見出し画像

✅20代女性【母が私を無能扱い】を選択理論でコーチング人生案内#137

◇今回は、相談者が「母親に振り回されている」事例です。

 20代の女子学生。現在休学中です。母子家庭で育ち、中学時代から母に「頭がおかしい」と言われ始めました。高校では「普通にならなくては」と目立たないように生活。友達ができず、母に相談すると「あなたが悪い。悲しい人間ね」。自殺を考え、うつ病で通院すると「病院代の無駄」と言われました。

 母は昨年再婚。「相手がいるから帰ってこないで」と告げられ、現在は祖父母宅にいます。「あなたは確実に頭が悪い。お先真っ暗だから公務員になりなさい」とも。母のことを考えると具合が悪くなり、恨みすら抱きそうです。

 母はなぜ私をここまで無能扱いするのでしょうか。母の言うことが正しく、私が救いようのないゴミなのでしょうか。母は私を愛していると言います。だったら、なぜこんな発言をするのか。唯一の親に否定されたことが悲しい一方、とらわれ続けている自分が情けないです。(埼玉・B子)

(2022年7月22日読売新聞朝刊)

次を参考に「相談者の答え」を引き出す質問を考えてください。

【相談者の困りごと、願いごとを考えましょう】


相談者の「困りごと」

・中学時代から、母から愛してると言われながら、一方でずっと、無能だ、頭が悪い、私が悪いと否定され続けており、それが悲しい一方で、そのことにとらわれ続けて、母のことを考えると具合が悪くなり、恨みすら抱きそうな自分に、困っている。

相談者の「願いごと」

・母がなぜ、自分のことを無能扱いにし、否定し続けるのかの理由が知りたい。

・「自分を否定し続けている母」、「自分を否定し続ける母にとらわれ続けている自分」を乗越えたい。

相談者が満たせていない(満たしたい)基本的欲求


(愛所属の欲求、力・自己価値の欲求、自由の欲求)
 

【選択理論コーチングの三角モデルです】


【選択理論心理学のエッセンスで考えましょう】

・自分の考え方や見方、行動は、自分が自由に選択できるし、変えられる、と考えましょう。
 
・自分には、未来に向って自分が幸せになるために行動する責任がある、と考えましょう。

・相手の行動を変えられるのは相手本人であって、他者は助言や情報提供、リクエストができるだけ、と考えましょう。

・「もう一人の自分」も、「自分なりに精一杯がんばっているんだ」と考えましょう。そして、「もう一人の自分」の心の声を聴き、応援者として励まし、勇気づけてあげましょう。

・自分が満たせていない、自分にとって大切なニーズや価値観、欲求が何か、を考えましょう。

・相手の行動も、自分のと同じく、ニーズや価値観、欲求を満たすための精一杯の行動なのだと考えましょう。 

【相談者の困りごとのパターン】を考えましょう

・「自分を否定し続けている母」に振り回されて困っている。「自分を否定し続ける母にとらわれ続けている自分」に自分が振り回されて困っている。 
 
(困りごとのパターン:願いごとが叶わない。相手に振り回されている。「自分」に振り回されている)
 
以上を参考に、ここで、みなさんのコーチング質問を考えてみましょう。
 

【心に響く回答者(大日向雅美さん)の言葉】

 何とつらいご相談なのでしょう。私にはお答えするだけの言葉がない、というのが正直な気持ちです。

 でも、お手紙を読み進めていくうちに、はっとし、心打たれた言葉がありました。「母に恨みすら抱きそうになる」と書かれています。かほどの仕打ちを繰り返されたのです。母親を恨み切って当然なのに、あなたはそれを 躊躇ちゅうちょ する優しさをお持ちです。

 母親があなたに向けたひどい言動は、実は自身に向けたもののように思えます。誰しも正負両面を抱えていますが、できれば自身の負の面は見たくないもの。見て見ぬふりをしがちですが、あなたの母はそれを娘に転換して済ましてきたのです。絶対にしてはならないことですが、あなたを愛しているという言葉の魔力を借りて自覚することもしなかったのでしょう。

 ゴミのようなものを抱えているのはあなたの母親です。あなたの優しさはそれを察知する洞察力に根ざしています。ご自分の力を信じましょう。長年の疲れを癒やすために今少しゆっくり休んでください。こんな言葉しか贈れませんが、あなたの幸せを心から祈っている者がいることを覚えていただければと思います。

(2022年7月22日読売新聞朝刊)

私は次のような質問を考えました(ご参考まで)

・客観的に見ても、精神的に大変辛い環境で過ごされてきたと思います。そのように辛い環境を、中学時代から20代になられた今まで、よく生き抜いて成長してこられたのは、あなたご自身や、周りの環境、支えてくれた人などを含めて、どういうことがあったから、今まで、何とかやってこられたのでしょうか?

・今は、祖父母のところで過ごされているとのことですが、このまま「母にとらわれ続ける自分」であり続けるとすると、これから先、どのようになっていきそうなのでしょうか。いつまでがまんできそうですか? それはなぜですか?

・ここで、ちょっと変な質問をしますが、中学時代に戻ることができて、もし、お母さんが、普通のお母さんか、理想的なお母さんだったとしたら、あなたは、もう一度、どういうふうに人生を生き直したいですか? また、生き直せるでしょうか。あなたのもう一つの人生物語があり得たとしたら、どのような人生物語を生きたかったですか。

・そして、もし、中学校時代からそのようなもう一つの人生を生きることができたとしたら、あなたは、今のあなたと違って、どういう人になっているでしょうか。また、どんなことをしたいと思っているでしょうか。どんなことを手に入れたいと思っているでしょうか。できるだけ、いろいろ挙げてみてください。

・そして、もし、可能だとしたら、あなたは、今からでも、未来に向って、そのようなあなたのもう一つの生き方を、少しでもしていきたいですか?

・ところで、話は変わりますが、お母さんがあなたを無能扱いする原因が、もし、あなたの側にあるのではなく、お母さんの側に、何らかの原因や理由があるとしたら(そのことにお母さん自身が気づいていなかったり、また、決して認めようとしなかったりするかもしれません。とりあえず、お母さんのことは置いておくとして)、あなたご自身はどう思われますか。また、あなたご自身は今後どうしたいですか?  

・とはいえ、「お母さんのことにとらわれる自分」をすぐに乗越えることは難しいかもしれません。しばらくは、そのことを抱えてしまうと思います。しかし、そのことを抱えながらも、もう、中学生の無力な自分ではなく、20代の大人の女性に成長された今、お母さんとは、物理的にも、精神的にも距離を置いて、あなた自身の未来に向って、もう一つのあなたが生きていきたい物語の実現に向って、今でもできそうな小さなことから始めてみませんか?

・仮に、そのような小さなことを一つから始めていくうちに、いくつか見つかっていって、それらを1年間続けていくことができたとしたら、1年後の今日のあなたは、どういう自分になっていることができそうですか。あなた自身にどんな変化が起こっていそうですか。

・そして、もし、10年後とかに、あなたがお母さんのことを何らかの形で乗越えることができており、ご自分なりに幸せな人生を歩むことができているとしたら、「10年後のあなた」は「今のあなた」にどういうメッセージを送って、あなたを勇気づけてあげたいですか?  

今回は以上です。上の質問は、自己対話で使うと、セルフコーチングができます。お役に立てればうれしいです。それでは、また次回。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?