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流れに身をまかせる

みたかの小さなプリン屋さんがいかに失敗したかを毎回400~500字で綴るシリーズ『プリン屋開業失敗ものがたり』です。ノンフィクションよ~

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「別の店を手伝ってほしいんですよね」

クレープ店で働きはじめて1か月もしない頃オーナーにそう言われた。

系列店が人手不足で困っているという。その店はスムージーやタピオカを売るドリンクスタンドらしい。タピオカが狂ったように流行り始める前だ。クレープ修業のために押しかけバイトに来た私としては「話がちがう」と思ったが、メニューの多さにめげていたときでもあったので引き受けることにした。だいたいが押しかけバイトの身の上。わがままは言えないし乗りかかった船である。こうなったらなすがまま、キュウリがパパである。

地図を見ながらドリンクスタンドの店に向かう。

地図の場所にあるのは若~い女の子向けのブティック(今どきはセレクトショップというのか?)である。その一角を借りてドリンクの店をしているようだ。テイクアウト用の窓がしつらえてある。

(スムージーか・・・売れるのか?)

当時は真冬だった。スムージーとはフルーツと乳製品と氷をミキサーでガシガシ粉砕した、飲むと頭がキーンとする言ってしまえばかき氷のような飲みものである。

予想通りスムージーは全然売れていなかった。

つづく

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