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✅50代女性【実父の介護 手伝わぬ義姉】を選択理論でコーチング人生案内#151

😠今回は、相談者が「義父の介護と、それを手伝わない義姉に、振り回されている」事例です……🙂

 50代の会社員女性。突然義母が亡くなり、残された認知症の義父の介護が必要になりました。長男の嫁としていつかそんな日が来るとは想像していました。

 勤務時間を調整し、義父宅の掃除や洗濯、訪問診療の立ち会いなど頑張っています。夫も介護していますが、仕事の関係で夜間早朝と休日に限られます。

 そのため、車で30分ほどの場所に住む義姉にも手伝いを頼んだのですが、期待したほどの協力を得られません。理由を聞くと、「子どもに介護されても、親は困る」「父親の面倒は誰でもみられるが、飼い犬の世話は自分しかできない」。「家庭の事情で行けません」と言われたときは、「実父の介護が家庭の事情だろう」と、あきれました。夫とは義姉をめぐり大げんか。ストレスで離婚を切り出してしまいました。

 他家に嫁いだ娘でも、実父の介護に関わるのが普通では。私の考えがおかしいですか。(東京・C子)

(2022年8月11日読売新聞朝刊)

【次のようなプロセスで、相談者の答えを引き出す質問、コーチングの展開を考えてみました】


1,相談者の「困りごと」をまとめてみると

・認知症の義父の介護を、義姉が手伝おうとしないことに、腹が立ち、納得がいかず、あきれはてて、困っている。

・義姉をめぐって、夫と大げんかをし、大きなストレスから離婚を切り出してしまい、困っている。

2,相談者の「困りごと」を「願いごと」に転換してみると

・他家に嫁いだ娘でも、義姉には実父の介護に関わってほしい。

・夫には自分の言い分を認めて、もっと義姉に、手伝うように強く言ってほしい。(推測)

・今回のことで、自分たちの家族に亀裂が入ることを避けたい。(推測)

3,【相談者の困りごとのパターン】を考えてみると

  • 願いごとが叶わない、願いごとが不明確

  • 相手や状況に振り回されている

  • 相手をコントロールしよう(変えよう)としている

  • 「自分」に自分が振り回されている
    (注:この場合の「自分」は、自分の気分や感情、喪失感、記憶、思い込み、もう一人のダメな自分、完璧主義の自分など指します)


4,以上をふまえて、次のような質問や展開を考えました

・会社勤めと、自宅の家事と、認知症の義父宅の掃除や洗濯、訪問診療の立ち会いなど、いつまで続くか分らない、大きな不安の中、本当に精一杯、よく頑張っていらっしゃると思います。

・近くに住んでいる義姉が、何かと理由を付けて、実父の介護を手伝わないことに対して、あなたの、「他家に嫁いだ娘でも、実父の介護に関わるのが普通ではないか」という考え方も、あなたの立場から考えれば、もっともだと思います。

・その上でのことですが、今回、ご相談をされて、相談が終わったときに、あなたとしてどういう状態になっていれば、相談をされた意味があったと思うことができそうですか?

・あなたにとって、今の大変な状況で、なにがどうなったらいいのでしょうか。誰に何をしてほしいのでしょうか?

・あなたがご主人に離婚を切り出されたことも、理解できますが、本当は、何がどうなったらよいのでしょうか?

・ところで、今のあなたにとって、どなたとの人間関係が一番大切ですか? その人との関係がどうでありたいのでしょうか?

・ご主人は、父の介護問題を抱え、あなたと姉の板挟みとなり、あなたから離婚も切り出された状況で、ご主人の性格から、どのくらいのストレスを抱えていそうですか?

・ご主人には、ご主人で、姉と弟の関係があり、また、介護を手伝おうとしない義姉と父親との関係も、背後には何か事情があるのかもしれませんね。

・もし仮に、あなたが「100%の聞く耳」を持っていて、ご主人として、安心して、あなたに、どんなことでも話せるとすれば、ご主人はあなたに対して、介護のこと、あなたのがんばりのこと、ご主人自身のこと、義姉のこと、家族のこと、将来のこと、などを含め、あなたにどんなことを話したいと思っていそうですか?

