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人前で話すと緊張してしまうことに10年間悩み続けていました。。

新しい年度が始まると、異動の挨拶だったり、年初計画の説明だったり、人前で話さなければならないことが多くなります。私はこれが大の苦手で、いつも逃げ出したい気持ちでいっぱいでした。

営業の現場で鍛えられたのか、お客様との【対話】で緊張することはありません。ただ、人前で数人を相手に【一方的に話す】となると、極度に緊張してしまうのです。7~8人の営業部内の朝礼でスピーチをしたときでさえ、足がガタガタ、手は震え、声は上ずって、まともに話せませんでした。

当時はできる限り人前で話すのを避けたり、どうしても話さなければならないの時には、資料やプロジェクターをうまく活用していました。なぜかというと、自分が直接見られたくないからです。人の前に出るだけで緊張感が込み上がってきます。そして、人の目が自分のほうに向いているのを感じると、さらに緊張感が増してくるのです。そうなると、まともに声が発せられない状態に陥ってしまうのです。

なので、朝礼の時など人前で話しをしなければならない時、最初に資料を配って「まず、配布した資料を見てもらえますか?」と言って、できる限り、人の視線を自分に向かないようにしていました。もちろん、いつも資料やプロジェクターが使える訳でもありませんし、使っても緊張感は襲ってきます。

会社などの組織に所属している限り、人前で話さなけれなならない機会が訪れます。私はいつも、「次はいつだろう。。」とビクビクしながら、「この緊張からどのようにすれば、開放されるのだろう。。」いつも心をモヤモヤさせていたのです。

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10年ほどかかりましたが、その後は緊張することがほとんどなくなりました。むしろ、人前で話す機会があると、嬉しい、楽しいくらいの気持ちにすることができたのです。会社のミッションとして、専属のセミナー講師にも任命されて、100人ほどの聴衆の前でも良い緊張感をもって楽しく話ができるようになったり、30人ほどの会議の進行役を毎回担い、「どのようにうまく進行しようかな」と前向きに考えるようになったのです。

思い悩んでいた人前で一話すことの【ストレスフルな緊張感】を【心地良い緊張感】に変化させることができました。もちろん、簡単にできたわけではありません。プロのアナウンサーが講師である「話し方講座」や「プレゼンテーション講座」などを受講したりして、緊張感から解放されるように模索を続けていました。

参加者が10人ほどのある講座で、机の上にB4サイズ程度の写真が貼られたパネルが数枚置いてあって、そのうち一枚を選んで、そのパネルを持ちながら、参加者の前で3分ほどスピーチするような課題がありました。5分ほど話す内容を整理してから話すのですが、話す前から心臓はバクバクしていて、右手でパネルを持ちながら話していると、右手がビクビクと震えだし、それを抑えようとして、左手で右手をつかむと、今度は体全体がガクガクと震えだしきて、まともに話ができないような状態もありました。

なんとかこの緊張感か開放されたいと模索していた頃、社内での説明会やセミナーなど、人前で話さなければならない仕事が増えてきました。「これは嫌がらせ?」と思ったほどでした。今となっては、嫌がらせではなく、この緊張から解放されて話ができるきっかになった良い機会でした。

この頃、社内向けのある説明会で同じ内容のプレゼンテーションを5~6回続ける仕事がありました。1回目はそれなりに緊張しましたが、2回目、3回目になると、自分自身が言うこともはっきりしてきて、プレゼンテーション全体の流れも掴めてくる、4回目になると、伝えることの自信が高まってきて、余裕が出てきます、そして、相手の状況をも把握できるようになってきたのです。5回目になると、聞き手の表情を気にしたり、「この人ちゃんと聞いているのかなあ?」なんて考える余裕も出てきました。

余裕が出てくると、一方的に話していても、対話しているのと同じような感覚になってくるのです。その頃、気付きました。私は人前で話しをするとき、話し相手である聴衆に意識を向けていなく、自分自身に意識を向け過ぎていたのです。話をしている相手は聴き手です。ただ、私は聴き手ではなく、自分ばかりに意識を向けていたのです。

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「今、自分はどのように見られているのだろうか。。」
「うまく話ができているのだろうか。。」
「話が終わったら、何と言われるだろうか。。」

全て自分中心なので、自意識過剰状態です。。人前に立っているとき、自分自身が中心となり、聴き手は、自分の話に絶大な期待をしている。勝手にそう思い込んでいたのです。そして、その期待に応えようと自分のことを過剰に意識してしまい、緊張度が高まってしまっていたのです。

人前で話しているとき、声を発しているのは自分自身だけです。ただ、コミュニケーションは声だけではありません。目を合わせるだけのコミュニケーションもあります。コミュニケーションで大事なのは、話し相手の事を意識して、気遣うことだと思います。時折、聞き手と目を合わせたり、表情をうかがったり、聴き手の反応を観察してみると人前で【一方的に話す】ことと【対話】で話すことに大きな違いはないことに気付いたのです。

営業での【対話】の時には、相手を気遣っていましたが、プレゼンテーションなど【一方的に話す】時には、相手を全く気遣っていなく、自分よがりだったのです。。それからは、聴衆に意識を向けることにしました。少しづつ続けていくうちに、段々と、聴き手の状況を観察できる余裕が出てきました。自意識過剰な自分から解放されたのです。

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そして、緊張感からも解放されました。コミュニケーションは、相手の反応が大切です。相手が喜んでくれればこちらも嬉しいのです。相手の喜んでいる表情を見ることで、自分自身も気持ちがワクワクしてくるのです。

できる限り避けたいと思っていた「人前で話をすること」ですが、仕事では、セミナーや研修の講師、プライベートでもイベントの司会などを積極的にに引き受けたりして、人前で話すことを楽しむことができるようになりました。

当時はこの緊張感から逃げ出したいという思っていましたが、あらためて考えると、克服したいという気持ちのほうが強く、潜在的には、人前で楽しく話したいという欲求があったのかもしれません。そんな欲求がなければ、当時それほど悩む必要もなく、時間とお金をかけて、セミナーや講座にも参加してはいなかったと思います。当時は、なんとか克服したい一心で続けていましたが、結果的には、それが自分自身のリソースのひとつになっています。

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自分自身が今リソースとして持ち合わせているモノって、最初は全然できなくて、逃げ出したい、避けたいと思いながら、なんとかその問題を克服するために模索しながらやり続けていることだったりすることのような気がします。そして、克服するのが大変なほど強いリソースとなる。なので、今、目の前の壁にぶつかっていて、なんとか逃げ出したいと思っていること。それは、自分が本当に実現したいことに必要ななリソースとなるために与えられた機会と考えたほうがいいのではないでしょうか。

ちなみに、人前で話しをするときに緊張しないために、「聴き手をじゃがいもと思ってみましょう」といった教え方がありますが、これは止めたほうがいいです。聴き手を全く気遣わないということになりますし、じゃがいもは、うなずいてくれたり、笑ったりしてくれません。。