ親思いのやさしい方だと思います。ご両親は、自分たちのことをいろいろ気にかけてくれることには、感謝されているのではないでしょうか。

・一方で、ご両親にとっては、高齢になった今まで、自分たちの生活習慣なりに、うまくやってこれたのだから、今のままの習慣でこのままやっていきたい、自分たちのことは自分たちのことで、子供であっても、とやかくうるさいことを言われたくない、ということかもしれませんね。

・仮に、ご両親が、自分たちの習慣や生活の仕方のことで、何か問題が生じたとき、それを「自分たちの責任」ではなく、「息子の責任」や「他人の責任」だと考える方達でしょうか?

・また、ご両親は、できる限り、子供も含めて、人の世話にならず、人に迷惑をかけず、自立して、自分たちの好きなように生きていきたいと思われているかもしれません。

・もし、そうであるとしたら、ご両親の側から見たとき、「かたくなな態度をとっている」のは、自分たちでなく、あなたのように見えているかもしれませんね。ご両親はどなたかに、「かたくなに習慣を変えさせようとする息子を、どうやって諦めてもらえるか、説得方法がないでしょうか」と相談されているかもしれませんね。

・かといって、あなたは、仮にご両親がそのように思われていたとして、あなたの態度を改めるつもりはありますか。あなたは、ご両親がどのような行動や説得方法をとられたら、ご両親から見た「あなたのかたくなな態度」を改めようと思われるでしょうか?

・あなたも、ご両親も合意できるとしたら、「お互いに息苦しくなく、人生を少しでも楽しく過ごしたい」ということかなと思います。その方向で、「ご両親のことはご両親のこと、ご両親の責任」、「あなたのことはあなたのこと、あなたの責任」ということで、お互いの領域をきっちりと区別し、「自分の領域」でできること、したいことをしていくというのが、お互いに仲良くやっていく秘けつなのかなとも思えます。

・あなたが言われるとおり、いやがるご両親を変えようとすると、相手の抵抗を生み、ご両親との人間関係が遠ざかるだけの結果になる可能性もあります。

・ゴミの分別や衣類の片づけ方が、もし、ご家族で、誰がしてもよい仕事なのであれば、それをあなたがすることは、あなたができることでもあると思います。そのような意味で、家族の共通の仕事について、役割分担を決めるとか、役割分担ができなくて、あなたがどうしても気になるということであれば、「自分がする」という選択もあります。



今回は以上です。上の質問は、自己対話で使うと、セルフコーチングができます。お役に立てればうれしいです。それでは、また次回。


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