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第5回写真展を終えて(前編)

1月11日から3日間、生まれ故郷の新潟県長岡市にある

アオーレ長岡・市民交流ホールDにて5回目の写真展

「グラウンドの主役たち5」を開催しました。
来場された皆様、本当にありがとうございました!
来場者数は11日が約80人、12日、13日はいずれも約200人でした。

以下、写真展総括です。
長くなるので2回に分けてお送りします。

【テーマを「高校野球の二極化」にした経緯】

元々、部員の少ない野球部に特化した展示の構想はありました。
実際、2017年の3月には部員2人の久比岐高校の練習を撮影に行っていました。
その後、「もっとジャーナリスティックな視点やテーマがあったらいいのでは」と思い、近年起こっている「高校野球の二極化」をテーマにしました。
当初は部員の多い強豪校も撮影することも考えました。
しかし、それではバランスを取っているような気がしてしまい、
一方に特化して尖らせるべきと方向性を決めました。
最初にこの構想を打ち明けたのは、高校野球部6年先輩である長岡商業高校野球部監督の佐藤忠行先生です。

今回、驚いたのは展示した高校野球部の対極である日本文理高校野球部の生徒たちが初日、3日目の午前、午後と3つのグループに分かれて来場したこと。
高校野球部の生徒の場合、普通は練習があるため展示した高校以外は来ていないのが現状です。
話によれば「長岡でこのような写真展があるから、希望者は行ってこい」との話があったようです。
ある生徒に写真の感想を聞いたところ、
「少人数でも真剣に、楽しく野球に取り組む姿や勝ちたいと思う姿み見られて良かった」
「今後につながる感性や引き出しが身につきました」との事でした。

彼らの貪欲さや学ぶ姿勢を感じると同時に、新潟から電車に乗って来てくれたことに、とても意気に感じました。
感性を磨く重要さを教えられました。

ちょうど初日の11日には、長岡市内で長岡市野球協議会の研修会が行われていました。
(講師は慶応高校前監督・上田誠さん)
研修会から写真展に来られた方も大勢いて、「上田さんも神奈川の二極化を話していた」とまさにタイムリーな話題でした。
会場には少年野球や中学野球の関係者が多く来場されましたが、良い話が少なかったのが現状です。

高校野球をテーマにした1回目から3回目の写真展は、どちらかといえばイメージカットに近い抽象的な写真が多かったです。しかし、今回は表情の見える写真が多くなった、というよりも多くしました。特に一番目立つ位置に展示したヘルメットを取る写真は、一番伝えたい写真だったのかもしれません。

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高校野球の写真というと通常、歯を食いしばっている姿だったり苦しんでいる表情をイメージする人も多いかもしれない。でも、笑顔かある高校野球の写真だって良いんじゃないか。言ってしまえば「もっと多様な価値観の高校野球であってもいいじゃないか」ということです。たぶん5年前にはそんな考えは持てなかったと思います。


【会場の「空間作り」】
写真展会場の市民交流ホールDは四方がガラス張りとなっていて、外から見ると浮いているように見える場所です。
しかし僕の写真展の場合、展示パネルで囲んでしまうため外の外の景色が見えない状態。
かと言って中央付近に展示パネルを置くと、会場が分断されてしまう。
ずっと悩みのタネでした。

そこで外から見える位置に展示パネルを置かないレイアウトを試しました。
愛情者に意見を聞いたところ、
「外から中が見えるからすぐ場所が分かった」
「開放感があって良い」と概ね好評でした。

また、今まで会場内は無音で殺風景だったため、BGMを入れました。
選んだCDはパプリカソウルの「イントゥ・ザ・ライト」。
ブラジリアンジャズ系のアルバムで、グルーヴ感が心地良い曲が揃っています。
もしこれが「ブラバン甲子園」や熱闘甲子園のテーマ曲だと写真の世界観が一気に崩れてしまう。
野球とは全く関係ないBGMにするのはマストでした。


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【小さい子が食いつく「野球盤」】
回を追うごとに家族連れの来場者が増え、一番懸案事項だったのは「小さい子は飽きると退屈してしまう」。
そして会場内をドタドタと走り回ってしまい、いつもハラハラしていました。
親が写真を見ている間、子供が遊べるようなものは何か無いか・・・ふと浮かんだのが「野球盤」でした。
ちょうど小さい頃に遊んだ野球盤がまだ実家に残っていたため、
「今の子供たちは野球盤を見て、どんなリアクションをするのか?」という実験も込めてテーブルに置きました。

その結果、驚くほどに子供たちは野球盤で遊んでいました。
来場した子供たちは野球盤を見ると、真っ先にテーブルに向かいずっと眺めています。
一緒に来たお母さんに「野球好きなんですか?」と聞くと「野球知らないんですけど・・・」との答え。
遊び方を説明すると、熱心に遊んでいました。
僕の妹夫婦も姪を連れて来場しましたが
野球に興味の無い姪でさえ、野球盤に夢中でした。
そして大人は野球盤を見て「昔遊んだなぁ」「懐かしい!」という反応。
特にアラフォー世代に「原辰徳のパーフェクト野球盤B型」の箱を見せると、どストライクなリアクションでした。

デジタル全盛の時代にアナログな野球盤。
野球離れが言われている昨今、実は野球盤が小さい子たちにとって野球のタッチポイントになるのではと感じます。
久々に自分の野球盤を見て気付いたのが、フェンスに広告を貼っていたこと。
僕は小学生の頃、球場広告に興味があったようです・・・。


【4年ぶりのトークイベント開催】
節目の5回目だったため、最初の写真展以来のトークイベントを開催しました。
お相手はいつも世話になっている新潟野球ドットコムの岡田浩人さん。
前回は岡田さんから「折角だからトークイベントをやろう」と打診されましたが
今回は僕の方からお願いしました。
事前にちょっとした打ち合わせでプロットはありましたが、途中からはほぼフリートーク状態。
2人とも座っていたのが、途中から立ち上がって話をする展開に。
今回撮影した新潟北高の監督・相馬先生が途中で来られた際には
「野球部の取り組みをぜひお話頂けないでしょうか?」と打ち合わせなしでマイクをお渡しするなど
途中からはほぼアドリブだったように感じます。
時間も当初1時間の予定でしたが、話が盛り上がり延長戦に突入する白熱したトークイベントでした。
岡田さん、どうもありがとうございました。

後編に続きます。

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