【ゆかしきもの】着物コーディネート②質感
コーディネートについての記事の続きです。
前回は色数に重点を置いて、色のコーディネートの仕方をご説明してみました。
前の記事はこちら↓
さてさて
今回は色に加えて、もう1つの大切なポイント『質感』に重点を置いて記事を書いてみます。
着物の質感を決めているのは『作り方』
着物は大きく分けると2つに分類されると言われています。
・染めの着物
・織りの着物
です。
これに関しては帯も同じで、
・染めの帯
・織りの帯
の2つに分類できます。
じゃあ、染めと織りって具体的に何が違うんでしょう?
ざっくりご説明すると、色をつける順番が染めと織りで違います。そしてこれが質感の違いにも大きく関係します。
実物の写真でご説明しますね。
・染めの着物&帯
染めの着物や帯は基本的に白生地を染めます。
そのため染まりやすい生地=凹凸の少ない生地を使うことが多いです。着心地は柔らかめ。染め方にもよりますが、しんなりしていて光沢がある生地のものが多いです。
・織りの着物&帯
織りの着物は染めの着物とは違い、糸を染めてから布を織ります。
そのため織り目のはっきりした物が多く、織り目の凹凸があります。
肌触りがしっかりしていてハリがあるものが多いです。
と、こんな感じで、着物の質感は作り方と深ーく関係していますが、
必ずしも『織りだから凹凸がある』『染めだからつるんとしている』とは限りません。
実物をよくみて判断して下さいね。
ではでは、質感を念頭に置いて、実際に着物と帯を組み合わせてみます。
織りの着物のコーディネート
では最初に、織り目の凹凸がある織りの着物から始めてみます。
(知っている方のために解説すると、左から二番目の緑の着物は染め紬なのですが、紬の風合いが強いのでこちらにノミネート)
質感はこんな感じです。
アップで見ると油絵みたいな風合いですよね。
では、早速コーディネートしてみます。
①織りの帯とのコーディネート
織りの凹凸が強いもの同士だと、ザックリとした風合い同士のコーディネートになりますよね。
洋服に例えるとニットのトップスとデニムのボトムス、みたいな感じでしょうか。
写真で見ると少し風合いが潰れてしまうので見辛いのですが、全体的にカジュアルな印象になります。
②染めの帯とのコーディネート
先述した通り、染めの帯は柔らかく光沢のある生地のものが多いので
ザックリした風合いの着物に光沢のある帯が重なります。
洋服に例えると、レースなどの繊細な素材のトップスにデニムパンツ、みたいな感じでしょうか。
カジュアルな雰囲気はそのままですが、ちょっとドレスアップ、みたいな印象になりますよね。
ではでは、続きまして染めの着物をコーディネートしてみます!
染めの着物のコーディネート
着物だけ並べた画像をうっかり撮り忘れてしまいました…
先述した通り、染めの着物は凹凸が少なく光沢があるので、織りの着物よりドレッシーな印象な着物が多いです。
①染めの帯とのコーディネート
凹凸が少なく光沢がある生地なので、両方を染めの生地で合わせると全体的につるんとした印象になりますね。
織りの帯のようなハリがないので、帯を結んだ時もふにゃんとした優しげなフォルムになります。
洋服に例えると、オーガンジーやシフォンのワンピースのようなイメージでしょうか。
私個人的にはこの取り合わせが大好きなんです。非常に女性的なラインに仕上がるなぁと思います。
②織りの帯とのコーディネート
アップで見ると分かりやすいと思うのですが、染めの着物と織りの帯の取り合わせはフォーマルの着物のデフォルトです。
ザ・着物な質感なので、やっぱり安定感・安心感がありますよね。
まとめ
・染めの着物と帯は生地を染める=つるんとしていて凹凸の少ない生地で、光沢がある
・織りの着物と帯は糸を染めてから織る=織り目の凹凸があり、ザックリとした風合い
・織りと染めの合わせ方で着物の表情が変わる
質感を選ぶ=着物の表情を選ぶ
質感のお話はこれで以上になります。
素材の合わせ方の選択肢が広がると着物の表情が増えます。
カジュアルになったり大人っぽくなったり、ドレッシーになったり。
色数の記事でも書いたのですが、1番大切なのはどんな風に着物を着たいか、です。
色数と質感の選択肢で、引き出しはぐっと広がりますよね!
次は配色と質感、2つの指標をどう組み合わせるかをまとめます。(有料記事になります)
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