鎖月いのる

日々の気づきや短歌などを投稿しています。 ホームページあります。 🔗https://s…

鎖月いのる

日々の気づきや短歌などを投稿しています。 ホームページあります。 🔗https://sponge-ptarmigan-66b.notion.site/3955e1764747429fb2eca196f9960ffe

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  • ウマノアシガタ

    鎖月、エッセイに挑戦します

  • 冠夜集

    鎖月いのるの短歌を月ごとにまとめた冠夜集(かんやしゅう)。 日々のあれこれや特別な思い出を約三十一字で表します。

  • 机上の星

    鎖月いのるの詩をまとめた机上の星。 不定期更新です。

  • 番組ブログ

    鎖月いのるのラジオ「そうは問屋が卸さねえ」の番組ブログ 放送は記事から聞けます。

最近の記事

気の向くままに

起床してから身支度を整えるまでは普通だった。 きっかけは「あれどこにしまったっけ?」「あれ持ったっけ?」という漠然とした不安の連続。自分が嫌いになって、立てなくなって、外に出られない気がして、仕事に行ってもこのままな気がして、私は休んだ。 無くしてたと思ってたスーパーのポイントカードが財布から出てきた。今かよ。 とりあえず午前中休んだら回復するよね、と思いまずはその旨を連絡。ひんやりした床にぺとりと頬をつけて、泥のように寝た。寝ても寝ても満足出来ない。iPhoneだけは

    • 2024年 4月 短歌まとめ

      連作花をむすぶ 花瓶には色鉛筆のみずいろで描いたカーネーションが息する 花になるための葉と幹と茎と根 すべてが春のための血管 錠剤を押して流して溶かす日々 不入山から始まる運河 前髪をオドレイ・トトゥにした午後は運良く苺がもらえたりする 小さな死 桜の雨は冷たくて アスファルトはアスファルトのままで 副作用につき リクルートスーツで信号を待つ子ら 生きてるだけでえらいね えらい 友だちは少ないけれど密だから普通に裏切られたりしてる(笑) 要点はパワーポイント

      • 夜の気付き - 一人称

        寝る子がぐんぐん育っている丑三つ時、Creepy Nutsの「ビリケン」をセルフエンドリピートで3時間ほど聴いていた。もちろん明日も仕事だ。 ラジオでRさんが話していたが、この曲はRさんにお子さんが誕生したことがきっかけで完成した楽曲だ。 リリックのここだけで、Rさんがわが子に対してどのくらいの愛を持っているかを感じ、立ちくらみがした。(すな) し か も Rさん、「お父ちゃん」って言ってる......! とここで一旦気を失った。 一人称「俺」のRさんが「お父ち

        • 2024年 3月 短歌まとめ

          連作日々溺々(おぼおぼ) 暮らしから逃げたくなって走っては疲れて気づく 暮らしにいると 気がつけば頁をめくる時間すらなくて栞がちいさく眠る 血がにじむ 生きているからまた転ぶ 立ち上がるため今、息を吸う ヘルジャパン産めと容易くいうけれど わたしのいのちはわたしのいのち 悪魔の実 食べたらただの悪者になるだけの人生な気がして 春らしさ 一年のインクの厚み「完了」と大きく躍るとめ、はね、はらい 陽射しから冬の終わりがこぼれたら昨日のニットもう着られない 恋よ

        気の向くままに

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        記事

          2024年 2月 短歌まとめ

          連作社屋が砂浜 やさしさに「わたしなんか」を包まれて 泣き顔の午後 飲む抹茶ラテ 本日の営業は終了しました 安定剤を飲みすぎました コンクリの社屋が砂浜になればそのまま海に沈みゆきたい 吾が肺のポンプ破れるその日まで死ぬまでの道はずむローファー 弱くとも生きていくから明日だって 豊かな笑い声も聞こえる 宇宙をつかむ 土曜日はあなたを照らすふた粒の白いひかりになる ゆらゆらり かなしみのその中にいてそれでいてほつれることなく着るアイボリー 教室は小さな宇宙

          2024年 2月 短歌まとめ

          私は 絵に描いたような 美人ではないけれど この顔は 日によって 母に似て 父に似て 祖母に似て 祖父に似て 叔母に似て 兄に似て 姪に似て 従姉妹に似て そうして 私の顔であること それがとてつもなく いとしい

          ちいさいいのるちゃん

          ちいさいいのるちゃん ちいさいいのるちゃん 今日も悲しくて泣いたの いのるちゃん おとなになったら いつか涙が出なくなると 思っていたね いのるちゃん いのるちゃんは今夜も 泣いているよ 今もおなじ まぶたの腫れ方だよ ちいさいいのるちゃん ちいさいいのるちゃん 今日も悔しくて泣いたの いのるちゃん おとなはみんな 泣いちゃいかんと言ったね いのるちゃん いのるちゃんの涙は いのるちゃんだけのものだよ これからもずっと ね

          ちいさいいのるちゃん

          2024年 1月 短歌まとめ

          連作ひきこもこも 名作の「サタデーナイトフィーバー」は言うほど面白くもなかった 前髪が切りたくなった午後一時 きみに眉毛を見せておきたい 右側のボタンを押して放り投ぐ ネットの海に魚はいない かつおかつお かつおを食べて肥えても 公開したくないの 私は どうぶつと遊びし夜は快晴で きらり 落ちゆく液晶の星 ゆめの港町 海辺では昔の恋がきらめいて吸いこむ酸素 鼓動のリズム 正解を否定されたら怖いからこころのノートは余白が多い まぶたでは海からあがったばかりのあ

