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3人目のムラカミ

noteフレンドの新行内紀子さんとコラボしましょーよ☆という話が盛り上がり、三題噺さんだいばなしで同時投稿することになりました。
お題はこちら→→「スーパーマーケット」「恋愛」「村上春樹」。
プリン屋はエッセイ、紀子さんは短編小説(←おせじ抜きにとても面白いです!ぜひ読んでほしい)に仕立てました。
さあ、3つの言葉をうまく記事に盛り込むことができるかな?


村上春樹と村上龍の区別がつかない人は昔は多かったと思う。同時代に彗星のように登場したスター作家の二人。身もふたもなくざっくり言っちゃうと、小説の作風がよりキザな方が春樹さん、やや暴力的なのが龍さん。ジャズ喫茶を経営していたのが春樹さん、映画監督もするのが龍さん。いつもノーベル賞候補になるのが春樹さんで、カンブリア宮殿で小池栄子さんと司会をしているのが龍さん、である。

そして、最近現れたもう一人の文学者ムラカミをご存じだろうか。

お笑い芸人、フルーツポンチの村上健志けんじである。

3人目のムラカミはTBSのバラエティ番組『プレバト!』で俳句の名人として数々の傑作を発表している。俳句の本を出版したり句会の番組に出たりと、今となってはほとんどお笑い番組で見ることもない。

お笑いの芸風そのままにうざくて背中がむずがゆくなるような、それでいて目が離せない素敵な句を詠む。あの辛口・夏井いつき先生に「眼球30センチの半径で俳句を作れる」とうならせる独特の視点とセンス。半径何メートルどころかセンチメートルである。ごくごく身近で小さな発見を俳句文学に昇華する腕前は本当にすごい。

彼はいまメンズノンノのwebサイトで恋の俳句とエッセイの連載をしているがこれがとてもいい。俳句はもちろんだが、その17文字を補完するどこまでがリアルかフィクションか計りかねるエッセイがまたいい。

スーパーで値引きのシールが貼られた商品を探していて、手に取った野菜の産地が君の故郷と同じだった時、思わず君の顔が浮かんでくる。
 (17音のラブストーリーズVol.2より引用)

これ。これこれ! “スーパーに並んだ野菜に記載された産地”という身近すぎるアイテムから読者を恋愛の気分に引きずり込んでしまうのが3人目のムラカミのすごいところ、ザ・ムラカミスタイル。こんな場面でキュンとできるなら、恋愛文学の種はそこらじゅうに無限に落ちているじゃんと妙に勇気づけられてしまう不思議。設定がゴージャスじゃなくたっていいの、気分をゴージャスにしてほしいだけなのあたしたちはたぶん。今日これからスーパーで同じ行為してくるわ。

上記のエッセイの全貌と、表題になっている俳句はぜひサイトに飛んで読んでみて下さい。しびれる17文字ですから。

プレバトに出た当初は泡沫候補かと思っていたこと、許してほしい。もはや大ファンです。多くの人のハートを鷲掴みにするような恋愛小説書くと思うんですよねいつか村上さんは。ノルウェイの森やコインロッカーベイビーズを凌駕して、ムラカミといえば春樹でも龍でもなく健志であると・・・・・・それはちょっと言いすぎか!?

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