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動詞"happen"をもっと使いこなそう 【英語の勉強#6】

自動詞"happen"は中学校で習う基本の動詞の一つです。何か物事が「起こる、発生する」といった意味で習いますね。でも、「起こる、発生する」という訳だけを覚えてしまうと、日常会話で使おうとしても少しぎこちなさを感じませんか(私だけでしょうか)。今回は、自動詞"happen"をもっと自然に、ネイティブのように使いこなすために知っておきたい用法を幾つかご紹介します。最後までお付き合い頂ければ幸いです。

happenを辞書で引いてみた

手持ちの電子辞書EX-word DATAPLUS 8に収録されているジーニアス英和大辞典によると、一つ目の意味として

① (事が偶然に) 起こる、生じる (occurはhappenより堅い語)

と記されていました。happenという語のニュアンスを掴むためのベースとして非常に大事な記述です。

Something good happened to me!

ベースを再確認したところで、日常会話で使える用例をみていきましょう。

相手を心配して What happened?

「どうしたの?」と相手に尋ねる場面をイメージしてください。この「どうしたの?」という問いかけは、英語ではシチュエーションによって使い分けが必要です。

待ち合わせをしていた友達がやってきましたがあまり元気がなさそうです。今にも泣きそうな顔。こういうとき、「大丈夫?何かあった?」と優しく聞いてあげたいですよね。英語では次のように表現します。

Are you OK? What happened (to you)?

ここでは、"What's up?"や"What's going on?"よりも"What happened?"とした方が自然です。"What's up?"や"What's going on?"は現在形の表現で、あたかも話者自身も、例えばここでは何か悲しい出来事の最中にあるようなニュアンスになりますが、実際には、何か悲しい出来事を経験したのは泣きそうにしている友達で、話者(あなた)はその事情を知らないはずです。あなたの知らないところで起きた事、それを聞き出すのが"What happened?"という表現なのです。

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同僚が腕を骨折したようでギプスをはめて出社してきました。「それどうしたの?」と心配して声をかけるなら、

What happened?

と尋ねるのが自然です。繰り返しますが、あなたの知らないところで起きた事を聞きたいからです。

もっと気軽に What happened to you?

先の"What happened?"の用例は少し重たい状況での話でしたね。もっと気軽な使い方もみてみましょう。ここでも共通なのはあなたの知らないところで起きた事を聞き出す、ということです。

私の大好きな映画You've Got Mailで、主人公のJoeが久しぶりに会ったちびっ子二人(MatとAnnabelle)に「ヨットに乗ろう」と誘いますが、呆気なく「嫌だー!」と言われてしまうシーンがあります。Joeはそこで二人に

What happened to you!?

と笑いながら聞きます。「二人とも前はヨットに乗るのが好きだったのに、『嫌だー!』なんて、一体どうしちゃったのさ」とJoeが不思議に思っているわけです。しばらく会わないうちに二人に何があったのかJoeは知らないので、"What happened to you?"と聞いたのですね。

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「よくあること」を表す happen

何かミスをしてしまったり、失敗してしまった人に、「よくあることだよ」と慰めてあげたいときは、

It happens.

と声をかけてあげると良いですね。例えば、

A: I made a mistake at work this morning.

B: Oh, it happens. Right?

といった具合です。なぐさめや同情を表現できますね。

また、こういった会話でもhappenは活躍します。

A: I was walking on the street at three o'clock in the morning. Some drunk guy was standing there and suddenly he yelled something at me. It was so scary. Is this something that happens?

B: Yeah. Unfortunately, it happens a lot.

「予想してなかったこと・予想と違うこと」を表す happen to do

中学校では、happen to do を「たまたま〜する」という意味で習うと思います(私はそう習いました)。実際には、「予想してなかったこと・予想と違うこと」というニュアンスを覚えておくと便利です。

まずはこちらの例文。

I happened to see Tom at Starbucks yesterday.

偶然にもトムに会った、という意味ですね。「たまたま〜する」という訳がぴったりだと思います。では、次の例文はどうでしょうか。

A: I never seem to do anything right around here.

B: Well, I happen to think you do a lot of things right.
A: 私って何の役にも立ってない気がする。

B: (あなたの考えとは違って)十分役に立ててると思うよ。

映画The Internのセリフから一部抜粋しました。Aさんの考えとは違って私はこう思うよ、という流れです。これ、「たまたま〜する」という訳を充てたら意味が通じなくなってしまいますね。

また、italkiの質問にこんな回答がありました。"I happen to like it." という表現についての解説です。

When you say "I happen to like it", it usually has the feeling that you like something despite everyone else's opinion.

みんなの意見と違って私はそれが好きだ、というニュアンスを伝えることができます。

まとめ

自動詞happenは、何か物事が「起こる、発生する」という意味だけ覚えていると正直使いづらい単語ですが、相手を心配して"What happened?"と問いかけてみたり、誰かをなぐさめるために"It happens."と声をかけてあげたり、日常会話ではもっと幅広く、かつ多様なニュアンスを表現することができるとても便利な単語です。例文やそのシチュエーションを覚えて、日常英会話で是非使ってみてほしいと思います。また一つ、賢くなりましたね。最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。




(追記)

ここからは私の個人的な話です。なぜhappenという語をテーマに記事を書こうと思ったのか、そのきっかけを少しだけ書きたいと思います。

私は19歳のときに最愛の祖母を病気で亡くしました。人生で初めて、大好きな人を失いました。本当に悲しくて、辛かったです。今でも祖母に会いたくてたまりません。

当時大学でお世話になっていたアメリカ人の先生と、たまたまその話になったのですが、会話の中で彼が"It happens in life."と一言声をかけてくれたのです。その言葉に優しさと、年長の彼なりの人生そのものの捉え方と、いろいろなことを感じました。その言葉のおかげで、悲しみに暮れていた私は少しだけ前を向く気になれたと言っても過言ではありません。

言葉の力は大きいです。心を支えてくれる言葉がたくさんあります。でも、言葉の意味を知らないと結局心には届かないんですよね。だからこの記事を書こうと思いました。重たい話でごめんなさい。