J2第4節J3第3節レビュー

皆さん、おはこんばちは。あっ、懐かしいと思った人はもうおじさんだ。テレビアニメ『Dr.スランプアラレちゃん』に出てくる挨拶ですね。もうこのくだりどうでも良い? はい、わかりました。

そんなわけで先週末に行われた試合のレビューを行なっていきましょう。今週も水曜にリーグ戦があるので過密日程だなーとしみじみ実感しております。

1.流れを引き寄せたGKの好守

J2第4節
ファジアーノ岡山0ー2ギラヴァンツ北九州
MOM:永井堅梧(北九州)
金曜夜に行われた唯一のナイトゲーム。Jリーグの試合では再開後初めて有観客試合が行われたことで、かなり報道陣も押し寄せてたみたいです。全国放送のニュースでも取り上げられたそうですね。
試合の中身に話を移しましょう。まず、ボール支配率では北九州の方が優勢でしたが、これは岡山がやや構え気味に、北九州がハイプレス気味の守備を見せていたことが一因だと思います。もう一つは、終盤に北九州がボールを持ちながら時間を使っていたことなんですが、それは後のお話。
岡山は元々守備から入るチームですし、北九州は守備構築に定評のある小林伸二監督ですので、やはり互いにまず守備の部分の良さが目立った印象です。
その中で、北九州は國分選手と加藤選手の両ボランチが上手くパスを散らしながらゲームメイクに関わっていました。実際、ボールタッチ数は両チーム合わせてこの2人が最も多かったみたいです。右の高橋大悟選手も前節の活躍からノっているように見えました。
一方で岡山は前線にイヨンジェ選手がいますので、まず彼が真ん中で構えながら2トップの相棒である清水慎太郎選手が流れながらボールを引き出す。上門選手もスペースを見つけながら動き、SBの椋原選手と共に崩しに入っていく。
北九州の長身FW鈴木国友選手とイヨンジェ選手が対照的な動きをしていたのが対比として見てて面白かったです。
前半は岡山に3本決定機がありましたが、どれもGKの永井選手がストップしました。お互いに前半はミドルシュートが多く、PA内でのフィニッシュが課題かなという印象でした。それだけ守備がしっかり機能していたということでしょう。
一点、北九州は中盤でのボールロストに気をつけたいかなという感じでした。
さて、後半。先にPA内からのシュートを打てたのは岡山のイヨンジェ選手でした。しかし、これまた永井選手がビッグセーブ。
この後、北九州のセカンドボール回収率が高まり始め、61分に試合が動きます。高橋大悟選手がこぼれ球を叩き込み先制しました。
更にこの2分後に相手最終ラインの裏を取った佐藤亮選手が追加点を決めます。
この追加点が大きかったですね。岡山が先制され、「まずい!前に出なきゃ!」となったところでこの失点ですから。このダメージは大きかったと思いますし、裏のスペースへのリスクマネジメント意識が高まってしまったことも相まり前に行きにくくなってしまいました。
結局このまま北九州が完封勝利。終盤は北九州がボールを回しながら時間を使い、どちらが負けているチームなのかわからないような展開でした。
この試合、流れを分けたポイントは2つあります。1つ目は永井選手のビッグセーブ、すなわち先制点を与えなかったことです。2つ目は佐藤亮選手の決めた追加点です。
この観点から私はMOMを永井選手に決めました。枠内シュート5本、全て永井選手が止めてますからね。彼の試合貢献度は非常に高かったと言えるでしょう。
相手に攻められながらも先制点を与えず、逆に自らが先制。その直後に追加点。まさに北九州が岡山を術中にハメたような試合でした。最初から狙っていたわけではないと思いますが、結果的には北九州の試合巧者ぶりが印象深かった、というのが私の感想です。

