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3年ぶりの写真展、備忘録

3月18、19日の2日間、生まれ故郷の新潟県長岡市・アオーレ長岡市民交流ホールDにて3年ぶりの写真展「武山智史写真展 グラウンドの主役たち6 2020-2022」を開催した。
以前の写真展でもnoteに書いていたため、今回も備忘録として書き記す。
以前の写真展備忘録は↓


今回の告知用メインビジュアル


何よりも「3年ぶりの開催」

当初は2021年1月に女子野球をテーマに第6回写真展を企画する予定で、女子野球の試合やイベントも撮り始めていた。しかし、コロナの影響で全てが白紙状態に。過去の写真も含めた形で「特別編」として考えていたけれど、開催直前に緊急事態宣言が出て中止。これまでずっと、写真展をやると宣言して実際に開催してきただけに、公言したのにできなかったダメージはかなり甚大だった。

その影響で2021年2月と3月は精神的に大分やられていた。たぶん鬱の手前ぐらいまで追い込まれていたと思う。その当時の記憶はスッポリと抜け落ちている。さらに9月に白内障を患い入院、手術。写真展の準備どころではなく、2022年の開催を見送った。毎回、帰省でアオーレ長岡の横を通るたびに「必ずここに帰ってくる」と思いながら捲土重来の時を待ち続けた。
そして今回、ようやく3年ぶりに開催。2020年から2022年まで撮影した写真を30点展示した。初日は約120人、2日目は150人の方に来場して頂いた。毎回来場している方々からは
「写真展が帰ってきて良かった」
「オンラインではなくやっぱりリアルの写真展が良いですね」
という感想が出ていた。また、アンケートの中には「写真展が多くの野球人(とそれを支える人達)を繋ぐ場になっているのを感じました」というコメントもあった。それはまさに僕が写真展をやり始めてからずっと持ち続けている「ハブ空港のような空間」「サロン的な空間」だった。写真を展示するだけでなく、僕が触媒となって来場した方々が結びつけたり新たなエネルギーが生まれる場所というのか・・・そんなことも考えて写真展を開催しているのも事実だ。
前回の写真展から会場内にBGMを掛けているが、今回の選曲はキューバ音楽の名盤「ブエナ・ビスタ・ソシエダ・クラブ」。1999年に公開された同名のドキュメンタリー映画も有名だ。なお、「ブラバン甲子園」や「熱闘甲子園」の歴代テーマソングを流すことは毛頭考えなかった。そっちではない。



そして、今回はどうしても展示したい1枚の写真があった。日本文理→ロッテの田中晴也くんと帝京長岡→阪神の茨木秀俊くんのツーショット写真だ。田中くんは長岡出身、茨木くんは北海道出身だけれど、高校は長岡市内の帝京長岡高校。長岡に縁のある2人が昨夏の新潟大会決勝で投げ合い、ともにプロ入り。長岡で写真展を開催するには不可欠な写真だった。


↑リンク先の1枚目の写真で一番手前が該当のもの。昨年9月の秋季県大会準決勝の試合前、新潟県高野連優秀選手表彰が行われた際に撮影した。写真展には田中晴也くんのご家族(お父さんは僕の幼稚園~中学の4年先輩)や親族の方も来場し、小さい頃のエピソードなども色々知らなかった話もお聞きした。元々、中学生の頃から田中くんの存在は知っていたが、僕の知る田中先輩の息子さんだと知ったのが高校入学前の頃。高校2年の4月には日本文理のグラウンドで田中くん本人にも会い、写真も撮らせてもらった。それだけに陰ながらプロの世界での活躍を願っている選手だ。


実験的な新たな試み


実験的にスライドショーでの展示を行う

この写真展の裏テーマに「実験的な試みを行う写真展」がある。今回はプロジェクターを使い、スライドショーで展示する新たな試みを取り入れた。
これまではプリントした写真をフォトブックとして設置したけれど、コロナ禍になって新たな対策が必要を迫られた。一方で以前から写真展に来た多くの方から「もっと写真を見たい」という声も出ている。ならばスライドショーで展示するのも一つの手と思い今回やってみた。
反応はかなり好評で「来場する人の傾向によって写真を変えるのもアリじゃないか」「時間制でスライドショーのテーマを変えるのも良いかも」というご意見も頂いた。当初は約50枚の写真をアトランダムに流していたが、「写真の構成をもっとしっかりした方が良いのでは」という意見があり2日目は枚数を増やしたり、写真の構成を変更するなど内容を変更した。

