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【せんせいの声 】第1回 うめたろう先生の声

全国の学校の実態について知り、社会全体で新しい学校教育のあり方について模索していく土台をつくっていくため、#SAVE OUR SCHOOL in Japanでは先生方への匿名オンラインインタビューを実施し、【せんせいの声】というシリーズで記事化していきます。学校教育に携わる先生方が、いまどのような悩みや不安を抱え、またどのような期待を抱いているのか。今後の学校教育のあり方を考えるうえでのヒントが見つかるかもしれません。先生方の声なき声に、耳を傾けてみてください。

うめたろう先生のステータス

今回、インタビューに応じてくださったのは、東京都の私立小学校に勤務されているうめたろう先生(50代・男性)です。インタビュー実施日は5月28日で、オンラインで30分ほどお話を聞かせていただきました。

いまの学校の状況

ーいまの学校の状況はどうなっていますか?

今は休校中です。学びを止めないための方法としてオンライン授業をしています。使っているのはzoomです(HR,授業含む)。

ひとりで授業をするのは難しい

ひとりで授業をするのがなかなか難しいというふうに思っているので、基本2人で授業をしています。授業者と管理者、みたいな。そのために一クラスずつの授業はできていなくて学年単位の授業。

ー学年単位というと、100人とか?

はい、100人くらいです。なので、二人でやっているとはいえ、全員に目が行き届くかというと、難しい。あとzoomに入れない子が、毎時間必ずいます。

ーオンライン授業自体が始まったのは?

3週間前だから、GW明けですね。

ー3週間やっていてもzoomに入れない子がいると。

そうですね。あとはzoomで授業をしているのは国語、算数、理科、社会、英語の5教科。それ以外の体育と美術、音楽は動画配信をしています。zoomで授業をしにくい教科はもちろんあるので、長くなってくるとどうしたらいいのかなというのが悩みですね


場所を「理科室」から「家」にすることで、授業の幅が広がった

でもいいこともあって、理科なんですけど、理科室でやるのとは違って、家にあるもので実験をするという授業にしているので、意外な発見とか広がりがあったりします

ーそれは、たとえば?

重さの授業で、形が変わったら重さが変わるかっているテーマでやったときに、学校でやると粘土などを使って全員同じ体験をするのだけど、家に粘土もないので、自分で形が変わるものを考えてやる、ということになったので、アルミホイルとか、布とか、切った野菜とか氷とか。さまざまなもので実験して色々考えられました。

ーなるほど、図らずも授業の幅が広がったという。

「あの学校から出た」と言われる恐怖

ー分散登校は始まりましたか?

来週からで、奇数学年と偶数学年が1日おきに学校に来る予定です。始めのうちは半数を教室に入れるので、さらに午前午後に分ける感じになります。だから一度に学校にいるのは全校の4分の1になりますね。それでスタートして、2分の1、全員というふうに段階的に登校させる予定なの、いまはね。何も起きなければ。

ー感染対策などは。

もちろん。マスクと消毒が必須で、距離を取ることが原則です。

ー距離は取れそうでしょうか?

教室は取れるんだけど、机が固定されてる理科室とかは難しそう。4人机に2人座る感じになるかな。机が足りなくなるから半数でしか対応できなくなる。図工とか理科の先生は悩んでいるんじゃないかな、指定席だから。元々グループができる向かい合っている机なんだけど、今回はマイナスだよね。

あと私立だから満員電車が心配。しばらくは始業時間を遅らせてラッシュを避けます。

ー避けるといっても東京ですからね・・・。

うちは制服ないけど、同じようなことはありそう。その時間に電車に乗っているとわかりますもんね。感染者出てしまったら名前が刻印されてしまいますよね、ずっと。あの学校はって。だから先生も緊張しますよね

先生同士の連帯感が生まれた

あと意外にプラス面で挙げられるのは、私立に多い傾向かもしれないけど、割と今まで先生たちが個人で動いていた傾向があるんだけど、今回のことでチームで動かざるを得なくなったという事はありますね。

ー例えばどういう場面?

