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Ch. 07 『Ankiユーザー視点での物書堂ガイド』

序論

物書堂のことについてnoteを書くくらいだからさぞかしこの人は辞書に詳しいんだろう。

などと思ってはいけません。

私はたかだか物書堂歴2年くらいだしそれ以前もろくに辞書を引いてきていない。むしろ辞書引くのは面倒で全然好きではなかった。

でも物書堂辞書に出会ってからは辞書を引くと言うストレスから解放されたし辞書をよく引くようになった。辞書の面白さを教えてくれたのも物書堂辞書だと断言できます。

私は辞書のスペシャリストでも英語講師でもない単なる一英語学習者であるので辞書をどう選ぶかなどを解説できるような能力はないので期待しないで欲しい。

私はただのAnkiマニアだしこのnoteはAnkiについて語る場だから『Ankiユーザー視点での物書堂』の良いところ、好きなところ、便利なところなどを書き記していこうと思います。

この2年間Twitterでも度々物書堂の良さを語ってきたしそれに釣られて買ってくれた人もたくさんいたしおすすめを聞かれることも多い。

物書堂辞書のアプリ自体はすごく使いやすいし間違いなくお勧めできるのは間違いないんだけどどの辞書をおすすめするかとなるとその人のレベル、好みにもよるからとても難しい。セールとはいえいいお値段するしね。

ここでは私が使ってる辞書の好きなところについても勝手に語るので参考になればとてもうれしい限りです。

辞書の選び方

西練馬さんのnoteが最高に詳しいです。ちゃんと自分にあった辞書を選びたい人はこちらを読んでおけば間違いないです。

【英和辞書編】

【英英辞書編】


さとけんおすすめの辞書は?

 人によります。強いて言えば全部です。
 と言ってはあまりにもアレですので色々買った私のおすすめを簡潔にまとめます。詳しくはこの後いろいろと語りますので興味ある人は読んでみてください。語りすぎて長いので興味ある箇所をつまみ食いする感じで。

英和、英英を1つ選ぶならコレ!
 英和:ランダムハウス
 →語源情報わかりやすいし豊富、用例も多い
 英英:オックスフォード現代英英
 →平易な語義、例文音声あり、語源情報豊富
Ankiデッキ作成用ならコレ!
ウィズダムとコリンズ!

物書堂辞書アプリの好きなところ

①クリップボード検索できる
 これ地味に大事な機能です。このおかげで他のアプリとの連携が神がかり的に便利なものになります。『クリップボード検索』というのはコピーした単語を自動的に物書堂辞書アプリで検索するというものです。特にiPadで2画面表示(Split View)で超便利。例えば『でた単』と組み合わせるとこんな感じ。

 Ch.01でも紹介しておりますがこの機能のおかげで物書堂を自動表示させながらAnkiが可能です。

 Kindle読むときなんかもお気に入りの物書堂辞書を並べながら読んだりすることもできます。

iPadと iPhoneあればでた単やりながら画像検索しつつ物書堂をサブディスプレイ的に使うなんてこともできます。これAppleのデバイス間ならできるのでもちろんMacとiPadとかでも同じようなことできます。気になる人は『ユニバーサルクリップボード』でググってみてね。

②Ankiへの例文追加が楽
 Ankiをやっててなかなか覚えられない単語が出てきたときは例文を追加したり英英語義を追加したりしたくなります。そんなとき物書堂辞書からコピペすると早くて楽です。
 例文を長押しするとメニューが出てくるので段落をコピーを選択すると例文のみをコピーすることができるのでAnkiに貼り付けします。

③検索履歴をエクスポートできる
 残念ながら全ての辞書が対応しているわけではないのですが一部の辞書は検索履歴をブックマーク経由でテキストとしてエクスポートすることができます。それを少し加工するだけでAnkiデッキに取り込むことができます。やり方はこちらに詳細にまとめましたのでご参照ください。