・また、ご主人として、申し訳ないなあと思いながらも、あなたにどういうことを期待していそうですか?

・そして、もし、あなたが先に、ご主人の心の内、頭の中を100%知ることができ、それはそれとして、ご主人の言い分をとりあえず、受け止めることができたとして、その後で、今度は、あなたが自分の伝えたいことをご主人に話されたとしたら、そのときには、ご主人の「聞く耳」は、どの程度大きくになっていそうですか?

・ご主人との間で、お互いに、100%話したいことを話せており、相手が話したいことを100%聞けている、ということを目標としたとき、今は、お互いに、自分の思うことを何%くらい話せており、相手の思っていることを何%くらい聞けていそうですか?

・もし、今回のことで、お互いに、「言いたいことはよくわかる。もっともだ」と、最初から、受け止めあうことができていたとしたら、ストレスもだいぶ違っていたのでしょうか?

・今回のことで、御主人も姉とのことで、仲たがいしたくないかもしれないし、あなたも、将来のことを考えれば、なるべくなら、義姉との関係も上手にしていければと思っていらっしゃると仮定してのことですが、今のあなた方の介護の状況のことを考えた場合に、具体的にいつどんな手助けが得られれば、あなた方として助かるのでしょうか?

・そして、そのあなた方に対する支援は、義姉でないとできないのでしょうか? 介護サービス等も含めて、どんな方法が考えられそうですか?

 そのようなあなた方が必要とする具体的な支援を考えたとき、義姉に最低限でもしてほしいことがあったとしたら、金銭的な支援を含めて、どのようなことをリクエストしたいですか?

・ご主人がどう考えていらっしゃるのか分らないですが、今回、ご主人もあなたの言い分と、義姉の言い分の両方を知ることができたということで、ご主人に義姉と上手に交渉してもらえるとしたら、最低限、義姉からどういう譲歩が引き出せれば、あなた方として、今よりは助かることになりそうですか?

 また、このようなことをご主人とよく相談できたとしたら、ご主人としても、義姉との交渉がやりやすくなりませんか?

・ところで、今回のことで、あなたは、どの程度、本気で、ご主人との離婚を考えていらっしゃるのでしょうか? 仮に離婚したとすれば、お互いにどんな将来になりそうですか?

 ご家族として、大変な試練のときかもしれませんが、この試練をご主人と共に乗越えることができたとき、そのときは、どのような家族、どのような夫婦になれていそうですか?


<今回は以上です>


<ご案内>

選択理論心理学と、選択理論コーチングの概要については、「選択理論でコーチング塾」のサイトで、図解も使って、わかりやすく紹介してます。詳しくはこちらからどうぞ。

【参考:回答者(山田昌弘さん)の言葉です】

 昔は、親の介護は長男の嫁がするものとされていましたが、現代日本では、誰が介護をするのか明白な「決まり」はなくなりました。同居家族についての統計ですが、配偶者を除くと一番多いのは「実の娘」。以下、「息子」、「嫁」と続きます。

 ただ、「介護」はできればやりたくないものです。私も母親の介護経験者ですから、いくら恩があるとはいえ、やらないで済むものならやりたくないという気持ちはわかります。ただ、家族の手前、はっきりそうは言えない。だから、きょうだい、夫婦間でいろんな理由を持ち出して負担から逃れようとしてトラブルになるのが現状です。

 そういう意味であなたは、嫁として義務を果たそうとしており、その心意気は立派に思います。離婚を切り出すくらいですから、義姉に不満をもつのは、あなたの負担が相当重荷になっているのではありませんか。

 まず、あなた自身がもう限界であると「強く」主張して、義父の施設入所を提案してみては。夫と話し合って、お金が足りなければ義姉に負担を求めてください。離婚を検討するのはその後でよいでしょう。

(2022年8月11日読売新聞朝刊)

【以下、選択理論コーチングについて補足です】

1,今回の相談者が満たせると、幸せ感が増えそうな基本的欲求

  • 愛所属の欲求(愛したい、愛されたい、仲間でありたい、仲間がほしい)

