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面接や面談など対話の場で、どこか”不自然な感じ”が残ってしまうあなたへ

今日は面接や面談といった対話の場について話してみたいと思います。

ぼくは新卒でITベンチャーに入って、最初の仕事が採用担当の仕事だったので、企業説明会やインターシップなどで新卒の学生と話したり面談したりすることも多く、また児童福祉分野で働く今も採用の仕事もしてますし、昨年からはマネージャーもさせてもらってるので、メンバーとの1on1の機会もあったり、面接の機会も増えたりして、最近は一対一で人と話す場面が増えてきました。

でね、そんなふうにいろんな人と話していると、気がつくことがたくさんあるわけですけれども、最近特にいちばんこれが大事だなと思うことがありまして。

これがあらゆる一対一の対話の場面で大事だなぁと思うんです。

これは面接でマッチ度を測る場合もそうですし、何か説明会や見学やインターンとかで相手に自分たちのことを知ってほしいというときもそうですし、1on1で相手の話をしっかり聞いて対話したいって場面でもそうですし、しべて同じことが言えるなと。

それは、「自然体であること」なんですね。


自然体であることはむずかしい

なんだか拍子抜けするぐらい当たり前の話に聞こえるかもしれませんが、この「自然体であること」っていうのは、特に面接や面談、マネージャーをするのが初めての人にとっては非常に難しいことだったりするわけです。

例えば、ぼくが初めて面接をしたときは、事前に上司の面接に同席してどんなことを聞いているかメモしたり、採用選考の本を読んでどんな質問がいいかを考えたり、いろいろ準備して面接に臨んだんですけれどもね、全然うまくいかなかったんです(笑)。

なんでうまくいかなかったのかっていうと、用意してきたいろんなものに縛られてしまった感じになって、すごく不自然な感じになってしまったんですね。

また例えば、新卒当時から学生との面談とかは結構あったんですけれども、応募前の面談であったりオファー面談であったりして、その面談の目的というのは学生の意向上げメインなわけです。応募してほしい、内定を承諾してほしいっていう狙いがはっきりしている。

最初の頃のぼくの面談は、そういった目的あまりにも持ってかれてしまって、すごく不自然な会話をしたりリアクションをしたりしていました。そういうのって、こちらの表情とかね、言葉づかいとかで伝わってしまうんですよね。

最近は例えば、チームのマネージャーとして1on1をここ半年くらいずっと試行錯誤しながらやってきてんですが、最初の頃はほんとうにむずかしかったんですよね。

1on1だというのに、面接評価みたいになってしまったり、準備した確認項目をしっかりと埋めることに夢中になってしまったり、相手がつらつらと喋る内容をただ聞いてしまうだけの時間になってしまったり。

こうしなきゃ、という意図を毎回いろいろと持ちすぎてしまい、すごく不自然な状態になっていたんだなと。


”そのとき”その場に至るまでの間に

じゃあ「自然体であるためにどんなことをしたらいいんだ?」「自然体であるってってのはそもそもどういう状態なんだよ?」っていうのが、この話の肝になるかなと思うんですけれども、

まずは、自然体にあるためにどうしたらいいんだ?という話からしていくと、そもそもどういう状態なんだ?という話も見えてくると思います。

まず「自然体である」っていうのはその場その場で何も考えないというのとは違うんですよね。

むしろ逆で、たくさん考える必要があるんです。

ただ考えるのは”そのとき”じゃないんですね。

”そのとき”その場に至るまでの間に、どれだけ日頃からそこで話す内容に対して頭の中でいろんな考えを巡らせているかが大事なんです。

日頃から考えに考えを凝らして、溢れるほどにいろいろごちゃごちゃなるくらいたくさん思考されたところから、いざその対話する場面になったときに、自然であふれ出るようにして言葉が出てくる。それが本当に自然であることになるんじゃないかなと。


面接のときで尋ねる質問を、日頃からチームで考えているのか

例えばさっきの面接の例でいくと、「弊社の理念についてどう思うか」を聞きたい場合に、ただ単純に面接の”そのとき”になって選考候補者に「弊社の理念についてどう思いますか」と尋ねるだけでは、これはもう、すごく不自然になるわけです。

面接のときで尋ねるのであれば、日頃からチームのメンバーに対しても「ウチの理念についてどう思う?」って問いを投げているべきなんですね。

日頃からそういった問いをチームで投げかけていて、それにその人がどんな回答をするのかを聞いて、それに対して自分がどう思うのか、どんな風に返答するのか、っていうのを、日頃からチームでやりながら考えている人が面接のときに「弊社の理念についてどう思うか」って聞くのと、そうじゃない人が面接のときだけ尋ねるのとでは、全然ちがいますよね。

