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冠夜集

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鎖月いのるの短歌を月ごとにまとめた冠夜集(かんやしゅう)。 日々のあれこれや特別な思い出を約三十一字で表します。
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#現代短歌

2024年 6月 短歌まとめ

連作ポジディブ希X念慮 顔つきが強ばっている午前九時 口紅を塗る余裕はなくて いなくても一…

2024年 5月 短歌まとめ

連作プールの水ぜんぶ抜く 忙しない日々のすべてが疎ましく 五月が一年中続いてる おじさん…

2024年 4月 短歌まとめ

連作花をむすぶ 花瓶には色鉛筆のみずいろで描いたカーネーションが息する 花になるための葉…

2024年 3月 短歌まとめ

連作日々溺々(おぼおぼ) 暮らしから逃げたくなって走っては疲れて気づく 暮らしにいると 気…

2024年 1月 短歌まとめ

連作ひきこもこも 名作の「サタデーナイトフィーバー」は言うほど面白くもなかった 前髪が切…

2023年 12月 短歌まとめ

連作下の句はゆるして 周り見て記憶を探って見たけれど たった一首も浮かばなかった 「詠み…

2023年 11月 短歌まとめ

連作思想エントランス 旅先で出会いしイタリア・韓国の英語に日本訛りを交ぜる カラフルなエントランスの小説がぜんぶ村上春樹でこわい トーストの真ん中らへんにマーガリン じゅわりじゅわりと埋まりました 帰る家 どんどん遠くなっていく スパイダーマン がんばれ 明日も レコードが羽織るジャケット堂々と「サッチモフレンズ」私もいれて オフィス三六五 忘れないようにあちこち付箋貼る 父に教えてもらった言葉 ハスキーの後頭部から加湿する 効果あるのかよくわからない 「無

2023年10月 短歌まとめ

連作のもの風の境目 オクトーバー タコみたいだね 10なのに オーガストはさ、秋みたいよね …

2023年 9月 短歌まとめ

連作のもの拾えぬ骨 女の子扱いに飽きてきちゃったし 副流煙は肺に悪いし 「眠いなら風呂に早…

2023年7月 短歌まとめ

連作進捗どうですか “Command”をコントロールとよぶあたし 窓から見える景色はきらい 【親…

2023年5月 短歌まとめ

連作ベンジャミン・帰郷 茜さす空の裾野にふるさとが、私の帰るふるさとがある。 まもなく2…

2023年4月 短歌まとめ

連作社会の中で 故郷への列車があると伝える電光掲示板の明るさよ 無意識に頑張る力があるか…

2023年3月 短歌まとめ

連作春のたびに この坂がいつまで続くかも知らずに足をさし出すただ前を見る つぼみからこぼ…

2023年2月 短歌まとめ

連作パンプス 着るたびに襟の出し方わすれてる四年前のスキッパーシャツ 我は行く朝陽のぼりし冬の道 入学式より馴染んだスーツで つま先の痛みが何を産むの「履きやすい」が取り柄のパンプスに問う 受付のバイトをしつついつしかのクソ上司のこともいちど呪う そういえば建前だけの会話が得意だったねやさしさの外で 貸衣装屋の身勝手な振る舞い: 殿様商売に地域差はなし 卒業旅行 三つずつ串にささったみたらしのように過ごしてきたわたしたち 写真では可愛くても歩き姿がアレじゃあ