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【本について】
タイトル:超一流になるのは才能か努力か

著者:アンダース・エリクソン ロバート・プール  出版社:文藝春秋社

Q. 超一流になるために必要なこととは?

A.圧倒的な練習量(ただし、正しい方法、適切な負荷をかけて行うこと)

練習量により、脳に変化が起こる。この変化が「能力」

【WHY】

■生まれつき才能のある人は滅多にいない。

■能力が向上しないのは、才能がないためではなく、ホメオスタシスの枠内に安住しているから。

ほとんどの人は、身体的負荷のかからない生活を送っている。飛び出すために必要な努力をしようとしていない。「これで十分」の世界と生きている。

■1人で練習を続けると、自然とできるようになるが、技能の改善が頭打ちになる。(一流にはなれない)

【WHAT】

■限界的練習

人間の身体や脳の適応性をうまく活かし、以前は不可能だったことを成し遂げる能力を徐々に獲得していく練習

トリプルアクセルを練習するアイススケーターもモーツァルトのソナタを練習するピアニストも同じ原則

■心的イメージ

私たちは「心的イメージ」を使って、言葉の意味を理解することができる

そしてその意味が記憶を助ける。心的イメージがパフォーマンスを向上させる。

チェスマスターには個別の駒が盤上のどこにあるかを記憶できる驚異的な記憶力があるわけではない。

記憶はかなりコンテキスト(文脈)に依存している。通常の試合中に現れるようなパターンしか記憶できない。チェスマスターが棋譜の勉強に膨大な時間を費やす、グランドマスターの域に達するまでの練習時間は約10年。重要なのは、パターンが「短期記憶」ではなく「長期記憶」に保存されていること。

見た瞬間、効果的な手を思い出す能力に変わる。

一流のピアニストも、曲の「地図」(心的イメージ)を活用して弾く。

ー読書のエキスパートー

身に付く前:文字を1つずつ、単語を辿々しく読む大変な作業

身についた後:単語全体を見ただけで意味を認識できるようになる。

言葉を構成する文字のパターンを符号化し、そのパターンを概念や読み方と結びつける心的イメージによって、「ね、こ」が「猫」になる。

パターンを内部化することによって、見たこともない言葉を推測したり、表記の間違いや誤用、抜けがあっても文脈から意味を取ることができるようになる。短期記憶の制約を乗り越えることができる。

【HOWTO】

ー自らの運命を自らの力で切り拓き、才能を思い通りに創っていく方法

■身体の「ホメオスタシス」を利用する

人間の身体は安定した状態を好む。

ホメオスタシスのメカニズムに負荷がかかるほど激しい運動をしなければ、体に物理的変化はほとんど起こらない。(全てが想定通りなら、身体にしてみれば、変化の必要がない)

■限界ギリギリの負荷を脳に与える

身体のホメオスタシスを志向する傾向を活かして変化を生み出す方法

十分な負荷を十分な期間にわかって与えれば、身体はそれを楽にこなせるように変化する。

楽にできるようになると、それが居心地の良い状態になってしまうので、変化は止まる。

そうならないために、さらに負荷をかけていく。(あまりにも長期間負荷をかけ続けると燃え尽きてしまい、学習効果は低くなる)

■心的な負荷が脳に与える好影響

脳はさまざまな形でニューロンのネットワークの配線を組み替える。

ニュートン同士の結びつきを強めたり弱めたりすることもあれば、古いものを取り除いたりする。

神経系における情報を伝える電気的信号の伝達速度は10倍にもなる。従って、それまでできなかったいろいろなことが可能になる。

⇄従来の学習法は、ホメオスタシスに抗うことを意図していない

■苦しい練習を続けるテクニック

・最適な教師、コーチを選ぶ
・練習に没頭する
・1回の練習時間を短くする
・同じ課題を徹底的に繰り返す(ベンジャミン・フランクリンの独学法)
・何が上達の足を引っ張っているのか特定する
・誘惑に駆られるリスクを抑える
・目標に向かって伴走できる仲間を見つける

【WHAT IF】

■世界一難しい試験の合格者(ロンドンタクシー運転手が免許を取得するまで)

ー適切なトレーニングを積んだドライバーの脳の変化

・海馬後部が有意に大きくなった:ニューロンや組織が増加した

(地点から別の地点へうまく移動する能力に関わる部位を成長させた)

これが、能力向上の土台であることがわかった

人間の脳や身体には信じられないほどの適応性がある(神経科学者は、「可塑性」という)

■脳が老眼を「治す」

「老人性遠視」により、文字が醜くなった老人が適切なトレーニングを受けた結果、終了後には、老眼鏡なしに新聞を読めるようになった。しかも、以前より読むスピードが速くなった。

これは、視力がアップしたわけではなく、目からの信号を解釈する脳の領域に生じた変化による。

トレーニングによって被験者の脳の画像処理能力が向上し、その結果、目からの信号が改善しなくても細かいモノを識別できるようになった。

【学び】

才能<練習量

知識<技能

私たちが一流になるために、才能ではなく「限界的練習」が必要。

「限界的練習」によって、脳と身体を適応させ、能力を磨くことができる。

能力の差は練習の差で生まれる。

量によるパターン認識が能力に繋がる。


■一流になるためのポイント

・限界的練習を重ねる(最強の学習法)
・適切なフィードバックを受ける(コーチ、教師)
・正しい練習を重ねる(最適な方法、正しい訓練)
・正しい負荷をかけ続ける
・心的イメージがある
・圧倒的練習量
・コンフォート・ゾーン外で努力

■一流につながらない努力の特徴

・目的を伴っただけの練習
・自己流でやっている
・心的イメージがない
・コンフォート・ゾーン内で努力
・ただひたすら経験を積むだけ

【響いたメッセージ】


■潜在能力は、生み出すものではなく創り出すもの

■壁を乗り越えるための1番よい方法は、「もっと頑張る」ではなく「別の方向から攻める」※一流になるためにコーチや教師が必要な理由

■身につける能力こそが才能

■どんな分野においても絶対に超えられない能力の限界に到達したという明確なエビデンスが示されるケースは驚くほど稀(挑戦者が単に諦め、上達しようと努力するのをやめてしまうケースが多い)

【アクション】

能力を伸ばすために適切なコーチに学び、適切な負荷、適切な量の練習量を淡々とこなしていく。


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