前者のときこそ、その質問に不自然さがなくなって、本当に心のこもった対話が生まれるのだと思います。


たまっていたものがあふれるでような自然さ

例えば、学生とのオファー面談のときもそうです。内定承諾してほしいって狙いで面談をするときに、「どうやったらその目的を達成できるだろうか」「どんなふうにしたら面談で承諾してもらえるだろうか」っていうのを”そのとき”に一生懸命考えながら探り探りに話をすると、これがまたすごく不自然になるんですけれども、

日頃から「自社にマッチするのはこんな学生かな」「もしかしたらこういった悩みもあるかもしれない」「僕だったらどういう風にその悩みを捉えるかな」とか、その学生に対してしっかりと思考と想像を巡らしておくんです。

そうすると、実際にその面談の場で相手の困り感だったり悩みが出たときに、すごく自然体で、たまっていたものがあふれるでような自然さで返答ができるわけです。

これは本当に大事なことで、僕の役割は人事や採用なんですが、そういった役割の人間にとっていちばん大事なのは、自分のキャリアについて明確にしっかりはっきり語れることなんですよね。

自分のキャリアについて、どういう思いでその会社を選び、どういう理由でここにいるのか、聞かれてすぐにはっきりと具体的に語れないような採用担当がいたとしたら、自分が聞かれて答えられないような質問を相手にしていることになるので、そうなってしまうと、もはや非常に不自然になってしまうんですね。


もう日頃から当たり前のようにその人のことを考えておく

そして最後の例に出した1on1も、メンバーがどんなことを日頃考えているか、どんな表情をしているかをみて、考えておくことが大事なんです。

「最近ちょっと暗いなぁ」「忙しそうだなぁ」「髪を切ったなぁ」「なんか最近顔色がいいなぁ」とか、なんでもいいです、そういった日ごろの変化もしっかり見ておいて、

「今月はすごく成果が出ていた」「先月に比べてなぜかミスが増えていた」「その理由はもしかしたらこういう理由かもしれない」「こういう目標設定したらもっと成長してもらえるんじゃないか」

そういったことを日頃から常に観察して考えておくことが大事なんですね。

でね、よくやりがちなのが、その面談の直前になって、慌ててその人のことを分析して考えだす、みたいな、そういうことしてる人がいますが、これは不自然になっちゃうんですよね。

もう日頃から当たり前のようにその人のことを考えておいて、じゃあ面談でどんなことを話そうかなと考えておくっていうのが、意味のある対話ができるための条件なんじゃないかなぁと感じるんです。


日頃と何一つ変わらないということ

ここまで、「自然体であるためにはどうしたらいいか」というのを語ってきましたが、その話の中で「自然体であるとはどういうことか」についても、見えてきたんじゃないかなぁと思います。

自然体であるというのはちまり、面接のときであっても、オファー面談のときであっても、メンバーとの1on1のときであっても、日頃と何一つ変わらないということです。

日頃思っていること、日頃やっていること、日頃考えていることを、そのままその場にもっていくことができると、とてもいい対話の時間になるんじゃないかなぁと思っています。

そのためには、面接だったりオファー面談だったり、1on1だったりで話すようなトピックやテーマや問いや質問に関して、日頃から自分事として考えてなきゃいけないんですね。

でも、これってすごくむずかしいことですよね。

例えば「志望動機は何ですか」「今後のこの業界についてどう思いますか」「自分の今の強みは何だと思いますか」「今の自分の課題は何ですか」「目標設定するならどういったものがいいでしょうか」とか、そういう質問について、自分に対してはもちろん、それぞれのメンバーに関してまで考えなくちゃいけないんですから、これはめちゃめちゃ大変なことでもあります。

でもね、大変なんですけれども、それがいちばん本質的な対話を生むんだなとすごく感じていて、面接だから、面談だからと考えを巡らして準備するっていうこと自体が、やはりすごく不自然なんだなと。

そういうふうに、改めて考えることがあったのでシェアをさせていただきました。

今から採用の仕事をする人、マネージャーになったばかりの人、あるいは営業の仕事をされていてお客さんとの対話が大事になってくる人、教員や対人援助の仕事で人と話すのがとても大事なお仕事の人。

この話は、いろんな人に通ずるものかもしれません。「その場その場だけ乗り切ろう」「その場面のために準備しよう」っていう考えだと、やっぱりどうしても不自然になってしまいますので、

自然体でいるために、日頃からそのことについて考えておく。

日頃と”そのとき”が何も変わらない地続きでつながっているような、そんな状態を目指すのが、たぶん、対話を生業とするどんな人にとっても大切なんだろうなと思ったところでした。

(おしまい)

ここまで読んでいただいて本当にありがとうございます! 少しでも楽しんでいただけましたら、ぜひスキをお願いします!