④串刺し検索がすごい
 物書堂辞書アプリの最大の利点と言えるかもしれません。『串刺し検索』というのは一発で複数の辞書を引くことができることです。別の辞書への移動も手早くできるので辞書の引き比べもやりやすいです。この機能が便利すぎるので物書堂沼にハマってしまいどんどん辞書を増やすことになってしまいました。

私は日本語で言いたいフレーズを『用例検索』することが多いです。このとき辞書が多いほどしっくり来る例文がヒットする確率高まるのでついついあれもこれもと。。

あとは英作文に使えそうな英語フレーズを用例検索してそのフレーズを使った例文をAnkiに登録するときとかにも超便利。

⑤オフラインで使用できる
 今どきどこででもネットに繋がってんだからオンライン辞書があればいいだろうと思う人も多いかもしれません。オフライン辞書の最大の利点は速度だと思います。辞書引くたびに1秒でもタイムラグあるとチリも積もれば山となります。Ankiと併用する辞書にはスピードが求められるのでオフライン辞書であることはマストです!

⑥辞書の付録が面白い
 厳密にいうと物書堂辞書というよりは元の辞書のコンテンツだとは思うんですがアプリで読んでも読みやすいです!(紙の辞書で読んだことないですけど)
 私の好きな付録が収録されている辞書は以下の通り。好きなポイントはこの後記載してます。

・オーレックス
・ウィズダム
・オックスフォードアカデミック英英
・新英和大辞典

各辞書の好きなところ

【英和】
 (エースクラウン)
 入門用学習英和和英辞典なので収録語数は少ないですがその分基礎語彙の説明は詳しいです。特に基本動詞と前置詞はコアイメージがつかみやすく一通り確認することをおすすめします。

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特に前置詞のイメージマップは秀逸ですね。

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(ウィズダム)
 スタンダードな学習英和和英辞典。物書堂の辞書をまだ持ってない人はまずウィズダムから始めるのがいいと思います。セールで約半額になるしコスパ良いです。
 この辞書もなかなか付録が充実していて私は好きなんです。基本的には見出語の中に脚注として『文法のポイント』、『語源』などとして記載されているのですが付録から一覧として読むことができます。私が好きだったものは『語源』の中にある『句動詞(phrasal verb)とは?』という項目にある以下の解説。句動詞も使いこなせてないのに難解な一語動詞ばかり覚えてる場合ではないですね。まずは庶民と話ができるように句動詞も頑張ります。

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 (オーレックス)
 英作文に強い学習英和和英辞典という位置付け。日本人がよく言う言い回しをどう英語で表現するかと言う視点の用例が多いイメージ。付録も英作文に役立つコンテンツが多い。私が好きなのは『PLANET BOARD』。あいまいな表現、議論されるような話題をテーマにネイティブスピーカー約100人に調査した結果を集計している。
 個人的に印象深いテーマは『She will be on vacation until August 20th. と言う文の場合、彼女の休暇の最終日は何日か?』というもの。こういう風に書かれているとネイティブでも解釈が分かれるようです。もし私が仕事で日程を明確に知りたい場合はどちらを示しているかを確認しますし、私が発信側であればこの表現は避けてより明確にわかるような表現を選びたいです。どう言えば良いかもこの下の解説に書いてあるので興味ある方は是非読んでみてください。

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 (ジーニアス)
 学習英和辞典の中では最も情報量が多いというか用例数が豊富です。結構使いやすくておすすめなんですが残念なことになかなかセール対象になりません。。
 【原義】がありコアイメージを理解しやすいのが気に入っているポイントです(全部に記載されているわけではないですが)。トップの位置に記載されているのがAnkiやってると相性がいいなって思います。下の方までスクロールしなくても目に入るのがGoodですね。

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 (ランダムハウス)
 私がAnkiするときのメイン英和辞典です。なんと言っても『用例』と『語源』が超豊富です。用例は他の辞書でもカバーできますが語源は他の追随を許さないレベルでランダムハウス一択だと思います。語源好きには間違いなくおすすめですね。

