さわぐり

沢広あや/コペンハーゲン在住。北欧の絵本、教育、図書館、フェミニズム、移民難民・デンマ…

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沢広あや/コペンハーゲン在住。北欧の絵本、教育、図書館、フェミニズム、移民難民・デンマーク社会について。公共・学校図書館司書→児童書専門店勤務/ライター・翻訳者。お仕事 sawaguricph☆gmail.com ☆→@ https://linktr.ee/sawaguricph

マガジン

  • デンマークで子どもの本の仕事をする

    デンマークで子どもが本と出会うお手伝いをしてきました。さまざまな仕事や取り組みを通して教えられたこと、考えたことを綴っていきます。

  • 子どもの本から北欧を読む

    北欧語で書かれた絵本、児童書の中から、北欧社会をよく表しているものについて紹介します。

  • デンマークで読んだこと、聞いたことと、考えたこと

    読んだ本のレビューや、新聞、ラジオなどで読んだり聞いたりしたこと、実際体験したことから、デンマークの社会に関することを伝えたり、考えをまとめたりするノートです。

  • 日々の生活から

    図書館での仕事のこと、子育てのことなど、自分の生活にかかわることについて。こちらにも過去52回分の記事があります。 http://www.office-powerup.com/modules/column/index.php?cat_id=16

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    • 日々の生活から

最近の記事

◇18. 「知」のデモクラシー、図書館にできること

「児童図書館の役割は、どんな家庭背景をもった子どもにも本をはじめさまざまなメディアに触れる機会を提供すること」、これはわたしが図書館司書になった頃、同僚から聞いた言葉だ。 だれもが必要な「知」へ平等にアクセスできる機会、それを提供する場。公共図書館はそんな「知」のデモクラシーを体現する場だ。 デンマークの公共図書館法では、「メディア」は書籍に限らず、マンガ、雑誌、WEB、CD、DVD、データベース、ゲーム機などを指す。どのメディアであっても、文化や社会体験、知へのアクセス

    • ◇17. 情報とどう向き合うかを教える学校図書館

      学校図書館では、国語の授業の一環として図書館へ本を借りに来るクラスの選書を手伝うことや、休み時間に図書館へくる子どもたちとああでもないこうでもないと話す以外にも、わたし自身が一定の準備時間をもって関わっていた業務もあった。たとえば、教員・職員が授業やリカレント教育を受ける際に必要とする資料を図書館間相互貸借(ILL)制度を利用して準備する仕事、中学年向けのブックトーク、3年生と5年生向けの情報検索に関する授業を担当することなどだ。 まずは自分で本を探せるように デンマーク

      • ◇16. 難民としてデンマークへきた子どもたちとの出会い

        休み時間になると、アミーナはよく図書館へやってきてはわたしにあれこれ話してくれるようになった。 シリア出身のアミーナは、街のはずれにある小さなアパートに両親と弟、兄夫婦ととともに暮らしている。兄は家族から数年遅れでデンマークに辿りついたらしい。地中海をゴムボートで渡ってきた彼は、数年後にシリアで結婚していた妻を呼び寄せ、両親の家で暮らして最近子どもが生まれたそうだ。 「昨日、シリアの友だちと電話で話したんだ。久しぶりにたくさん話してすごく楽しかったよ」 いつものようにお

        • デモクラシーフェスティバルに参加して

          10月28日に参加したデモクラシーフェスティバル。当日の様子と、きてくださった方々、フェスティバルを企画された方々へのお礼です。 普段デンマークで暮らしており、日本の方々と交流する機会はオンラインのみなわたしにとって、初リアル会場で行われたデモクラシーフェスティバルで実際に参加者の方たちとお話しながらセッションをするというのは、いったいどんな感じだろうとドキドキしていました。当日は多くの方にお声かけいただいたり、セッション後にも嬉しいご感想をたくさんいただき、心が温まる体験

        ◇18. 「知」のデモクラシー、図書館にできること

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        記事

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          10/28(土)東京でデモクラシーフェスティバルに参加します

