鎖月いのる@短歌|エッセイ|詩

徒然なるままにnote。 ホームページ、ございます。 https://sponge-ptarmigan-66b.notion.site/3955e1764747429fb2eca196f9960ffe

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静かな夜

まっすぐな白い光が あなたを照らしますように 静かな夜のひとつひとつが あなたを見守りますように

    • 休職し、転倒す

      適応障害が悪化して休職し1週間。ただいま実家でニート中。 ときどき立ちくらみがするが、身体が順応し「免震構造」になってきたので倒れず済んでいる。 一方、眠気は抑えることができず、午前か午後のどちらかは寝ている。まあ、悪いことではないので今はじっとしておこう。 落ち着いてきたので、休職した日のことを記録しておこうと思う。 その日は朝から病的な睡魔に襲われ、午前は出勤できずウンウン言いながら寝ていた。 正午、顔中にチークを塗りたくってから出かける支度をする。(前回出勤した際に

      • オリオン座、見えますよ

        3連休明け、明日から仕事。私は金曜も行けなかったから、4日ぶりの出勤だ。部屋の灯りを落とす。明日7時、陽の光で目覚められるように遮光カーテンを半分だけ開けて眠る。気休めの幸せホルモンをゲットしようという魂胆だ。今のところ効果は感じられていない。 休職はなるべく早くという話になっているけど、引き継ぎ事項があるからすぐには難しいらしい。業務上仕方がないことは重々承知の上で、もう許してほしい、休ませてほしいと胸が苦しくなるばかりだ。 今夜はなかなか寝付けずに1時間が経過してしまった

        • 2024年 10月 短歌まとめ

          連作常夜灯の下で 死にたいと思った夜に先輩が生きているのかただ気になった シャボン玉越しの幼子 丸靴で地球をあるく パチンと跳ねる バイパスを夜行バスが跳ねて行く 私のマットレスは硬すぎる 仕事するまねしてちいさく詠むときに指先で三十一文字数ふ 楽しい歌を詠もうとす 病人は病人なりの愉快な鼓動 連作でないもの 父として十一話分生きたきみ最後は花を抱きて笑う ねえ、君の頬を染める朝焼けに 私も染まってみたいな、なんて 踏み潰す、街を、ビルを、校庭を。そしてすべ

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        • 机上の星
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          適応障害してる

          10月に入ってから体調がよろしくない。 今週は2日仕事に行けていない。 会社を休む朝に上司に打つメール。 挨拶して、体調の悪いことを伝えて……謝って、それから…… 引き継ぎ事項があれば伝えて……ええっと、挨拶のあとはこういう文章で失礼じゃなかったっけ……?送るまでに8分以上かかった。 昨日は心療内科の受診日だったが、とてもじゃないが外出できそうになかった。 電話をかけて、名乗って、今日体調が悪いことを伝えて……謝って…………で、別日にしてもらって……謝って……あっ、まずは

          ぬいぐるme

          一緒にお出かけしようね。 いろんな景色を見て、ジャズを聞いて、ホットケーキをたらふく食べて。美術館も、古着屋も、書店も、全部行こうね。タバコの匂いがする場所では、すこし隠れててね。 本を読もうね。ページをめくるのが早かったら遠慮なく言ってね。私たちはもう、俵万智と江國香織を1億回ほど読んでしまったね。モーパッサンを読み始めるとすぐに寝ちゃうね。これはもうどうしようもなくて、決まったことなんだよ。 同じ布団で眠ろうね。少しつめたい鼻が頬に触れる時、私、世界でいちばん幸せなの

          盛り塩をすてる

          勤め先が収まっているビルはオシャレなガラス張りで、オフィスとは思えないようなスタイリッシュさ。階段も若干透けている。観葉植物なんかも飾っちゃって、広々としたエントランス。そして盛り塩がそこら中にある。 何人もの社員がポルダーガイストを経験している。 女性用トイレで出ただの、勝手にドアが閉まっただの、厨房の監視カメラに映ってただの、何も無いはずの天井から水滴が落ちてきただの、大なり小なり話が尽きない。 しかし、私は霊感がない。 幼い頃こそ得体の知れない霊の話を聞いて怖がっ

          2024年 9月 短歌まとめ

          連作五時チン 少年が薄暗さ増す公園で本を読んでい…あ、おばあちゃん 労いの明細からも差し引かれ 五十円引きのりんごを買う アイシャドウパレットの右のブラウンを猫のかたちに使ってみたにゃ 五時チンの空が茜に差しかかる 明日もここに来るのはいやだ 前髪をざくざく切れば清々し うだうだしてるわたしも愛し 永いお昼寝 このままじゃダメじゃないか?このままじゃダメじゃない、か。このままでも可 つらくても袖をとおった右腕がわたしを抱きしめてくれない オレンジを纏った母の

