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教員に「こつ」とか「スランプ」って、ありますの?【読書のキロク】

こんばんは、"もっちゃん”です。
記事に興味を持ってくださり、ありがとうございます。

今回は【読書のキロク】です。
以前のキロクで以下のようなものを書きました。

今回も以前の『身体が生み出すクリエイティブ』と同じ著者の著書になります。

◯今回読んだ本:『「こつ」と「スランプ」の研究 身体知の認知科学』 著者:諏訪正樹 講談社選書メチエ

先述の『身体が生み出すクリエイティブ』よりも前の著書になります。

「からだメタ認知」も含めて、大元になっている考え方も示されていました。

◯概要

スポーツ、運転、仕事、家事、話し方……身体を使うすべてのモノゴトに「こつ」は存在し、「スランプ」は学びの必然である。スランプを乗り越え、こつを体得するとはどういうことか。「からだ」と「ことば」はいかに相関しあうのか。身体に根ざした知=身体知の学びに挑む、認知科学の最先端!
自転車や車の運転から水泳、ゴルフ、仕事のやり方まで、「身体がおぼえる」、「こつをつかむ」、あるいは「スランプに陥る」のは、誰もが経験したことではないでしょうか。
本書は、そうした「身体に根ざした知」=「身体知」と、「身体知を学ぶ」とは一体どういうことなのかを、イチロー選手なども例にとりつつ、認知科学という立場から解明し、更に「身体知の研究はどうあるべきか」について明快に論じます。
こつをつかむにも、スランプを脱するにも、「ことば」が重要であるらしいことがわかってきました。
〈からだメタ認知〉という概念をキーワードに、身体とことばの共創をめぐる最先端の研究を、わかりやすく紹介します。

上記ホームページ内容紹介より引用

どちらかというと、身体的技能(?)の獲得や、体性感覚に重点を置いたものになります。
「身体知」という言葉自体も比較的新しいものかと思いますが、その概要を掴むのにとても良かったです。

◯オノマトペの効用

以前の記事で、身体的な感覚を言葉にする重要性とその限界について書きました。

その一部で、「オノマトペ的なもの」についてはどうなのだろう、という疑問が自分の中に生まれていましたが、それについても記述が本書ではありました。

すこし以前の記事と内容は重なります。

個人的には元ジャイアンツの長嶋茂雄氏が大好きです。

長嶋氏は、よくバッティング等を指導する際に
「バッ」とか「グッ」とか「ビュッ」とか
オノマトペ(?)的なものを用いている感じがします。

これは言語化に至っているのかいないのか、というところが疑問ではあるのですが、身体知の獲得という視点では、なんとなく効果的であるようにも感じています。

自分としては、言語化しきれない言語化、というのが面白いところのようにも思いました。感覚的には共有できるものでもあると思うのですが、共有できる範囲が限られるという点で異なるのかとも思いました。

上記【読書のキロク】より引用

本書では、これに対して回答に近いものもありました。

やはり、こうした曖昧な言葉でも、言葉として外化することにより
・体感への留意を保つことができる
・ことばと体感を結びつける
という点で、非常に効果はあるようです。

こうしてことばにすることで、
体感も意識する(考える)俎上に上がる
ということかと思います。

まだこのような段階では、そのことばのなかに当人の身体知が含まれる状態での言語化と言えるのではないかと思うので、不十分かとも思います。

ただ、そのような体感を共有できる間柄であったり、暗黙知の共有ができるだけの熟達があった際は、非常にその伝達には効果的になるのではないでしょうか。

個人的には本書の中で一番疑問が晴れた部分でもあったので、本稿でも取り上げました。

◯授業における「こつ」と「スランプ」

教員において考えてみると、ものすごく曖昧な感じがします。

そもそも「こつ」「スランプ」といった言葉は広義なものかとは思います。

ただ、私も実感として、たとえば授業をすすめる上での「こつ」だったり、なんとなくうまくいかなくなって「スランプ」を感じたことはあります。

授業の「こつ」とか「スランプ」は、本書の例で挙げられていたボウリングのようにスコアが数値で出るものでもないし、あくまで体性的な感覚でしかありません。

ただ、こうした感覚は確かにあるし、教員の”熟達”を考える上では、そこを言語化していくことがとても重要だとも思います。

これには、“1人称研究”も適していると思うのですが、私が自分の感覚を取り上げていくのも変な話かと思います。

インタビュー等では、どこまで掘り下げられるものでしょうか。

そういった実際的な研究の方略も気になるところです。


そんなことを考えた1冊でした!

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