2.強いぞブラウブリッツ秋田

J3第3節
ヴァンラーレ八戸0ー2ブラウブリッツ秋田
MOM:久富賢(秋田)
秋田にとっては東北対決3連戦の3戦目となりましたが見事な完封勝利で開幕3連勝を掴み取りました。流石の吉田謙監督。本当に手堅いです。素晴らしい。
八戸が4-3-3、秋田が4-4-2で入ります。八戸は怪我人や出場停止もあり、大幅にメンバーが変わりました。中盤の底には貫名選手、右のWGにはJFLから加入した黒石選手がJリーグ初出場。更に左のWGは前節好調だった高見選手から秋吉選手に変更しました。3トップの中央も前節得点を決めた安藤選手から上形選手と随分大胆な選手変更でした。
インサイドハーフにも前田選手、CBには穂積選手、左SBには佐藤選手と中盤から最終ラインも選手変更が入ります。
秋田も左SMFを久富選手から前節得点を決めた茂選手に変えていました。
さて、試合の方ですが、お互いに球際の激しさが目立つ一戦となりました。秋田はわかるんです。そういうサッカーですし。でも、八戸も同じくらい厳しい寄せをボールホルダーに対して見せていました。あえて秋田と同じ土俵に立とうとしたのかもしれません。
攻撃の方は八戸がビルドアップを仕掛けるのに対して秋田は縦に素早くという形で、これは事前のスカウティングの通りだったかなという印象でした。八戸としては前線へのロングボールの出し手を封じたいという思いもあったのかもしれません。
それからもう一つ。この日の八戸は攻撃時はピッチをワイドに使っていましたが、守備時には前節よりも横方向にコンパクトな陣形になっていました。恐らく秋田の2トップ対策ということで、DF同士の間を埋めにいったのだと思います。
局面での激しさを見せた一戦は前半が終わり後半へ。63分に両チームの監督が勝負を仕掛けます。八戸は高見と安藤を投入、秋田は沖野に変えて久富を投入し右SMFの位置で起用します。
交代策がはまったのは秋田でした。変わった久富が右サイドでタメを作り山田へパス。これをクロス気味にファーの中村に当てるとGKの弾いたこぼれ球を再び中村が押し込み先制します。
この場面での久富のターンを交えたボールキープが本当にオシャレ。何度でも見たくなります。交代出場で入った背番号11が我慢の続いた秋田に流れを引き寄せました。
更に得意のセットプレーから追加点を決めた秋田。持ち前の粘り強い守備も光り、見事に完封勝利を成し遂げました。
先程の北九州と同じですが、秋田も先制点をもぎ取るまで粘り強く我慢しながら、流れを引き寄せました。更にセットプレーから追加点という流れのツボを抑えたゲーム進行。やはり吉田監督の作るチームは伊達ではありません。堅実な強さと自分たちが日々積み重ねているものへの揺るぎない自信を感じます。
敗れた八戸ですが、こちらも下を向く必要はないと思います。良い攻めは見せていました。惜しい場面もありました。最後の場面を先に決めきっていればというシーンはありましたが、いわゆる決定力というやつは一朝一夕で身につくものではありません。自分たちのやろうとしていることを貫き続けることが大切だと思います。
MOMは途中出場で流れを変えた久富選手を選出しました。というか、あんなボールキープ見せられたら、あれだけで選ばざるを得ません。それまでも献身的な動きでチームに貢献していますし、吉田監督好みの選手だと思います。

3.多彩な攻め手を披露した水戸ホーリーホック

J2第4節
モンテディオ山形1ー1水戸ホーリーホック
MOM:佐藤昭大(山形)
\DIO/が\水戸/に聞こえる痛恨のミス。たぶんそう聞こえたのは水戸サポだけ。うん、知ってる。
皆さん、まずスタメン見て驚きませんでした? 「何だこのメンツ?」ってなりましたよね? キム兄もいない康太もいない。CBが3人いる。「ボニをボランチで使うの? それとも3バック?」みたいな。まあ、とにかく混乱しました。山形側も混乱したと思います。
蓋を開けてみれば3バックでした。3-4-2-1の山形に対して3-5-2で対抗してきたのです。もうめっちゃビックリしましたよ。
ビックリしたといえば、水戸の戦い方です。それまでの水戸は基本的に足元でビルドアップしながら攻めていく、いわゆる遅攻という感じの戦い方でした。
しかし、この日の水戸は違います。ビルドアップする場面もありましたが、中山やサイドのスペースへのロングボールを交えた攻め、更に鋭いカウンターも見せるなど柔軟な戦い方を見せてきました。
正直一本取られました。1週間でここまでバリエーションの豊富さを見せてくるとは思いもしませんでした。後半途中には4-4-2にシステム変更する場面もありましたし、今年の水戸様は観ていてめちゃくちゃ面白いチームになってると思います。
とはいえ、山形も山形でやはり昇格候補です。水戸の高いラインの裏をロングボールで脅かしながら、時にはCBも攻め上がりつつ水戸の守備ブロックを崩しにかかります。また、試合中にシステムを3-5-2に変えてあえてミラーゲームに持ち込む場面も見られました。
ちなみに、末吉選手と外山選手のマッチアップですが、両チーム左サイドを中心に攻めていたこともあり、どちらかというと攻め上がった外山VS守る末吉のような構図でした。末吉選手の攻め上がりがあまり見られなかったのは残念ですが、それは山形の戦略だったのかもしれません。
この日良い動きを見せていたのが水戸のインサイドハーフに入った村田選手でした。とにかくボールを持てるんですよ。持てる、運べる、キープできる、はたける、自らフィニッシュにも持ち込める。これまではCFやSMFで起用されていましたが、インサイドハーフは彼が活きるポジションなのかもしれません。今後3バックは継続しても良いかもしれませんね。
ただ、それ以上に素晴らしかったのが山形のGK・佐藤昭大選手でした。彼が公式戦に出場するのは去年の天皇杯以来です。昨年リーグ戦での出場はゼロ。櫛引の故障もあり久しぶりに巡ってきた出場機会でビッグセーブを連発、流れを引き寄せました(山口選手のゴールは止められません。あれは決めた山口がヤバい)。
流れという部分でも先制点を与えなかった彼の守備は素晴らしいものがあります。しかし、それ以上に昨年1年間ほとんど公式戦に出場していなかった彼が、スクランブルで出場することになった中で見せた安定感こそ称賛されるべきだと思います。どんなときでもチームのためにトレーニングを怠らないその姿勢。まさにプロスポーツマンです。
そのような観点からも佐藤昭大選手をMOMに選出させていただきました。

今節は以上となります。水曜にはJ2とJ3がありますが、流石に平日デイゲームは見られないので、水戸ー松本しか見られないと思います。
プレビューは火曜までには上げますので、また是非読んでください。それでは!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?