見出し画像

最近飲んだナチュラルワイン-82

まだ京都にいます。飲んでばっかいるけどそれ以上に仕事ばっかしてます。それでいいの、だってこれは日常なんだからって言い聞かせてる割に実は、ホテルのロビーで韓国人が辛ラーメンとサッポロビールで大騒ぎしてるとやっぱり非日常だなって思うあたり、まだまだ家無し宿暮らしレベルの低いこと低いこと。でもビールがサッポロなのは正解だって一人静かに頷きました。

・フランス、アルザス
・サンズ・オブ・ワイン
・ラオーニ2019/リースリング

アルザスのサンズ・オブ・ワイン。アマゾン先住民の長老をモチーフにしたエチケットも格好良いですが、味わいもカラフルでいて芯は食ってる、力強さと華やかさを兼ね備えた一杯です。

2005年に設立されたヴァンナチュール協会の共同設立者でありながら、自身のワインを作り始めたのは、2016年にクリスチャン・ビネールが新しいカーヴを建て古いカーヴを貸してもらってから。それまでの業界への貢献と人望の厚さで名だたる生産者達からブドウを買えるってのもいいストーリーだ。

アコヤ貝。もずく。茗荷。無欠の一品。

・イタリア、リグーリア
・ステーファノ・レニャーニ、
・ポンテ・ディ・トイ2018/ヴェルメンティーノ

じんわりと染み渡るイタリアはリグーリアのオレンジ。ヴェルメンティーのらしい軽快さの中に、まったりとした蜜感があって2杯目のムードにぴったり。

私がこの世で最も好きな食べ物の一つ
そば 酒 まつもとの「もりそば」

大げさではなく今回もこの蕎麦を食べに京都に来たようなもの。あとはちょっと気分転換に作業場所を変えたようなもの。京都を訪れる時はいつも日中仕事夜は毎日飲み歩くスタイルでしたが、今回なんてもはや家が無い状態で来てますから、日常の延長線上感が強くて、でも年末年始ということで日程的に1回しか訪問できないのが悔しくてたまらない。でもまだ体内に残ってる蕎麦の香りを頼りに、私は長野へと旅立つのだ。と書いたらただ代謝悪いみたいで嫌ね。毎日3回出てます。

・フランス、アルザス
・サンズ・オブ・ワイン
・スキンコンタクト ピノグリ2020/ピノグリ100%

店主のお顔で棚田を形成してしまい
申し訳なく思う中で飲むワインもまた美味。

京都にこれほど短期間のうちに二つ目のサンズ・オブ・ワインを飲むことになるとは(最終的には3つ飲みました)。ローラン・バーンワルトの息子ステファン氏が育てたピノ・グリ。バーンワルトのワインは最近飲みましたね。迸る生姜感が師走の疲れた身体に喝を入れてくれた。

さて、サンズオブワインのピノグリ 。酸化熟成による、芳醇なチョコレート香や腐葉土感。それこそチョコ菓子なんかを紅茶の代わりに合わせるだけでこの世界を支配できそう。軽い話題の会話を重力強めに進める場面で大活躍。

年末にしっぽりと一人で飲むことで一年を穏やかに振り返ることができ、来年に向けて決意を新たにする部分を強固にしつつ、新たな仕事に向けてすぐにでも動きたくなる衝動を抑え、濃密な液体を少しずつ口に長く含ませてから喉に通す、それからアルコールが胃に落ちて脳にふわりと上がる、その頭でポジティブな事を考えられている今の幸せなことよ。幸せはオレンジ色をしています。

・イタリア、フリウリ
・ラディコン
・メルロー2006

写真がちょっと斜めってるくらいなのもまた
偉大なワインのカジュアルな楽しみ方として。

この赤を飲む2日前に飲んだヤーコット2013(オレンジ)も非常に美味でした。ヤーコットを頂いた東京は馬喰町のLibreさんの常連さんに、こちら京都祇園komorebinoの常連さんでもある方がいて、そんな東西の繋がりも意識して飲むラディコンは格別に美味しかったです。

香りとタンニンの妙。うっとりするような香りとタンニンを含みながらも柔らかい印象を与えられる滑らかな質感、繊細な余韻が長く尾を引いて喉から胃にかけて流れ星を落とし、飲み手の体内には無限の銀河が広がります。

ブルーベリーのニュアンスが全体をややポップにしてくれてて。その辺のバランスも含めてやはり絶妙であると、一人で何度も頷いてしまう至極の一杯です。究極って言うより至極って言えば上品だと思うのいい加減やめにしませんか。

例えば23年ラディコンを30杯とか40杯飲む機会があるとして、その全てを線で繋げたいですね。次のラディコンを飲むまでには何か一つ確実に成長して、その次の一杯を飲むまでにまた一つ確実に成長して、生まれ変わったらコルクになるんだー。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?