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部下のメンタルを崩壊させるマネジメント手法

私は2003年にインテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社して、アルバイト求人サイト「OPPO」の広告営業、2006年からは人材紹介事業部でリクルーティングアドバイザーとして仕事を行ってしました。

インテリジェンスに入社してから私は成果を出すために、死に物狂いで働きました。起業したいという思いが強かったので「営業力がなければ起業して成功なんてできるわけない」と考えていたので、売上を上げることにコミットし続けました。

また受験勉強の経験から「自分は人の3倍やってやっと人並み」という考えがあったので、とにかく人よりも長く働くことが必要だと考えていました。そのため入社して最初の3年間は月の残業時間は160時間~200時間、その後も100時間前後の残業は当たり前にこなしていました(のちにインテリジェンスでも長時間労働の是正が始まり、いまは一般常識的な勤務時間になっています(念のため))

さすがにこれだけ働けば仕事でも成果を出すことができ、入社して2年目からはチームマネジメントも行っていました。

「詰めるマネジメント」のメリット、デメリット

当時のインテリジェンスには「詰める」というマネジメント手法がありました。これは本来は結果がでない理由をメンバーに対して深く聞くことで課題を明確にするというマネジメント手法です

部下:お客様に先日の商談断られました。
上司:なんで断られたの?
部下:社内で稟議が通らなかったそうです。
上司:なんで稟議通らなかったの?
部下:競合と比較して金額的に当社が負けていたそうです。
上司:いくら負けてたの?
部下:おそらく〇〇万円くらいかと
上司:具体的な金額と他の要素は確認はしたの?
部下:いえ、金額だったという以外は具体的には聞いてないです。
上司:それ聞かないと次の提案できないよね?
部下:そうですね。
上司:じゃあ、聞いてみようよ
部下:分かりました

上司から聞かれることで、部下はそこで具体的な理由を考えるため本質的な原因に気づく可能性が高まります。また部下も仕事上で必要な考え方や行動を学べるというメリットがありました

しかし一方で聞かれているメンバーは上司が納得するまで理由を答え続けなければいけないので、精神的に非常に高いストレスがかかるというデメリットがありました
(またさらにここに上司の「感情」が入ると、元々の趣旨(課題の整理や気付きの促し)から外れ「抑圧的」「威圧的」な言動に変わり、さらに行きすぎると「パワハラ」にまで発展する可能性があります)

大和田

私も新卒で入社して以来このマネジメント方法で上司から鍛えられましたが、当時の私は一定のストレス耐性と大学時代に自分の頭で考えるという訓練をしていたこともあり、上司に詰められたとしてもある程度の理由を体系立てて話すことが出来ました。

当時のインテリジェンスの成長要因を「働く」という立場から二つ上げるとしたら「長時間労働」と「詰めるマネジメント」だと思います。そしてこれに耐えられる人たちが生き残り、高い成果を上げていました。

しかし、社員の中には考えるだけの知識と経験がまだなかったり、そもそも論理的に理由を組み立てることが苦手という人もいます。

そういう人には「教えてあげる」ことがとても大事です。
(人は知識がないことを考えることができません)

そのため私は部下のマネジメントをする際に、知識も経験もあるのに考えが甘い人には「なんで?」と問いかけ、まだ入社まもなく知識や経験が足りなくて出来ていない人には「教えてあげる」という方法をとるようにしました。

ショックを受けた出来事

そんな中、一人の新卒の女性メンバーが私のチームに入ってきました。彼女は元気で明るい性格でいかにも営業向きという女性でした。一方で論理的に考えることはあまり得意ではなかったので、彼女には「詰める」よりは、知識を与えモチベーション高く仕事ができる環境を作ったほうが成果を出せると考えました。
その結果、入社して1年後には新人の中でもトップクラスの営業成績を出せるようになりました。

2年目に入った時に彼女は私のチームではなく別にチームに異動となりました。ところがその3か月後に鬱を発症し休職することになり結局復職することなく会社を辞めてしまいました。

「なぜあんなに頑張っていた彼女が辞めてしまうんだ。。。」

当時私は非常にショックを受けました。

実は異動した先の上司は「詰めるマネジメント」をすることで有名な人でした。その人自身も詰められる中で育ってきた自負があるので、部下にもそれを行い、そこから強いビジネスパーソンを育てるというのが彼の方針でした。

実際私も異動した女性メンバーが詰められているのを何度か見かけました。
元気さと明るさが特徴だった彼女から笑顔が消えたのは自分も気づいていました

しかし「私のチームとは違う環境でも成果を出すことができるようになることは、彼女にとっても成長につながる」と考え、自分が口出しするのはよくないと考え静観していました。
またその上司も決して厳しいだけの人ではなく、メンバーの成長を望んでいる人で、飲みに行ったときなど熱くメンバーのことを語り、時には熱くなりすぎて涙を流すほどの熱血漢でした。

しかし、結果として彼女は会社を辞めるほどに心身の健康を損なってしまいました。

この出来事は自分の中で苦い経験として残りました。

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