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満月の魅力『完熟マンゴー 月姫』

はじめに
地域ブランド『薩摩のさつま』の認証品を生み出す作り手の方を訪問し、商品が生まれた背景や風土をお届けするシリーズ。
今回お話を伺ったのは、『完熟マンゴー 月姫』を作る株式会社日野洋蘭園 薩摩第二農場 主任三好 利之さん玉利友聖さんオーキッド事業部 野田智央さんです。

どこからでも仰げば見える、夜空の満月のように輝く商品にしたいという想い。そして、月明かりに導かれるような人が集まる場づくりとは…。



聞き手:青嵜(以下省略)
さつま町で植物の栽培を営む”日野洋蘭園”さんの認証品『完熟マンゴー 月姫』。認証品のお話の前に、まず日野洋蘭園さんが普段されているお仕事からお聞きしたいと思います。
社名にもあるように、洋蘭の栽培が基本的な事業になるのですか?

三好 利之さん(以下省略)
日野洋蘭園は、胡蝶蘭を中心に、ブライダル用の栽培を全国の市場へ販売する会社です。

所有する農場は5つありまして、薩摩、第二、栗野、柏原、マンゴーです。その中のマンゴー農場を、日野洋蘭園の子会社になるJAB(ジャパン・アグリ・ビジネス)へ委託、運営し認証品の生産を行っております。

薩摩第二農場 主任  三好 利之さん


同じ植物ではありますが、洋蘭を栽培されている会社さんがマンゴーを育てていることに最初は驚きました。作られるようになった背景はあるのでしょうか?

私たちがマンゴーを栽培し始めてから今年で3年目になりますが、元々は、地域の農家さんが、今、私たちが作っている農場でマンゴーを始められたのです。

その方々も高齢になることを考えられて後継者を探されている中で弊社にお話がきました。会社としてやってみようかとなったんです。

日野洋蘭園にとっては初めての果樹栽培だったので、植物の栽培に関する知識と経験が活かせる部分もありますが、やはり観葉植物とは違った環境もあります。

そのため、受け継いだ初年度は以前から作っていらっしゃった方に指導していただきながら、栽培の方法やコツを覚えさせていただきました。

それで、2年目は1年目に色々と教えていただいたことを基に、自分たちがメインでやり始めたところなんです。


三好さんは最初からマンゴーの担当だったわけではなく、事業継承をされた2年目からご担当になられたとお聞きしました。
葉物と違うマンゴーという果実の栽培のどんなところに魅力を感じていますか?

これまでは観賞用の植物だけを栽培していたのですが、マンゴーは口にするものですよね。
安心安全という面を含めて、同じ植物でも果樹はどういう風に作られてるんだろうっていう作り手としての興味がありました。

その上、マンゴーは高級品というのもあって、いち購買者としての自分はそこまで手が届かない存在だったのですけど、栽培をとおして色々な経験ができるし、日々の研究をとおして自分の視野の広がりにも繋がるかなと。

さらに、役場農政課の指導員の方に助けていただいています。
またマンゴー部会にも加入しておりまして、部会からのご意見も頂きながら、これまで日野洋蘭園で培ってきた経験を活かすこともできますし、やればやるほど、どんどん奥深くなっていくところに魅力を感じています。

オーキッド事業部  野田智央さん

マンゴーの栽培はまだ始まったばかりということですが、三好さんご自身は植物の栽培に携わって10年以上のご経験があると伺いました。
そのご経験があるからこそ、よりその奥深さを感じられるのかもしれませんね。

それでは、そのマンゴーの栽培についてお伺いさせてください。
マンゴーが年間をとおしてどのような流れで作業が行われるのですか?

地域によって大分異なると思うのですが、さつま町では6月から8月上旬ぐらいの期間に収穫作業を行います。

その後に、来年の収穫までの作業を行うのですけど、まず最初に剪定という作業を行います。

剪定ですか?

はい。収穫後の成長に伴って株(木)も大きくなるので、大体収穫が終わる7月中旬から1ヶ月くらいの暑い時期に枝を切る作業を行います。

剪定作業をしないと、翌年の出来栄えに影響するので枝にハサミを入れて間引いていくのです。そうすると、当然、新しく芽が出てくるので、その芽を含めて全体を管理する作業です。

その後は、時期的に寒くなってくるので、冬支度としてハウス内に冷たい風が入らないように温度を保つ作業をします。

あとは、マンゴーの枝は上へ上へと成長するので、その枝に栄養が行き届くように誘引作業と言って、太い枝を紐などで曲げるように横や下に引っ張ってあげる作業があります。

その後、大体12月ぐらいから花芽という成長して花になる芽が出てきて花が咲くんですけど、翌年の2~3月頃花の満開時期に虫を使って効率的にまんべんなく受粉を促します。

その受粉の後、4月くらいに小さな実がなって、摘果、ネット掛け6月くらいに収穫する、というのが一年の大きな流れです。


その剪定と誘引作業、さらに温度管理によって、果実の品質が変わってくるのですね。

さらに付け加えたいのが、僕たちのやり方として、1株に対して実がなる個数を制限しているのがこだわりになるので、その管理が必要になっています。

例えば、今、栽培している株でも、だいたい1株あたり100個以上は実が成るんですよ。

そのような性質がある中で、私たちは、栄養が行き届いた大きな玉を作ることが目的なので、大体1株あたり50~60個ぐらいの実がなるように、ひとつひとつの実を見極めて間引く作業をしています。

それをすることによって、間引かれて残った果実に栄養がより行き届くことで、化粧箱にふさわしい品質のマンゴーへと育つのです。

ですので、実がなったから終わりではなくて、やっぱり大切な人への贈り物となる品質の高いマンゴーを生産したいという想いがあるので、そこに向けての管理を1番大事にしています。

収穫が2~3ヶ月という狭く限られた時期の商品ではあるのですけど、それでも数量を沢山作って販売するというよりは、数量を限定することで糖度とか品質を高めることができるので、そこはこだわっているところです。


それによって、丸々とした、それこそ手塩をかけて育てた月のようなマンゴーになるのですね。
ちなみに、商品名の「月姫」という名前に由来があるのですか?

