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アウトドアレジャーの遭難対策いろいろ【山編】

もうすぐ夏休みということで、海も山もハイシーズンですね。アウトドアにおける位置情報特定サービスについてまとめてみました。

GPSとBluetoothとビーコン

位置情報の特定というとGPS*が有名ですが、位置情報特定に使われる技術としては、Bluetoothであったり、ビーコンであったり、GPSに限らないサービスもあリます。
*GPSはアメリカの衛星システムの名称で、最近は他の衛星システムを含めた形でGNSSと呼ぶこともありますが、分かりやすくGPSと統一します。

登山用GPSサービス

マッピングアプリ「Geografica」画面

登山用スマートフォンアプリ「Geografica」はGPSを利用しています。通信圏外では途切れるイメージがありますが、実際には使用できます。
開発した松本さんはテクノロジーの力で山岳遭難を無くすことに力を注いでおられます。この方の記事はどれもとても面白いので一読お勧めします。

また、登山情報のプラットホームとして有名な「YAMAP」もスマートフォンでGPSを利用しています。SNSのように自分の記録をシェアできるほか、コース作成、情報の共有、登山届の提出などをワンストップで行うことができるため人気です。最近は保険事業も始めたとか!

GPSを利用したものは、他にもランニング系のwebサービスやアプリもたくさんあります。スマートフォンやスマートウォッチを携帯する前提のサービスがほとんどです。

直接通信が強みのココヘリ

いまや登山の必須装備、災害対応サービスや海用デバイスも出している「ココヘリ」は、端末と捜索側(捜索ヘリ)の直接通信により場所を特定しています。ある程度の範囲まで近付かないと通信電波を受信できませんが、位置情報の精度が高いことを強みにしています。
最近はGPS、Bluetoothを搭載したモデルもあり、複数の方法による位置特定を可能にしています。

Air TagはBluetooth

携帯電話等に頼らない迷子対策として,apple社のAir Tagに代表される紛失防止タグの利用もよく聞きます。通信はBluetoothを利用していて、周囲のiPhone等の端末を利用して位置を特定しています。
あくまでも紛失防止を目的としてるため捜索救助には不十分と感じます。

雪崩捜索に使われるビーコン

雪崩の場合は捜索救助というと雪崩ビーコンです。今も昔も、雪山の必須装備です。電波は単純なものの埋没救助に特化した機材で、世界的に統一されています。
長い歴史があるだけあって、シンプルで効率的なインターフェースが確立されています。
特徴としては、雪崩埋没の要救助者からの発信ができないことを前提としています。入山の際にビーコンに電源を入れることで常に電波を発信している状態にして、埋没の際は救助者(捜索側)の操作により電波の受信を行います。複数のビーコンによる同時捜索が可能です。

雪山にあるビーコンチェッカー

雪崩の埋没救助では15分以内に救出しなければ、救命率が著しく下がるという目安があります。
状況としては異なりますが、溺水の場合は5分とも2分とも言われています。

山のアクティビティでは、無料もしくは安価で提供されているサービスが多く、ハイキング等のライト層にも浸透しているような印象を受けます。
万歩計代わりのような使い方もできて、ウォーキング、ランニングとも親和性が高いからかもしれません。

海の世界、特に外洋を航行するような船舶の世界では古くからイーパブという緊急遭難信号を発信する装置が搭載されていますが、海特有の課題もあります。

長くなりましたので、海の話は後編に続きます。


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