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(リーダーズ/リーダーズプラス)
 収録語彙数多くて新語・専門語・固有名詞などに強いようです。セールでもまだまだ高いのでどれか1つ選ぶとしたら優先度は高くないと思います。専門書を読む際にはお世話になることも多いかと思いますが他の辞書でカバーできなかったらweblioなどオンライン辞書に頼るという手もあるので無理に買う必要はないというのが個人的な意見です。
 物書堂辞書の最大のメリットである串刺し検索を考えると例文の補強として導入もありかと思います。

(新英和大辞典)※2020年10月追記
 
2020年10月に新しくリリースされました。ランダムハウス、リーダーズに続く大辞典系英和です。大辞典系では珍しく付録も充実しています。語源情報もほぼ網羅的に掲載されているんですが表記の方法はランダムハウスの方が分かりやすくて好きです。音声はないですが用例数は多いので串刺し用例検索強化にはとても良いと思います。

 (オックスフォード類語辞典) 
 『Oxford Learner’s Thesaurus: A dictionary of synonyms』の日本語版。項目数1300は原著の65%だが日本人にとって有用な項目が厳選されていて同義語の微妙なニュアンスの違いを整理して理解できる。パラフレーズの習得にも便利。類義語の程度の違いを一目で理解できる『類語スケール』が便利。

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使い分けにも解説がついてあるので微妙なニュアンスも理解しやすい。

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 (オックスフォードコロケーション)
 『Oxford Collocations Dictionary for students of English』の日本語版。見出し項目2500、コロケーション数140,000。
 相性の良い単語の組み合わせ、よく使われるフレーズというものは決まっていてそれがよくまとまっています。これはインプット用というよりもアウトプットする際のヒントとして活用するのが便利です。

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【英英】

(オックスフォード現代英英辞典)
 中級者から上級者向けの学習英英辞典。通称OALDとも言われます。私のメイン英英辞典です。
 見出語だけでなく例文も音声あり!これは多分OALDだけのadvantageではないでしょうか。
 3000語で語義を説明してあるので英語学習者にも読みやすい。語源情報も豊富なので英英辞典に慣れている方は英和のランダムハウスではなくこちらでも良いと思います。

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OALD10が今回のセールで発売されましたがOALD9をすでに持っている人はどうしたらよいでしょうか?私は以下の理由で買い増ししました。


(オックスフォードアカデミック英英辞典)
 学術英語用の学習英英辞典。通称OLDAE。
 収録語彙もアカデミックなものにフォーカスしており見出語は22,000と他の英英辞典よりかなり少ない。論文を読む、執筆するための語彙、コロケーションを調べるために向いているので一般向け、ボキャビル用ではない。SVL(12,000語レベル)でも掲載されていない単語はかなり多い。用例も論文等から収集されているのはかなり特徴的。
 OALDが3000語で記述されているのに対しこちらは2300語とさらに平易な単語が使用されている。
 付録には『Grammar point』、『Which word?』など読み物としても楽しめるしWritingにも役立つコンテンツが多い。

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さてここでオックスフォード現代とオックスフォードアカデミックどちらを買うか問題に悩む人もいるかもしれないので少し話しておきましょう。私も悩みに悩んで昨年はオックスフォード現代買ったものの結局今年アカデミックを買い足しました。買ったからこそわかる違いなどもありましたのでシェアしたいと思います。

まずは公式の説明を並べながら比較してみます。

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比較してみると見出語、用例数ともに圧倒的にOALDが優勢、またインターネットに接続が必要となりますが例文音声が付いているのもアドバンテージですね。

次に“accumulate”という単語を引き比べてみます。どちらも語義は2つ掲載されておりますが語義の英文自体は同じです。ただし例文は異なるようです。OALDの方が多いしExtra  Examplesも相当あります。また語源情報の有無も大きいですね。スクショ内に収まらなかったので隠してますがSYNONYMSもたっぷり記載されています。総合的に判断してOALDの方が個人的にはおすすめ。

