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【本について】
タイトル:ジョブ理論


著者:クレイトン・クリステンセン(「イノベーションのジレンマ」著者) 出版社:ハーバー・コリンズ


【著者のメッセージ】

・いきあたりばったりのイノベーションと決別しよう!


・イノベーションを起こすためには、消費者が特定の状況で成し遂げようとするプログレス(進歩)ー因果関係のメカニズムの理解が大切
・・・”プロダクト”ではなく”プログレス”=トヨタの『IF-THEN』

・・・イノベーションは、品質革命そのものではなく、それを起こす前の段階にある

・新しいプロダクトが成功するのは、その特徴や性能が優れているからではない。それに付随する「体験」が優れているからだ


【この本はこんな疑問に答えてくれる】

・どのようにイノベーションを起こせばいいのか?

・顧客が買いたくなるようなプロダクト・サービスは具体的に何か?


【WHY(なぜ、「ジョブ理論」を採用すべきなのか)】

・イノベーションは、予測と持続が難しい(イノベーションにはロードマップがない)

・「破壊的イノベーション」は、新しい機会をどこで見つければ良いかを教えてくれない

・多くの企業が、イノベーションの固定概念に取り憑かれいる

・データは、顧客と商品そのものにフォーカスしていて、その商品が顧客のジョブをどんな風に解決しているかは教えてくれない

・顧客は自らの要求を正確に表明できるとは限らない

購入動機やそこに至る道筋は、口に出されるよりずっと複雑

・どれだけ優れた企業でも、顧客のジョブを見失うことがある

・基本的に、消費者と提供者の間にはズレがある

・知っていることが増えた気になるほど、イノベーションは思いどりに進まなくなる

・運任せでは売れない(再現不可能)

*クリステンセンは、この理論を生み出すために20年の歳月をかけている


【WHAT】ー片付ける「ジョブ理論」

・私たちは、日々の生活の中で片付けたいジョブが発生し、それを解決するために何かを雇用する

■ニーズではなく「ジョブ」

・・・ニーズはトレンドに似ている、ジョブはもっと細かい
・・・ニーズだけで、全ての行動を説明できない
・・・ジョブは、創り出すものではなく、見つけ出すもの
・・・ジョブには、人の行動を変えさせるだけの重要性がなければならない

・「片付けたいジョブ」により、ビジネスの成長の仕方は異なる

・顧客が生活のに何らかのプロダクト・サービスを取り込もうとする原因が何なのか理解できる

・真の差別化と長期的な競争優位を可能にし、顧客の行動を組織が理解するための共通言語になる

・「ジョブ理論」でイノベーションは予測可能になる

・顧客がいなかったところに顧客を、問題しかなかったところに解決策のアイデアを、期待していなかったところに機会を見出せるようになる

・「ジョブ理論」は消費者がさほど困っていなかったり、存在する解決策で十分間に合う時には役立たない


【WHAT(プロダクトの成功指標)】

・プロダクトが「あなたのことをわかっていますよ」と語りかけていること


【WHAT(企業の過ち)】

・顧客の特徴を調べ上げること
・商品に派手な飾りを付け加えること(顧客が実際に支払おうとするもの以上に機能を増やしすぎてはいけない)
・最新のトレンドを捉えること
・競争相手を模倣すること(そうではなく、機能面+社会的及び感情面を拾う)

【WHAT(消費者の理解)】

■変化に反対する力を知る

・・消費者は現行の習慣にハマりこんでしまい、新しい解決策に乗り換えると考えるだけで怖気付く

”知った悪魔のほうが未知の何かよりまし”

ダニエル・カーネマンー損失回避の心情

・・損失回避に働く力は利得の魅力よりも心理学的に2倍強い

■人が古いものを手放さない理由

「もし、新しいものがうまく動かなかったら?」

「もし、乗り越えた後に〇〇があったら」


【WHAT IF】

■朝のミルクシェイク

・生活に発生したどのような具体的ジョブを片付けるためにミルクシェイクを買うのか?

ジョブ・・「仕事先まで、長く退屈な運転をしなければならない」

■P&G紙おむつ

マーケットは、紙おむつを使う習慣のない乳幼児が何千万人もいる

しかし、価格を抑えた(安い)紙おむつは中国で売れなかった

(失敗要因)消費者ニーズと言う柱を中心に組み立てられた消費者理解の枠組みが味方を狭くした
(成功要因)パンパースをつけた乳児は寝つきが30%早くなった

ジョブ・・「夜よく眠る子は頭がよくなります」に訴求

(結果)16億ドルの売り上げ、30%の市場シェア獲得


【重要な問い】

・顧客はどんな「ジョブ」を片付けたくてあなたの商品を「雇用」したのか?

・顧客が新しい商品を人生に引き入れる決断を下した時、その根底に存在した因果関係とは何か

・自社製品を確実に「雇用」してもらうにはどうすればいいだろう?

・顧客が今見ている「ジョブ」は何だろう?

・顧客が欲しがる「ジョブ」は何だろう?

・顧客にとって、進歩を妨げる障害物は何だろう?

・消費者は、何をもっとも気にかけているのか?


【HOW】

・顧客の「片付けるべきジョブ」に真に応えるには、正しい体験を提供する必要がある。(それにより、顧客はプレミア価格を厭わなくなる)

・「顧客が片付けようとしているジョブ」と言うレンズをとしてイノベーションを捉え直すこと

・ジョブを片付ける体験を正しく構築する

・「なぜ」の把握(「なぜ」を理解するかどうかが、イノベーションの成否を分ける)

■ジョブを見極めるには?

ジョブは、「数字」ではなく「ストーリー」のなかで見つかる
・・・「なぜ」の理解

・競争相手のいないジョブのまわりに自分たちを位置付ける


【HOW(組織)】

・成長を遂げる企業はジョブを中心に組織を最適化する

・顧客のジョブの遂行に社内プロセスを統合させることは、自社製品を強力に差別化するためのメカニズムとなり、真の競争優位をもたらす

・明確に定義されたジョブは「指揮官の意図」となり、社員の自主性を高める

【響いたメッセージ】

・ひとつで全てを満たす万能の解決策は結果的にひとつも満たさない

・企業が消費者の反応を平均化しようとしただけなら、誰のジョブも片付けることができない


【アクション】

「模倣困難性」のつくりかたのガイドブックが見つかった!
「ジョブ理論」は万能ではないと書かれているけれど、正しい”顧客目線”が手に入っただけでも読む価値があった。私たちは、どこまでも顧客にとって、”問題解決サポーターであるべき”と私は理解した。商品との出会いから、ジョブを満たすまで、とことん付き合う。それにより、競争優位性も保たれ、企業は長く続く。
20年もかけて「ジョブ理論」を生み出し、提供してくれたクリステンセンさんに感謝。

今日から、ジョブ理論のレンズで消費者をみる。


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