授業の方法とか、進度とかがバラバラだったけど、学年授業になったから相談してやらざるを得ない状況になったのはプラス面もあると思う。公立と比べて揃えないから、私立って。よさもあるけど問題もあった。だからそこは面白いと思った。

ー連帯が生まれたという事でしょうか。

そうですね、生まれつつあると思います。

登校日は少ないけど、仕事は増えている

あとはなんでしょう。労働問題かな。今後授業数の確保のために、土曜授業とか夏休みの短縮とか想定されていて、勤務時間等の問題が出てくると思います。

ーその勤務というのは、オンラインでしょうか、対面もあるのでしょうか?

はっきりきまっていないけど、休校中にオンラインの授業をしたりしていたのは勤務になってるので、授業時間の確保という事で授業日数が増えると、勤務日数が増えることになります。特に非正規雇用の先生とかは、話し合いが必要かな。最初の契約と変わってしまうので。

ー常勤の先生も働く時間は増えそうでしょうか?

そうですね。世の中の流れとしてコロナだからしょうがないじゃんっていって、どんどん増えていくとどうかな、とは思いますね。これは書かなくてもいいですけど。(笑)登校日は少ないけど、実際仕事は増えています。オンラインの授業は経験がないから、誰にとっても準備は大変だと思います。

子どもと保護者の「オンライン授業疲れ」が心配

あとは、子どもの精神的な問題もありますよね。今まで我慢していたのに始まったら夏休みもありません、みたいな状況とか。オンラインでの疲れもかなり出てると思います。

ーどういう形で疲れが出ている?

画面の見過ぎとか、機械操作の不具合や苦手がストレスになっているとかかな。

ー画面の操作は子どもが?

小学生だからほとんどは親子です。でも保護者も、全員が精通しているわけではないので。兄弟とかだと機械の不足もあります。違う授業が同時に行われていたりすると、二台ないと受けられなくなる。

ー学校からの保障はありますか?

可能な限りタブレット端末をレンタルしています。

ー今は足りていますか。

はい、足りています。全員分はないけど全校に6人に1人くらいの割合しかないです。ほぼ全部レンタルしてしまっています。

「オンライン授業を前提としたカリキュラム」も検討


ーこれからの学校について、不安なことが他にあれば教えてください。

二回目のピークが来た時、またすぐにオンラインに戻れるように、オンラインと対面の授業を並行して行っていく予定なのですが、可能かどうかが不安です。

ーカリキュラム的に?

オンラインは学年、対面はクラスでやっているからそういう問題とか。理科は場所の問題もあります。どちらも実験道具を使うので、どうしようかなと。

ーオンラインと対面の両方に配慮できるか、という事ですよね。

そうですね。でも前向きに考えたら、オンライン授業は今後も重要だと思うので、たとえば金曜日は全員必ずオンラインで授業を受ける、などのカリキュラムに変えてしまう方法もありますよね。何人かに話したら、結構「いいね」といわれました。

ーコロナが終わってもそういう日をつくっていうという?

そうですね。新しい時代の、教育の模索というか。そういうのもアリかなと思いました。

あとは年配の先生が大変そうでした。あまりパソコンやタブレットを遣わずに授業をしていた人が多いので、ハードに対する不慣れがあったと思います。わたしも含めて。(笑)

ー頑張って自分で習得した?

はい、頑張って自分で習得しました。

ーでも自分でできない人は大変ですよね。

そうですね、始めのうちはチームでやるのがいいと思います。大学の先生とかはすごく大変そうですね。2人でやっているから、チャットに対応したり機械トラブルの対応をするのと、授業をする人は別なんです。
黒板でやってただその映像で流すというというならいいけど、小学生はそうはいかないので。飽きたらすぐパソコンの前からいなくなっちゃうんだもん。(笑)単位もかかってないし。

ー双方向のやり取りが必要だけど、なかなかチームで協力しないと難しいという事ですね。

はい、でもそういった意味ではプラス面も大きいと思います。

ーありがとうございます。


【インタビューを終えて】

初めての試みに、快く応じてくださった〇〇先生に感謝いたします。

固定席での感染対策や不慣れなオンライン授業に取り組まれているお姿に、ただただ頭が下がる思いです。ただ、思いのほか授業の幅が広がったり、教員同士の連帯が生まれたというプラスの面もあるということも教えていただきました。このインタビュー記録を通して、コロナ禍で失われたものだけではなく、得たものにもスポットライトを当てていけたらと思っています。

