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小説の部屋

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話し声や音を取り込む音波、視覚から入ってくる電磁波、鼓膜を揺り動かす振動、臭覚が取り入れる化学物質・・・。これらが同時に紡ぐ現実体験を、視覚言語という電磁波体験のみで新たな現実体…
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『小僧の神様』志賀直哉1920年

『小僧の神様』志賀直哉1920年

 この作品によって「小説の神様」と謳われた、志賀直哉の代表作。代表作ではあるが、極めて短い、いうなれば超短編小説だ。じっくり読んでも、ものの30分もあれば読了。しかし、読み終えて顔を上げた時、世界はたしかに、変わって見えた。
 ネタバレになるが、デッチの小僧が鮨を夢見、決心して飛び込むも資金が足りず窮地に。しかし見兼ねた紳士に御馳走になるという、書いてみたらシンプルなプロットである。しかし、屋台で

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