2023年10月 短歌まとめ

連作のもの

風の境目

オクトーバー タコみたいだね 10なのに オーガストはさ、秋みたいよね

この秋は安いと聞いたシャインマスカットが買えぬ新社会人

木漏れ日が忙しくそよぐ公園で江國香織をしずかにひらく

まひるまの手帳の隅に咲く花はインクの黒に負けじと白し

着信がてめえの名前で鳴ったから モスコミュールをごくごく飲んだ

「どうしてそんなに指輪をつけるの？」それはね、お前を殴るためだよ。

鎖をちぎる

冷え込んだ空気を肺にふくんだらロストチェリーが恋しくなった

喪服は レースもスカートもやめたの 私のままで見送るために

ゼイトクス 私を月に連れてって…ラジオ英会話のエイリアン

フライトの到着時刻を教えて ナイフと受話器の温度は同じ

図書館に行かなきゃ本を返さなきゃ明日も生きなきゃもう眠らなきゃ

うさぎ座、何位

背の高い白菊抱え砂浜へ こんなすがすがしいのに喪服

あの愛が愛と呼べないビョーキなら 延命治療はしないからねー

抑うつにこれでもくらえという感じ 待合室はみどりが多い

占いの恋愛運が当たらない 今夜もハイボールがおいしい

牡牛座はかわいくないからうさぎ座にしてと星にリクエストする

がんばって眠ってみるから 絶対に 朝にしないと約束してね

連作でないもの

睡蓮の浮かぶ庭なら知っている ここより東 はるか東に

コラム

あっという間に10月は終わり、
そのくせ夏日という
わけのわからない日々が続いている。

生まれて初めて喪服に袖を通してみたが、
思ったより似合っていた。
NANAのヤスみたいにクールで。(言い過ぎ)

これをあと何回着れば
自分の番がくるのだろう？

───

ハロウィンの夜、
むちゃくちゃ体調を崩した。

もう3年の付き合いなのでわかる。
こりゃあ確実に適応障害である。

月曜からはお仕gセーラー戦士としての
務めを果たせるよう、今はしばしの休息を。