          2024年 1月 短歌まとめ

          2023年 12月 短歌まとめ

          連作下の句はゆるして 周り見て記憶を探って見たけれど たった一首も浮かばなかった 「詠みたい」と「詠める」は全く別物で たった一首も浮かばなかった 壮絶な恋や争いごとも無く たった一首も浮かばなかった ピクミンとカビゴンの世話で忙しく たった一首も浮かばなかった 光る犬 かわいいなあ ビカビカビカ たった一首も浮かばなかった ふわもこ短歌 私だけ大きくなってしまったね ずっとふたりで育ってきたね 腕まわり綿が減ってきちゃったね毛糸の服を着て出かけよう =AV

          2023年 12月 短歌まとめ

          2023/12/14 ガチ近況

          牛乳をマグカップに注ぎ 電子レンジで1分10秒温めた。 食べかけの板チョコレートが 三つ並んでいたので ぶちこんだ。 溶けているようで それをまったく見せないので 飲み頃がわからない。 飲み頃があるのかもわからない。 冷めるのも嫌なので一旦飲む。 スプーンで混ぜた方がよさそうだ。 まだら模様のホットミルクになった。 あ、 チョコ模様のホットミルクになってきた。 反抗期のミルクココアみたいになってきた。 テレビドラマの夜のシーン 絶対にレースカーテンだけだよね

          2023/12/14 ガチ近況

          2023年 11月 短歌まとめ

          連作思想エントランス 旅先で出会いしイタリア・韓国の英語に日本訛りを交ぜる カラフルなエントランスの小説がぜんぶ村上春樹でこわい トーストの真ん中らへんにマーガリン じゅわりじゅわりと埋まりました 帰る家 どんどん遠くなっていく スパイダーマン がんばれ 明日も レコードが羽織るジャケット堂々と「サッチモフレンズ」私もいれて オフィス三六五 忘れないようにあちこち付箋貼る 父に教えてもらった言葉 ハスキーの後頭部から加湿する 効果あるのかよくわからない 「無

          2023年 11月 短歌まとめ

          ツートーン2023

          黒髪の推しが突然、髪の上部が金、下部か黒のツートーンにしたら、あなたは狼狽えずに手放しでキャッキャいえるだろうか。 もちろん、私は言えなかった。絶句に絶句を重ね、現在も「似合ってるー!超カッコイイ!」は無期限活動休止中である。間違えて「大学1年生みたいだね!」とか言ってしまいそうなので、本当に気をつけたい。 まあでも私の一存で彼の髪の毛の色を決められるわけではないし、ヘアメイクの類まれなる技術でイケメンが転がり落ちてくる可能性もある。少なくとも素材がいいので、有りうる。

          ツートーン2023

          自分の卒業式で歌えなかった話

          限りなく青いーーーーー❗️❗️❗️❗️ で一気に三叉路に出るこの歌。 卒業式で歌ったことがある人も多いのではないだろうか。 かくいう私も中学3年間、そのうち2回は先輩方を送るため、1回は自分が飛び立つために歌った。 「桜の花びらたち」ばりに代表的な卒業ソングなのでもちろん楽曲は知っていたが、歌うのは中学1年の冬が初めてだった。 主線は3年生。下級生たちはハモりを担当する。 卒業生を気持ちよく送るため(といっても中高一貫校なので隣の建物に押し込むだけなのだが)私たちは音

          自分の卒業式で歌えなかった話

          適応障害につき、にっちもさっちもいかない【近況】

          季節の変わり目。 慣れない、負担の多い仕事。 ずっと私を見守ってくれた伯父と祖母の死去。 今秋の私は、足がもつれて膝から崩れ落ちるような勢いで体調を崩していった。 今月に至っては仕事を3日休んだ。新卒の、数少ない有給の一部は涙と鼻水と一緒にティッシュにくるんでどこかへ行ってしまった。 こんなに弱ってもよくしてくれる先輩方にも申し訳ない。しかし、「申し訳ない」という気持ちを遥かに超える高さの情緒の波が、私のこころや胃腸や頭や喉に到達してくるのである。 適応障害というのは

          適応障害につき、にっちもさっちもいかない【近況】

          あばれんぼ

          黒く碧い海を飛び 背の高い草原を泳ぎ オレンジの空を駆ける 真っ赤な花弁を食べて チーズケーキをひっくり返して 白い服を脱ぎ捨てる 小鳥と眠って 父と母と手をつなぎ 「地球は丸いんだね」 と、言えるまで歩く 辛くなったら 死んだとき どこに行くかを考える ようにしている

          2023年10月 短歌まとめ

          連作のもの風の境目 オクトーバー タコみたいだね 10なのに オーガストはさ、秋みたいよね この秋は安いと聞いたシャインマスカットが買えぬ新社会人 木漏れ日が忙しくそよぐ公園で江國香織をしずかにひらく まひるまの手帳の隅に咲く花はインクの黒に負けじと白し 着信がてめえの名前で鳴ったから モスコミュールをごくごく飲んだ 「どうしてそんなに指輪をつけるの?」それはね、お前を殴るためだよ。 鎖をちぎる 冷え込んだ空気を肺にふくんだらロストチェリーが恋しくなった 喪

          2023年10月 短歌まとめ