          泥まみれの生活

          9月、謎の繁忙期。口内炎がふたつできた。ヤーズフレックス3シート処方してもらい金がぶっ飛んだ。定時後、取引先からのどうかしてるメール。話の通じない社員。通じた頃には午後8時。 泥まみれの社会人生活です、なんていいたくなるような金曜日だった。 今週末は散髪した。顔周りの毛をウルフっぽくしてもらうこと、先週むしゃくしゃして切った前髪を整えてもらうこと、後ろ髪も全体的に短くしてくれというむちゃくちゃなオーダーでも叶えてくれる美容師さん。行きつけのジャズ喫茶が縁で、社会人になってか

          食べざかりの君たちへ〜パラダイス〜

          先日、生まれて初めてつけ麺を食べた。 つけ麺を食べたことがない諸君のために説明しよう。つけ麺は平皿に茹でられた麺、どんぶりにスープが入った状態で提供される。私が頂いたつけ麺は中華そば麺であった。 この麺を箸で程よく掴み、スープの中につける。それを美味しそうにすする!私はうどんやそば、ラーメン、そして今回のつけ麺もすすって食べる派だ。 この、掴んで入れて再度掴みすするという反復を麺が無くなるまで行うのがつけ麺である。 絶対にラーメンでいいだろ。 ラーメンはそもそも麺がスー

          食べざかりの君たちへ〜パラダイス〜

          2024年 8月 短歌まとめ

          連作久しぶりのドライブ ゴトゴトと海岸線を汽車は行く 車窓が切り取る恐怖の青さ いくつになっても私は父母の子であるらしいひかる白桃 ばあちゃんの卒塔婆を積んだ白ワゴン 久しぶりにドライブしようか 父に似た老人を見る 夕空に ノアザミ シオン 風の匂いに 紅色の百日紅逝く高架下 夏まで待てないと言ったきみ 週末は雨 憂鬱なこどもになった白い夏 窓の外で揺れるぬいぐるみ 労働に向かぬ身体と精神が五月雨式におねんねします ぼんやりと位置づけていた在り方はつまり子宮

          喫茶中毒

          ジャズを、ランダムなプレイリストではなくアルバム1枚をそのままかけてくれる喫茶店。 コーヒーカップを置く時にイギリス式にしてくれたり、イギリス式で置いてからアメリカ式にしてくれたりする喫茶店。 メニューのチーズケーキが、ベイクドチーズケーキを指している喫茶店。 大きな声を出してはいけない喫茶店。 でっかいでっかいホットケーキがある喫茶店。 建てられた当時のままを残していて、「化粧室」と明朝体で書かれた先の扉を開けた時で、便器だけが最新になっている喫茶店。 このよう

          私がまだパンだった頃

          肘を直角に曲げて腕を垂直にすると、うっすらとした線が二つ、等間隔で出てくる。 赤ちゃんのむちっとした腕を「ちぎりパン」と称して愛でることがあるが、おそらくその名残りだろう。乳児線という呼び方もあるらしい。なぜこれが残るのか、残念ながらインターネットに信用できる情報はなかった。 今では信じられないくらいに小さかった頃、「いのるはどうやって生まれてきたが?」と母に質問した。 母は『お母さんが小麦粉をいっしょうけんめいこねてこねて、ふわふわのいのるになったがよ』と言った。 さす

          2024年 6月 短歌まとめ

          連作ポジディブ希X念慮 顔つきが強ばっている午前九時 口紅を塗る余裕はなくて いなくても一緒じゃないか 私など 水で流したクロチアゼパム 息を吸う 吐く息を吸う吐、息を吸、吸う、吸、吸う、吐く、吸う、吸う、吐、吸う ボジティブな希死念慮に包まれてる あたし 来世は水星になる 「死にたい」にエモを感じる健康なからだとこころ大事にしろよ 連作でないものいつまでもぼうっとしてていつの日かぼうっとした化石になれるよ どうしてもドアを開けられない朝に慣れてしまって涙も出

          ヨレヨレのパンツ

          ヨレヨレのパンツを干していたら ちょっといろいろ書きたくなった、ので書く。 仕事で熱意を求められるたび、辟易する。 私の人生の一部分でしかないのに出しゃばりすぎだ。なるべく残業せずに帰る。職場で排便する。コーヒーメーカーを使い倒す。考えているふりをする。聞いているふりもする。効率的に仕事をしたら新しい仕事が巡ってくるだけなので、常にカツカツを演出する。仕事ができない人間だと思われてもいい。期待されるより都合が良い。 私にいい人を紹介してくれる人、みんな男性をご用意くださる

          2024年 5月 短歌まとめ

          連作プールの水ぜんぶ抜く 忙しない日々のすべてが疎ましく 五月が一年中続いてる おじさんの鶴のひと声のせいです 全部おじさんが悪いんです 単純な性格なのよわたしって 泣きたい時は我慢しないの 水の子が旅をしていてわたしまだプール開きの気配がこわい カラオケで抱きしめていた歌声を溶けた氷をきみのからだを ラミー あたしにはビリー・ホリデイがあるから いいのじゅうぶん幸せよ今 恋愛の仕方を忘れたような気がしたような気がしたような気が…… ゲレンデはあたしが連れて