海外人事担当者の役割とは【明日から役に立つ!海外人事のヒント#2】
みなさんこんにちは。
SaveExpats広報です。
SaveExpatsは海外駐在員が健康で活き活きと働く社会を目指して活動していますが、駐在員だけではなく、それを支える海外人事の方々にもお役に立てればと思い、海外人事の皆様に向けたコラムをスタートしています!
第2回目は、「海外人事担当者の役割」について、一緒に考えていきたいと思います。
海外人事部門の役割とは?
人事部門の役割は「目標達成のために、従業員を適切に管理・支援すること」とされています。この役割に基づいて、各企業で仕事や部門のマネジメントが行われています。
企業の目標達成に向けた人材管理は、企業全体の生産性や効率性を高めるために不可欠です。適切な人材の採用、育成、配置、評価を通じて、組織全体が効果的に機能するように支援することが求められます。
特に海外人事担当者の場合、その役割は「海外現地法人やその傘下にある組織の目標達成に向けて、従業員を効果的に管理・支援すること」となります。これには、現地の文化やビジネス習慣に適応しつつ、グローバルな視点での戦略的な人材管理が求められます。
企業全体の成功を支えるため、海外人事担当者は、各拠点の事業計画に沿って、人材の最適配置や育成を行い、現地の課題に対応することが重要です。海外人事担当者の役割をもう少し細かく見ていきましょう。大きく分けて4つに分類できます。
①「本社人事機能と海外現地法人の窓口」
まず一つ目は、本社人事機能と海外現地法人の窓口の役割です。
これは、本社の人事部が企業全体の制度や施策を企画・検討する際に、駐在員の視点で参画し改善する役割です。駐在員のニーズに合わせて調整し、より効果的な施策を提案します。また、国内で勤務している社員との公平性を保つために、駐在員専用の制度を企画することも含まれます。
例えば、ある会社では、駐在員が赴任すると国内の基準職位より1ランク上位のポジションに任命する運用が行われていました。国内では係長としての評価項目が設定されていましたが、駐在員は現地でマネージャーとして働いていました。このような場合、どのように評価し、評価表をどう運用すべきか、検討し再設計する必要があります。
②「HRBP(Human Resources Business Partner)」
2つ目はHRBP(Human Resources Business Partner)、つまり国内で言うところの事業所人事としての役割です。現地法人を一つの事業部として考え、駐在員の人事管理全般を統括します。任用、配置、異動、昇進、昇格、人事評価、サクセッションプランの運営や任期管理などを、駐在員担当HRとして本社人事と連携しながら行います。
例えば、駐在員のサクセッションプランを現地法人の責任者や本社人事と共有しながら作成し、昇格予定時期から逆算して難易度の高い仕事をアサインし、その結果をフォローしていきます。
③「報酬、厚生制度」
3つ目は、報酬、厚生制度などのオペレーション担当としての役割です。駐在中の現地・本国給与、賞与の支払い、駐在員独自の制度運用、一時帰国や健康診断、出向契約管理、労務費請求管理などがあげられます。これらの仕事は企業内で唯一この部門にしかない業務の数々です。
細かな事務作業が多いですが、企業全体から見ると占める割合は少なく、なかなかIT化が進みません。一方で、職務遂行に必要な専門性は広範な知識が求められます。給与決定における購買力補償方式などの人事的な専門知識から、所得税法や移転価格税制などの税務、社会保険、労基法などが含まれます。
購買力補償方式での給与決定プロセスを理解するためには、国内における毎月の給与支払から税金の徴収、社会保険料の決定、改定、控除、年末調整までの一連の作業を、業務ソフトに頼らず手作業で行う能力が必要です。
例えば、ある会社では、国内における税や社会保険料控除後の手取り給与を計算するExcelシートを作成し、その後も10年近く税法や社会保険制度の改定があるたびにメンテナンスが必要となりました。このように、継続的な対応が求められます。
④「駐在員一人ひとりへのサポート」
赴任手続きから始まり、現地生活の立ち上げ、駐在期間中の困りごとなど、仕事面だけでなく生活全般について相談に乗り、必要に応じて支援を行います。
海外に駐在して仕事をするというのは、とてもストレスのかかるものです。異なる文化や環境に適応しながら業務を遂行することは、予想以上に負担がかかります。
そのような状況の中で、困りごとを素早くフォローし、解決に導くことで、駐在員が仕事に集中できる環境を整えることができます。これにより、駐在員の業績やモチベーションが向上し、企業全体の成果にも大きく貢献します。
異国の地では、国内と違って自分ひとりの力ではどうにもできないことが多くあります。たとえ自分で解決できる場合でも、時間とコストがかかりすぎてしまい、高額な駐在コストをかけているのに、何をしに来たのかわからない、という事態にもなりかねません。
“No Loss No Gain”
海外人事担当者の仕事は、駐在員が現地で本業に集中できるよう、公私両面で支援することです。制度を運用しながら、状況に応じてアップデートを検討し、実行することも大切です。
その際の判断軸として重要になってくるのは、"No Loss No Gain" です。「損も得もしない、同じ企業に働く社員として同等の処遇・取扱い」を基本に駐在員がパフォーマンスを100%発揮できるために、どのようにすべきか、ということではないでしょうか。
このような視点で駐在員を支援することが、海外人事担当者の重要な役割であり、企業の成功にもつながります。
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