  • 力・自己価値の欲求(自分が価値ある存在でありたい、認められたい、自分を認めたい)

  • 自由の欲求(自由でありたい、自由にしたい)


2,選択理論コーチングの三角モデル

3,今回の事例で使った「選択理論心理学の考え方」

<選択理論の第1原理>
・自分の考え方や見方、行動は、自分が自由に選択できるし、変えられる、と考えましょう。
 
・自分には、未来に向って自分が幸せになるために行動する責任がある、と考えましょう。

<選択理論の第2原理>
・相手(本人)の行動を変えられるのは相手(本人)だけであって、他者は助言や情報提供、リクエストができるだけ、と考えましょう。(影響は与えられるが、相手を変えることはできない。「相手が自ら変わることを決める」と考える)

<外的コントロールと人間関係>
・「自分の正しさを押しつけると相手は反発するか逃げる」、「相手の考えを受け入れると相手は近づいてくる」ということを理解しましょう。

・相手との関係が良くなると、こちらのリクエストも聞いてくれやすくなります。

・いやがる相手を変えようとしても、相手の抵抗を生み、人間関係が遠ざかるだけ、と考えましょう。

・相手を批判したり、強制したり、脅したり、文句を言ったりすることはやめましょう。

<「外的コントロールの心理」から「内的コントロールの考え方」に転換>
・変わろうとしない相手(変えられない状況、環境)に、自分が振り回されていることに気づきましょう。

・自分は自分なりに、相手は相手なりに、それぞれが「精一杯の行動」をしていると考えましょう。

・同じするなら、いやいやでなく進んでする方が自分のコントロール感も高く自由度も広がると考えましょう。

 
<相手の内的コントロールと行動、願望、欲求充足>
・相手の行動も、自分のと同じく、ニーズや価値観、欲求を満たすための精一杯の行動なのだと考えましょう。
 
・相手が満たせていない、相手にとって大事なニーズや価値観が何かを考えましょう。

・「相手がしてほしい行動で自分がしてあげられること」があれば、積極的に協力し貢献しましょう。
 
・「人間関係を育む行動」を習慣にしましょう。具体的には、傾聴する、支援する、勇気づける、信頼する、受け容れる、尊敬する、意見の違いは交渉する、などの行動です。

 
<自分と相手の「現状の知覚と願望」>
・自分は今、人生やキャリアのどのようなステージにいて(入って)、未来(次のステージ)に向って何を望んでいるかを具体的に考えてみましょう。

・相手は今、人生やキャリアのどのようなステージにいて(入って)、未来(次のステージ)に向って何を望んでいるかを具体的に考えてみましょう。

<自分と相手の「人間関係(具体的やりとり)」の願望>
・自分は相手(職場、グループ)との関係で、未来に向って、どのような距離感で、具体的にどのようなやりとりができる(叉はしない関係)でありたいのか(自分の立ち位置をどこにするのか)、そして、そうであることによって、自分は相手とどのような人間関係を得たいのかを考えましょう。

・相手(職場、グループ)はあなたとの関係で、未来に向って、どのような距離感で、具体的にどのようなやりとりができる(叉はしない関係)でありたいのか(立ち対置をどこにするのか)、そして、そうであることによって、相手(職場、グループ)は自分とどのような関係を得たいのかを考えましょう。

<自分の「自分」との関係>
・もう一人の「自分」も、「自分なりに精一杯がんばっているんだ」と考えましょう。そして、その「自分」の心の声を聴き、応援者として励まし、勇気づけてあげましょう。

(注:この場合の「自分」は、自分の気分や感情、喪失感、記憶、思い込み、もう一人のダメな自分、完璧主義の自分などを指すものとします)

・いやがる「自分」を無理に変えようとしても、「自分」の抵抗を生み、自分の「自分」との関係が遠ざかるだけ、と考えましょう。

<自分の欲求充足>
・自分が満たせていない、自分にとって大切なニーズや価値観、欲求が何か、を考えましょう。

<現在とっている行動とこれからの行動プラン>
・自分が願っていることのために、今どんな行動をしているか、それをしていて実現できそうか、どんな新しい行動ができるかを考えてみましょう。
 

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