(ききとり:#SAVE OUR SCHOOL in Japan 古野)

*インタビューを受けてくださる先生を募集しています*

全国の学校の実態について知り、社会全体で新しい学校教育のあり方について模索していく土台をつくっていくため、#SAVE OUR SCHOOL in Japanではオンラインインタビューを受けてくださる全国の先生方を募集しています。以下の内容に同意いただき、フォームに必要事項をご記入ください。よろしくお願いいたします。

・オンライン形式でのインタビューになります。zoom、LINE、メッセンジャー、スカイプなどからご希望のツールを選択してください。ご指定のご連絡先に、こちらからご連絡をさせていただきます。

・オンラインインタビュー中の画面上での顔出し・氏名公表などの個人情報の公開は任意です。

・記事作成のため、インタビュー中のやり取りをスマートフォンもしくはPCのボイスメモで保存させていただきますが、他の用途では一切使用しません。(ご希望の方は、記事公開後に音声データを削除させていただきます。フォームでお伝えください。)

・インタビュー時間は30分程度になります。ご都合のつきやすい曜日・時間帯をフォームにご記入ください。

・noteの記事は、基本的に匿名で公開されます。記事掲載用のニックネームをご記入下さい。

・お話しいただいた内容は、#SAVE OUR SCHOOL in Japanのnoteで記事化されます。公開の前に、一度内容に誤りがないかをご確認をいただく作業がありますので、お手数をおかけいたしますが、ご協力いただけますと幸いです。

・公開されるステータスは、「学校種」「自治体」「年代」が基本になりますが、事情がある場合は、非公開を希望することもできます。フォームにその旨をご記入下さい。

・一度公開した記事について、万が一何らかの事情で一部変更および削除をご希望される場合には、事務局までご連絡下さい。できるだけご希望に沿った形で、対応をさせていただくように努めます。

・場合によって、後から追加インタビューをお願いする場合があります。ご協力いただける場合には、フォームにその旨をご記入ください。

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*#SAVE OUR SCHOOLの運営するSlackワークスペースに参加してみませんか?

#SAVE OUR SCHOOL in Japanでは、小・中・高・特支の先生方が参加し、さまざまなテーマで情報交換ができるSlackのワークスペースを運営しています。

現在#SAVE OUR CHOOL in Japanのワークスペースで開設されているチャンネルです。(5月15日11時時点)今後必要に応じて、チャンネルを追加していきます。

・オンラインツール全般(zoom,Microsoft teams,Google classroom...)に関する質問(今後ニーズがあれば細分化いたします)
・ネットワーク環境の整備
・オンライン学習の取り組み
・自宅学習用の教材
・教科別の情報交換(今後ニーズがあれば細分化いたします)
・HR活動
・学校行事
・部活動・クラブ活動・各種大会
・学校内でのコミュニケーション(教職員同士・生徒・保護者)
・生徒の健康管理
・コロナ感染者への対応
・地域別の情報交換(今後ニーズがあれば細分化いたします)
・教育イベント情報
・関連ニュースの共有


まだスタート地点に立ったばかりの取り組みですが、興味を持ってくださった先生方は、ぜひ情報交換のためのワークスペースにご参加いただけると嬉しいです。いま抱えている疑問や不安、あなたの学校の取り組みなどをぜひ教えてください。

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また、こちらのプロジェクトに力を貸してくださる運営メンバーも随時募集しています。
✳︎ 教職員ではない方でも参加できます。
✳︎ 弊団体の運営するSlackのワークスペースの管理・対応/教職員の方向けの実態調査の実施および結果の作成/弊団体のメディアの運営・情報発信 などが主な作業となります。
*運営メンバーに参加してくださる方は、#SAVE OUR SCHOOL in Japan の事務局(saveourschoolinjapan2020@gmail.com)までご連絡下さい。(件名に「運営メンバー希望」と明記して下さい)




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