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(コウビルド英英辞典)
 最大の特徴は『フルセンテンスによる語句定義』イギリス英語版とアメリカ英語版があります。内容は基本的には同じなので自分がイギリス英語派かアメリカ英語派かで選ぶのがよいかと思います。と言っておきながら私はアメリカ英語派にも関わらずイギリス英語版を購入しました。その理由はイギリス英語版の方が見出語数、用例数が多いからです。特に私が重視しているのは用例数ですね。あと後述する英英和辞典を既に所有しておりそれがアメリカ英語版なので英英辞典はイギリス版にしました。

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アメリカ版は所有してないのでストアのプレビュー画面を引用しますがこちらを見る限りやはり定義は同じでも用例がイギリス版が多いですね。


(コウビルド英英和辞典)
 私が最初に購入した英英辞典。日本語訳付きなので初級者からでも使える入門用英英辞典と言えます。英英辞典を使ったことなくて自信ない人はまずこちらから試してみるのもよいと思います。見出語はコウビルド英英辞典の半分程度の23,000語なので高レベルの単語は出てこない場合もあります。中上級者はこちらはスキップしてノーマルの英英辞典を選んでよいと思います。

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語義自体はノーマル英英と同じですが簡潔な日本語訳がついています。例文も少なくなったものの日本語付きなので英英辞典がまだちょっと辛い人は補助輪付きの気持ちで英英和からスタートするのもおすすめです。


(コリンズ英語辞典+シソーラス)
 物書堂英英辞典ラインナップ唯一の一般英英辞典。22万語レベルの収録語に加え、シソーラス情報付き。さらに語源情報も豊富。やはり学習英英と違って定義文もやや語彙レベル高い、シソーラスも難しい単語が多く含まれます。
 物書堂英英辞典で唯一テキストエキスポートできるのでAnki用デッキを英英で作りたい場合は必須。

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学習英英のOALDに比べると語義もさっぱりしてるので上級者にはこっちの方が読みやすいかも。Synonymsも各語義ごとにたっぷり記載してあるのでこちらを眺めることで単語のイメージを掴むこともできます。

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辞書の引き比べ

せっかくたくさん物書堂辞書を買ったので1つの辞書を引き比べしてみました。各辞書の記載情報の違いからどの辞書が自分に合ってるか検討してみてください。

串刺し検索を快適にする設定 ※2020年10月追記

『フルスクリーンレイアウトオフ』
物書堂辞書の最大のメリットでもある串刺し検索をSplit Viewで快適にする方法。いちいち前の画面に戻る手間がなくなる。

『クリップボード検索から用例検索をダイレクトに表示』
Ankiやでた単などクリップボードコピーできるアプリとの相性は抜群なのは言うまでもないんですが用例を串刺し検索したいときに数回タップしないといけないのがストレス。と言うのも物書堂辞書では用例よりも見出しが優先して表示されるような仕様になっているからです。これは設定では変更できませんが裏技を開発しましたので用例を串刺し検索したい人はご利用ください。

英単語がヒットしないような辞書で用例検索をすると別の辞書の結果を一覧表示してくれて画面移動の必要なくなります。私の所有辞書でやりやすいのは角川類語新辞典、小学館中日日中辞典。大辞林はできるけどたまに和製英語などが見出しでヒットしてしまうことがあります。

今後も物書堂に辞書が追加される?

されるはずです。新英和大辞典を買うときどんな辞書なのか調査してたらたまたま以下のようなツイートを発見しました。

『新編 英和活用大辞典』、『研究社 新和英大辞典』は確定しているようですね。。時期はわかりませんがリリースされたら即買いできるように資金を貯めておきましょう。おそらくリリースセールされるのでその機会を逃さないように。

最後に

物書堂辞書は本当におすすめなんですけど一通り揃えようと思うと出費もかさみます。まず自分に必要なものを選んで買って試してみてその便利さに納得した上でどんどん買いましょう☺️セールは1年に1度だけ悔いのないお買い物を!

過去のセールでどの辞書がセール対象になってきたかをまとめているブログがありましたので参考になると思います。英語系でいうとジーニアスはなかなかセールにならないので欲しい人はもう覚悟を決めてもいいと思います。

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