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配車アプリで聴覚障がいのドライバーさんが来て考えたこと🚕

先日、仕事で出かける用がありGrabという配車アプリを使ってタクシーを呼んだ。

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このGrabは登録さえすればタクシー運転手じゃなくても、空いた時間に自分の車を使って働くことができる。

それがなんだか怖くて敬遠していたのだが、先月断捨離で大量の荷物を運ぶ必要があり、初めて使ってみた。

来た車はピカピカの日産車で、中もきれいに手入れされていて、シートもふかふかで座り心地が良かった。

タイのタクシーはもちろんちゃんとしたのもあるが、車内がタバコ臭かったり、ガラスにヒビがはいっていたり、シートがズル剥けボロボロの車もある。

行き先はアプリで事前に指定しているので、運転手と話す必要もなく、金額も事前に出るのでぼったくりの心配もない。カードを登録すれば、そこから自動で支払いできるのでさっと降りられるし、お釣りがない等のトラブル(タイあるある)も回避できる。

めっちゃ便利やん!!

すっかり気に入って、この時も迷わずGrabを使ったのだった。

配車手配をすると「このドライバーが行きます」とメッセージが来て、ドライバーの名前や車種、車のナンバーや位置情報がチェックできる。

あと何分ぐらいかかるかな?とアプリをチェックすると、メッセージボックスに「ドライバーは耳が聞こえません。伝えたいことがあったらメッセージボックスでチャットしてください」とメッセージが来ていた。

タイに来て耳や目が不自由な方を街中で見かけたことは何度もあったが、その働く姿を見たことはなかったなと改めて気がついた。

そうこうしている間に車が到着した。ピカピカのホンダ車だった。

「サワッディー カー」

合掌して頭を下げると、ドライバーさんも同じようにしてくれた。行き先はすでに指定しているので、特に問題なく発進。

まず目についたのが、助手席後ろのボード。

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指さしで会話できるようになっている!英語も書いてあるので私のような外国人にとってはとても助かるし、そもそもお客さんとして聴覚障がいの方を乗せることだってあるだろう。全てのタクシーに今すぐ導入して欲しい素晴らしいアイディア💡

途中「渋滞を避けるために進路を変更します」と身振り手振りで伝えてくれて、何の問題もなく目的地に到着した。

彼がどの程度耳が聞こえないのかわからないが、今はコロナでみんなマスクをしているから表情も見えづらいし、読唇術もできなくて大変だろうなぁと思う。それ以前にタイ語は声調があるから、口の形から意味を想像するのも難儀に違いない。

一昔前のタイなら、聴覚障がいの方がたとえ運転免許が取れたところで、ドライバーとして働くことは難しかったと思う。実際今まで何度もタイのタクシーを利用してきたが、聴覚障がいのドライバーに当たったことは一度もない。(今回Grabを使ったのは2回目だった)

Grab、いい企業だなと思って後日調べてみると、Grabと聴覚障がい者組織とのMOU(合意書)の記事を見つけた。

記事には、ドライバーとして働きたい聴覚障がい者のためにドライバー登録をプロモーションすること、スキルアップの機会を提供すること、また、企業のサポートとして車内に案内のボードを設置したり、利用者が聴覚障がい者のドライバーとマッチした時は通話機能がオフになるようアプリをアップデートするなど書かれている。

これはGrabシンガポールの記事だが、タイでも同様のはずだ。

「好きなこと」「やりたいこと」「できること」

やりがいのある仕事を選ぶ上でよく言われることだけど、今までは「好き」だし「やりたい」のに「できない」こと(もしくは「できない」と思われていること)が多かったと思う。

でも、便利なアプリや企業のサポートで、この「できること」の幅が拡がってきているんだなと実感することができた。

「ダイバーシティ」やら「多様性」やら最近よく聞く言葉だが、タイでもしっかりとムーブメントが起こっていたんだなと嬉しくなった。

ちょっと前に、日本にも聴覚障がいの方が多く活躍するスタバの店舗ができたというネットの記事を読んだ。

こんなお店が増えたら、どれだけの人が勇気づけられるだろう?未来に希望が持てるだろう?

そんなことを考えるきっかけとなった出来事だった。

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