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【これまでとこれから】

第五十一話【これまでとこれから】

2010〜2020年まで、僕は年2〜3本のペースで、佐藤太一郎企画という演劇のプロデュース公演をしてきました。

しかし、2020年3月からコロナ禍になり、2020年の春は、吉本の劇場もすべて休館となりました。
夏頃から少しずつ再開しましたが、劇場はガラガラ状態でした。
通常興行ですらその状態ですから、新喜劇以外の公演なんてとてもできる状態ではありません。

そこで、2020年2月に上演した佐藤太一郎企画その24『グッド・コマーシャル』を区切りに、佐藤太一郎企画はしばらく休止することにしました。

あれほど長い期間、役者として舞台に立てなかったのは初めての経験でした。
うまく呼吸ができないような息苦しさをずっと感じていました。

そんな2020年の秋。
会社から「新喜劇の中で芝居のポジションを担っているメンバーを集めて、演劇ユニットとして関西演劇祭に出場しないか?」とオファーをいただきました。

"新喜劇の中で芝居のポジションを担っているメンバーにスポットライトを当てたい"という思いはずっとありましたので、出場させていただくことにしました。

演劇ユニット名は、劇団アンサングヒーローにしました。
アンサングヒーローというのは、縁の下の力持ちという意味です。

新喜劇の中で芝居のポジションは、絶対に必要だけど、フューチャーされることの少ないポジションです。
そんな日陰の存在に、光を当てたい。
そんな思いで名付けました。

上演したのは、『誘拐』という一切ギャグのない、シチュエーションだけで笑わせる45分間のコメディです。

演劇は漫才やコントと違い、賞レースはあまりありません。
僕自身、劇団時代も含めて、関西演劇祭が初めての賞レースでした。

この演劇祭で、有り難いことに僕は、ベストアクター賞という役者のMVPを受賞することができました。

役者で賞をいただいたのは、高校三年生の時に受賞した、大阪府演劇コンクールの個人演技賞以来でした。

新喜劇座員は、芸人としてのイメージが強く、なかなか役者として見てもらえなかったので、やっと役者として認めてもらえた。
そんな気がしました。

ようやくコロナ禍も明けて、日常が帰ってきました。
コロナ禍は悪いことばかりではなく、配信という文化が根付き、新しいエンタメの選択肢が生まれました。

僕自身、コロナ禍のおかげで、かなた狼監督に主演映画を撮ってもらうことができました。
その主演映画「ありがとうモンスター」は、ついに今年、劇場公開されます。
今月中には情報公開になりますので、是非映画館まで足をお運び下さい。

休止していた佐藤太一郎企画も、2023年から再開しました。

2024年も、熱量と努力を武器に、見たことがな
い景色を見るために挑戦し続けます。

つづく

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