          今回は告知です。 10月28日(土)東京広尾にある聖心女子大学が会場となる、デモクラシーフェスティバルジャパンさん主宰のイベントに参加することになりました。 当日は2つのセッションをおこないます。 1つめのセッション: 「北欧の絵本にふれておしゃべりしよう」 13時からは、日本語未訳のデンマーク、スウェーデン、ノルウェーの現代絵本(デンマークのもの中心)をご紹介し、参加者の皆さんとざっくばらんに絵本のテーマについてお話するセッションです。 北欧の絵本には、読み終えた

          10/28(土)東京でデモクラシーフェスティバルに参加します

          ◇15. 学校図書館での日々(2)

          シリアから来た子どもたちは、それぞれ学年やクラスが割り当てられ、デンマーク人のクラスメートと授業を受けたり、休み時間を過ごすようになっていた。 チェスの子たちの姿を見なくなってから、今度はスカーフを被った別の女の子が、休み時間に毎日ひとりで図書館へ来るようになった。彼女は毎日、毎回、休み時間とお昼休みにやってきては図書館のPCの前に座り、あれこれ検索したり、動画を見たりしていた。 毎日休み時間に必ず図書館へ来ることが気になりつつも、言葉でのコミュニケーションがまだ不十分な

          ◇15. 学校図書館での日々(2)

          ◇14. 学校図書館での日々

          子どもたちからの冷ややかな歓迎で始まった学校図書館での仕事。最初こそグッとこらえる場面はあったけれど、時間の経過とともに、子どもたちから少しずつ受け入れられてきたかもという手ごたえを感じ始めていた。 「〇〇の本が借りたい」に応える 働き始めてまず驚いたのは、この学校では図書館が授業にしっかり組み込まれており、低・中学年を中心に、ほとんどのクラスが週に1時間ずつ国語の時間を「図書館の時間」に充てていたことだった。新学期が始まり、同僚が白紙の時間割表を張り出すと、先生たちが我

          ◇14. 学校図書館での日々

          #ここにいてごめんなさい

          この詩(一部抜粋・翻訳)を書いたのは、早産で生まれ、脳性麻痺とともに生きる、キャスパー・エリックだ。彼は障がいと向き合いながら生きることについて詩を書き、デンマークで発表し続けている。 8月の終わり、デンマークでは彼をはじめ多くの人々が、SNS上に "ここにいてごめんなさい" (#undskyldvierher)   というハッシュタグとともに、自分たちが抱える障がいと、自治体から支援を受けることについて、謝罪のような書き込みを始めた。その数は時間と共に増え続け、翌日には財

          #ここにいてごめんなさい

          ポッドキャスト最新回は「移民と女性とジェンダー」。外国人女性の仕事や暮らしとジェンダーについてお話しています。 https://open.spotify.com/episode/1X1QLvYJNC4bEvKJrKvaMR?si=fSeaLTMOQAOeFwlB4kqgtg

          ポッドキャスト最新回は「移民と女性とジェンダー」。外国人女性の仕事や暮らしとジェンダーについてお話しています。 https://open.spotify.com/episode/1X1QLvYJNC4bEvKJrKvaMR?si=fSeaLTMOQAOeFwlB4kqgtg

          ジェンダー平等視点で考える世界と日本の働き方ーデンマーク・スウェーデンの事例

          リクルートさんの iction! にて【デンマーク・スウェーデン】男女格差の解消が進む北欧の取り組みとは ~ジェンダー平等先進国に学ぶ~を執筆しました。 記事のリンクはこちら。 https://www.recruit.co.jp/sustainability/iction/ser/gender-wagegap/005.html 目次は以下の通り。 特に4のジェンダーギャップ、5の今後の課題では、北欧社会についての記事では普段あまり触れられることのない、北欧諸国が向き合っ