また、これまでの写真展では会場にご意見ご感想を書くノートを設置していたが、今回はQRコードを使ったアンケート形式に変えてみた。ノートの場合だと他人の眼もあって、なかなか遠慮して書いてもらえないケースが多かった。それよりも匿名のアンケート形式にしたらもっと多くの方からご意見がもらえるんじゃないか、というのがその意図だ。現在、そのアンケートに目を通し、写真展の振り返りを行っている。
元々はスライドショーもアンケートも、リアルでの写真展ができなかった2年間で開催したzoomオンライン写真展で取り入れたものだった。今回、オンライン写真展で行ったことをリアルイベントにうまく取り込むことができた。それが今回の写真展の大きな収穫だったのかもしれない。写真展が開催できなかった2年間は決して無駄ではなかった。

でも悩みは尽きない・・・

今回の写真展の途中、中学校の野球部だと思われる子たちが数人、写真展会場の前を通った。しばらく表の看板を見てこう一言。
「どうせ俺たち写ってねーし・・・」
そういって通り過ぎた。
非常に重い言葉だった。中に入ることもなく通り過ぎる…あまりの悔しさとやるせなさにその日は殆ど眠れなかった。自分の写真力の無さなのか、そもそも中学生に写真を見る感性を求めるのは酷なのか・・・。あの時、声を掛けて中に招き入れても良かったんじゃないか。正直、今後どうやって写真展をやればいいのかとも考え込んでしまった。
そんな中、写真展のブレーンと言うべき方の一言がとても大きかった。
「地道に写真展を続けていって、少しずつ認知度を上げられれば良いのでは」
大勢来場したから成功なのか、この写真展は何が正解なのかは未だに分からず、答えを探し続けている。それでも少しでも多くの人に来てもらえるため、信じ続けて発信するしかないなという結論に至った。
今回の開催時期にしてもそれは当てはまる。これまで過去5回は1月開催。3月中旬開催だと既にシーズンが始まり練習や試合も行われている。その影響で来場者も影響するのでは・・・という見立てはあった。確かにその見立ては当たっていた。その一方で「野球のシーズンが始まる時期に写真展があると、『いよいよ始まるな・・・』という気持ちになる」という声もあったのも事実。1月開催に固執する必要は無いだろうとも考える。
そもそも、この写真展自体が実験的な試みだ。端的に言えば「迷わずいけよ、行けば分かるさ」の猪木イズムで行くしかない。変化を恐れず、トライ&エラーを繰り返しながら年々アップデートして行こうと思っている。
次回についてはこれまで開催していたホールDから、同じアオーレ長岡内のホワイエ(西棟1階)に場所を変更しようと思案中だ。早速、写真展翌日には帰京前にアオーレ長岡に立ち寄り、会場のロケハンも行い色々とイメージが湧いてきた。

アオーレ長岡西棟1Fのホワイエ
展示スペースとなるケースが多い場所


最後に、今回の写真展ではある1枚の写真に「伏線」を張った。クドカン脚本ドラマや昨年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」、最近ではバカリズム脚本のドラマ「ブラッシュアップライフ」でも見られたアレだ。開催中、何人かの方に「なぜこの写真が?」と聞かれ「この答えは4年後の写真展で分かります」と答えてきた。それは水面下で動き続けているプロジェクトであり、僕の中でも新たなチャレンジとして現在撮り続けている。果たして4年後の写真展は、そしてそのテーマとは…まだまだ明かすわけにはいかない。4年後をお楽しみに!

以下、写真展関連の記事。さりげなくジャケットには侍ジャパンのピンバッチを付けている。
SNSでは#タケヤマ写真展のハッシュタグで様子を見ることができるので、そちらも是非。


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