このネーミングは、弊社の全従業員に名称を募集したのですよ。

その結果で決まったのですが、由来としては、さつま町が竹の町”かぐや姫の里”、というのを謳っていたので、月を眺めているかぐや姫の様子から、その月をマンゴーに見立てて月姫という名前に決定しました。

町の背景を受け、社員の皆さんが愛着を持って付けられた名称なのですね。
まさに竹取物語で手塩をかけて育てたかぐや姫を送り出す気持ちでしょうか。

そんな、先々へ送り出すという点において、未来についてもお話をお伺いさせてください。
薩摩のさつまには次世代の支援といった未来へ向けた取り組みも含まれています。その"未来"という今後に対して、この地域ブランドを通して、さつま町や子どもたち、今手掛けられている取組みがどうなってほしいといった想いはありますか?

マンゴーの栽培としては、以前されていた方から事業を継承した形ではありますけど、やっぱり私たちの手で作った月姫というブランドに認証をいただいたので地域に根ざし、もっと世に出していかないといけないなっていう想いがあります。

それこそ、未来というか1年先、2年先、5年、10年....ともっと先を考えた上で、月姫が美味しいからここに買いに行きたいと思っていただけるようにアピールしていきたいです。

薩摩第二農場  玉利友聖さん


その商品を知ることで、貴社を知り、さらに町を知り、その背景にあたる風土と歴史を知る。

それこそ5年先、10年先と続いていくことで、さつま町に根差す生業が地域の特色を作ることになりますし、すでにある今は、先人の方々のおかげだと思います。

『薩摩のさつま』の作り手のみなさんを取材させていただく中で、どの方も、次世代に限らず町の人や町自体に想いはあれど、そのためには、まず自分の足元としての生業をより良くしていくことが、先々を考える上でも大事、と口を揃えてお話されます。

当たり前のことなのかもしれませんが、机上の未来ではない、地に足が付いた今と繋がるさつま町ならではの未来は、その生業の先にあるのかもしれないですね。

ちなみに、三好さんはさつま町のご出身なのですか?

地元は姶良市なんですけど、高校を卒業してから日野洋蘭園に入社して、そのときに初めてさつま町へ引越してきました。

その頃からしても町の変化があると思うのですが、出身地とは違う地域に関わりを持たれる中で、感じることはありますか?
少し漠然とした聞き方になって申し訳ないのですが。

やっぱり違う市町村を見た上で来ると、いい町ではあるので、そこは大前提なんですけど、少し寂しいというか。。。

施設だったりとか、建物に限らず人が集まれる場所があったらいいですよね。

例えば、ブランド認証のための実践型セミナーを1年かけて受講する中で、やっぱり会社の中だけで何かをやるのではなくて、もうちょっと自分も外に出て、他の事業者さんとの交流がやっぱり大事なのかなっていうことを改めて感じました。

日野洋蘭園には、11年在籍していますけど、そこまでしてきていなかったので。

そうすれば、周りの皆さんのことも知ることができますし、逆に私たちのことも知ってもらえることに繋がると思うんです。

それこそ、日野洋蘭園をご存じの方はいても、マンゴーを栽培しているというのはまだそんなにご存じないと思うので、アピールしていけたら先々に繋がるのかなって思います。


そういった意味では、薩摩のさつまは、地域ブランドではありますけど、4つの組織が垣根を越えて連携し立ち上がった経緯からしても、取り組み自体が人の集まる「場」になっている訳ですね。

ブランドとして商品の魅力と価値を発信することと並行して、地域の方々が集う「にぎわいの場」としての役割が高まると、よりそこに集う方々の間で、良い意味での化学反応が生まれやすくなるのかもしれないと感じました。

今日は貴重なお話をありがとうございました。

ありがとうございました。


※取材/撮影:青嵜 直樹(さつま町地域プロジェクトディレクター)


◆◆◆ 認証品のご紹介 ◆◆◆

株式会社 日野洋蘭園『完熟マンゴー 月姫』

竹林の里さつま町で胡蝶蘭などを栽培している株式会社 日野洋蘭園の一員が、町内で約15年間に渡ってマンゴーの栽培を手掛けれられていた方から熟練した技術を引き継ぎ、長年愛されてきた"さつま町産"のマンゴー栽培に現在も取り組んでいます。
芳醇な香りと大きく豊かな完熟マンゴーを満月に見立てて、商品名を「月姫」と名付けました。果実の味を最大限に引き出す為に、1株に対して果実を50~60個に制限して完熟させ、色合い・形を厳選した最高級の一品です。季節限定の味となりますので、ぜひ便利なECサイト(食べチョク・産直アウル・ふるさと納税)もご活用いただき、逸品の味をお楽しみください。


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