          ジェンダー平等視点で考える世界と日本の働き方ーデンマーク・スウェーデンの事例

          デンマークで作家やイラストレーター、翻訳家を国が支援するシステムとは

          「そろそろ誰がいくらもらったか公開になるから見てみない?」そういって同僚が職場のPCであるウェブページを開くと、そこには「図書館支援金」という表示とともに、国からの支援金を受けた作家やイラストレーター、翻訳家の名前と、かれらが受け取った金額が並んでいた。 聞いたことのある「図書館支援金」制度。少し調べてみたところ、なんとデンマークが世界で初めて70年以上前に導入した制度だという。それは気になる!ということでもう少し深堀りしてみた。 図書館支援金とは この制度、デンマークで

          デンマークで作家やイラストレーター、翻訳家を国が支援するシステムとは

          デンマークの公共図書館は学校や地域をどのように支援しているか

          2年前に、デンマークの公共図書館が学校や地域をどのように支援しているかについて、日本学習社会学会で発表する機会をいただきました。今回は、その時に発表した内容を、後日学会誌に載せていただいた原稿にもとづきながら紹介したいと思います。 はじめに ICTの進んだデンマークの学校教育現場では、デジタル教材やPCをベースにした授業やグループワーク、プレゼン方法などが小学校から常時用いられ、授業や学習形態もそれに応じて多様化している。また、ICT導入以前から重視されてきた批判的に物事

          デンマークの公共図書館は学校や地域をどのように支援しているか

          ポッドキャスト第14回は「同性婚とジェンダー」。デンマークで同性パートナーさんとご結婚されているケンスケさんのお話。 https://open.spotify.com/episode/11bpFL8KRXdTMRtagWLJPZ?si=rcfXlQXtQmGpXpxnsDZ4vQ

          ポッドキャスト第14回は「同性婚とジェンダー」。デンマークで同性パートナーさんとご結婚されているケンスケさんのお話。 https://open.spotify.com/episode/11bpFL8KRXdTMRtagWLJPZ?si=rcfXlQXtQmGpXpxnsDZ4vQ

          ◇13. わたしは外国人

          捨てる神あれば拾う神あり、とはこのことか。1年9か月働いた公共図書館と突然お別れをすることになり、年明けからは図書館近くの公立学校で働くこととなった。 少しだけ、デンマークの学校制度のことを書いてみよう。ここの子どもたちは、6歳になる年に義務教育学校に入学する。最初の学年は幼稚園学級。通称「0年生」と呼ばれ、国語と算数を少し学びながら、それまでの幼稚園での自由な生活から、授業と休み時間という区切りのある生活に慣れるための学年だ。1年かけてゆっくり慣らすのがデンマーク式。1年

          ◇13. わたしは外国人

          ◇12. 突然の行き先変更

          郊外の公共図書館に期限付きで採用され、その後、期限付きで2回契約を更新している間に、同僚ベンテの定年退職が近づいてきた。 ベンテは66歳。40年ほど図書館司書として、成人部門、子ども部門で長年働いてきた人だ。「もう私は十分働いたからね」と、清々しい様子で退職を宣言するベンテ。楽しそうに辞める準備をする様子を見ながら、彼女が辞めるということは、そのポジションに募集がかかるのかもしれないとぼんやり思っていた。 ベンテとは1年半ほど一緒に働いてきた。児童サービス部門の色々な仕事

          ◇12. 突然の行き先変更

          ◇11. ドキドキ、学校訪問

          郊外の公共図書館に1年の契約で採用され、結局その図書館では2回の雇用期間延長で合計1年9か月間働いた。この図書館で初めて児童司書としてさまざまな業務を体験させてもらった。 ほぼ新卒(とはいえ年齢は中年)のわたしだったが、あらゆる業務にベテラン司書さんたちと対等な関係で携わらせてもらった。 デンマークでは、職場での人間関係は極めてフラットだ。子どもの頃から、人々は学校でも先生、校長先生でさえ、例えばピーターとかアネッテといったいわゆる「下の名前」で呼び、「先生」とか「ミスタ

          ◇11. ドキドキ、学校訪問