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アウトドアレジャーの遭難対策いろいろ【海編】

海の遭難防止

フィールドを変えて、海の遭難防止対策についてですが、こちらは釣りやダイビング等の船での活動を対象にしたサービスが多く、少しUIを工夫してシーカヤックやSUPのユーザーも使えるようにしているという印象です。
ちょいちょい船の話も出てきますが、ここでは人力のアクティビティについてまとめていきたいと思います。

位置確認と捜索救助は別

山のアクティビティでも同様なのですが、海ではよりはっきり分かれている気がします。遭難した際に自分で通報をすることが困難なためでしょうか。

位置確認:自ら遭難を防ぐ / GPS  / アプリ、ソフト / 無料・安価
捜索救助:捜索救助を容易にする / ビーコン / 独立デバイス / 高価

GPSアプリ

アプリでいうと「マリンコンパス」のようなサービスがあります。ボートのレジャーを対象としていて、クルージングのルートの登録、グループの機能、帰港報告等の機能があります。以前シーカヤックでも使用しましたが、精度や通信状況はいまいちな印象でした。

「マリンコンパス」画面

SUPやシーカヤックの競技者層は、Garmin等のスマートウォッチのサービス利用者が多いですが、位置確認というよりは記録(万歩計的な)目的なので、自分の位置を発信することは考えられていません。

現状では、一般的な愛好家層が使いやすいアプリはありません。海上でのモニター確認が陸上に比べて困難なこともアプリが育たない理由かもしれません。

捜索救助のためのデバイス

捜索救助に関しては以下のような独立したデバイスがあります
ココヘリマリン:端末の位置特定。GPS、Bluetooth、ビーコンの3つの方式が1つになっており、直接通信での捜索が可能。スマートフォンアプリによる捜索も可能。
ヨビモリ:ペンダント型。セルラー通信。漁師が助けを求めるときに、通報ボタンを押すと、近くの仲間の船や家族に通報が行く。
PLB:ビーコン。公的救助機関への直接通報。遭難信号を出すイーパブ。高価。

シーカヤック系やセーリングの方々にはPLBが高いけどベスト、ココヘリマリンが価格と性能のバランスが良さそうだなと思いました。

沖は数十メートルの距離でも豆粒になります

水中に入る系アクティビティ

海水浴、サーフィンは海のレジャー人口の大半を占めており、行方不明事故も毎年おきていまが、これらは全身が水中に浸かる、濡れるという特性があり、身につける装備も限られます。
海水浴をアクティビティと考えるかどうかは別の話として。

砂浜に近いこともあり、自身の位置確認よりも捜索救助機能が求められると思いますが、上記のようなデバイスを身につけるかというと、現実的には難しいように感じます。

海水浴
人口多い。管理された海水浴場にいるからか、利用者自身のセルフレスキューへのリテラシーは低め。飲酒率も高い。

サーフィン
浜に近いためか、沖合に出ていくレジャーに比べるとリテラシーはほどほど。浮力体(サーフボード)を持っているため溺れは少ない。

釣り(磯、防波堤など)
人口多い。落ちて救助事案になることがある。磯ではライフジャケット着用率高い。

ボート(船釣り、クルージング、ダイビングなど)
船長の責任が大きく、ツアー中心のため、安全管理リテラシーはある印象。ライフジャケット着用義務。

ヨット
ボート系と同様に、安全への意識は高いように感じる。ライフジャケット着用率高い。

シーカヤック
参入ハードルが高く、インストラクターがいるためか、よく教育されている。エキスパートでない限りソロ行動はないと考えて良い。ライフジャケット着用率高い。

SUP
参入ハードルが比較的低く、動作も簡単。リテラシーが低い。よく風で漂流する。ライフジャケット着用率は??

※ごく個人的見解です

既存のサービスが存在していないわけではない

UIが成熟されていないものの、サービス自体は山の世界と同様に存在していますが、あまり普及していないのは、利用者によって意識や行動の偏差が大きくボトルネックとなっている感じがします。
軽装での富士山登山で行動不能になるケースが話題ですが、海でも基本的な安全行動を身につけるだけでリスクは相当減少するのではないでしょうか。

これは、小声で言いますが、
ライフジャケットの着用ももちろん効果的で重要なのですが、身一つで泳いだり潜ったりする楽しさってあると思うんですよね。

海の捜索救助デバイスに求められる機能要件

最後に、私が思う捜索救助デバイスの、主な機能要件を考えてみました。

独立したデバイス(必須)
スマートフォンは持たない前提なので独立したデバイス。(スマートウォッチは可能性あるかもしれない)
防水性能(必須)
海水に長時間さらされても壊れない高い防水性。
リアルタイム追跡(必須)
常時発信。リアルタイムで位置情報を受信可能な機能。
装着の容易さ(優先度高)
身に着けやすく、邪魔にならないデザイン(リストバンドやペンダント型など)。
複数デバイスによる検索機能(希望)
例えばスマートフォンアプリとの連携により、捜索側のデバイスが複数になることで、捜索効率が上がります。
緊急通報機能(要検討)
緊急時に救助要請ができる機能。使いやすければ使いやすいほど誤発信も増えるので、よく検討が必要。

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前回、山編はこちら

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