見出し画像

日本語教師がYoutubeをはじめた訳

現在、タイの中高一貫学校で日本語を教えている。
私は高校1年生から3年生までの「文法」という科目を担当している。
2年前に高校1年生として日本語コースに入ってきた一人の学生。
この子はスポーツ万能で、学校の裏にある寮に住み、朝は日の出前から朝練をし、夕方も暗くなるまで練習している。

普通、彼女のようなスポーツ万能の学生は「スポーツクラス」に属する。スポーツ推薦で超有名大学から引く手数多のため、出席日数や単位や授業内容も他のクラスに比べてかなり”easy mode”らしい。
しかし、「スポーツクラス」とは名ばかりで、実際は箸にも棒にもかからないような、成績も態度もすこぶる悪い学生が半分以上を占めるクラスである。

そんなわけで、スポーツクラスに入りたくないし、日本語も興味があるから日本語コースに入りたい!とお願いされたので、単位や成績の優遇はしないけど、頑張るならどうぞ、と日本語コースに入ることになった。

しかし、彼女は超スポーツ万能なので、ハンドボール部とバレー部を掛け持ちし、遠征や試合で欠席することが多かった。それでも、日本語が得意な友達に教えてもらったり、タイ人の日本語の先生と補習したりして、これまでなんとかやってこれた。

そして、高校3年生になった今、彼女はついにタイのナショナルチームにメンバー入りを果たした。そのため、国際試合やら地方遠征やらで、一ヶ月単位で学校を休むようになった。

前期はもちろん期末テストができず、タイ語や数学など他の主要科目の後で補習をし、短時間で一気に詰め込むだけ詰め込んでどうにかパスさせたが、これはあまりにも無理があると思った。どうにかしないといけないなぁと頭の片隅で考えていたところ、「先生、また来週から一ヶ月いません。」
そこで、YouTubeに授業をアップロードしてみよう!と思い立った。

はじめは彼女だけが見られればいいやと思って、限定公開していたのだが、他の学生から休んだから見たい、復習したいから見たい、と言われ結局早々に公開することにした。

結果は、大成功。もともと賢い彼女は、全く補習することなく今回の中間テストをパスしてくれた。

これって本当にすごい革命だと思った。彼女は好きな時間に自分のペースで勉強できるし、私は他の教科の補習が終わるのを待つ必要もないし、何時間も補習しなくてもいい!VIVA働き方改革!

今後は授業動画にQuizletQuizizzなどゲームで勉強できるサイトやワークシートをダウンロードできるリンクも貼って、自律学習の道具としてYouTubeが使えるようにならないかなぁと目論んでいる。
YouTubeのさらなる可能性を探っていきたい。

そして、もし2年前に彼女が日本語を頑張ると言ってくれなかったら、SNS恐怖症でFBもIGもTwitterもやってない私が、こうしてYouTubeやnoteで情報を発信することも絶対になかっただろう。彼女の今までの頑張りがあってこそ、心から応援したいと思った。日本語を勉強してくれて本当にありがとう。


読んでくださってありがとうございます!いただいたサポートは、ありがたく使わせていただきます。100円=約30バーツ。学校の食堂で昼ごはんが食べられます。ありがとうございます。コップクンカー。