見出し画像

完璧なセルフイメージの持ち方

私は株式会社インテリジェンス(現パーソルキャリア)の当時子会社であった株式会社オポチュニティで「OPPO」というアルバイト求人サイトの広告営業の仕事を行っていました。

参照:会社の看板で営業しない。本物の営業力を身に着ける

私含めて15名の同期入社がいましたが、私はその中でも営業成績を順調に伸ばし、入社して1年が経ったころには組織の中でも注目されるようになりました。

しかし、私は常に同期の中で営業成績2位でした。
1位をずっと独占していたのは一人の女性でした。

見た目はどちらかというと「ギャル」。普段話しているときはおよそトップセールスと思えない天然キャラで、ロジカルとは無縁でした。しかし営業に出るとほぼ確実に受注見込みの高いお客様を見つけて帰ってきました。

実は彼女はインターンとして大学4年生の夏からオポチュニティで働いていました。そしてインターンから営業を開始して1年8か月の間ずっと営業目標を達成し続けていました。決して低い目標ではなく、限界までストレッチした目標設定がされる中で、毎月達成していくことは並大抵なことではありません。私も達成はしていましたが、それでも月によっては目標を下回ることがありました。それを補うために私は超長時間働くことでカバーをしていました。

参照:成功体験があなたの足を引張ってしまうメカニズム

ところが彼女は毎月営業成績で同期トップでありながら月の残業時間は20時間前後。全営業スタッフの中で最も少ない時間でした。

見た目はギャルで、会話にはまったくロジカルさがなく、ビジネス書など(きっと)全く読まず、「早く帰りたい」という理由で残業しないのに、入社以来ずっと目標を達成し続け、社長や上司からも褒められまくり、そして同期トップの営業成績。

かたや自分は
売上目標を達成するために超長時間働き、お客様の課題を解決するためにビジネス書を何冊も読み企画書を作成し、応募効果の高い原稿を作成するためにコピーを必死で考え、それでもたまにしか褒めてもらえず、営業成績も2位。。。

「なんだ、この差は・・・」

と毎日この自分とは全く違うタイプの同期の女性を見ていました(実は座席が隣だったので嫌でも毎日彼女の様子が目に入りました)

あまりに不思議なので何度か疑問をぶつけてみました

「なんでそんなに売れるの?」→「1番になりたいから」
「なんでそんなに残業少ないの?」→「早く帰りたいから」
「原稿制作にどのくらい時間かかるの?(私は1時間)」→「15分」
「企画書は何ページくらい作るの?」→「作らない。1枚ぺら」
「何でそんなに受注率が高いの?」→「買いたい人にしか会わないから」
「お客様に高額な提案するとき少しビビったりしない?」→「まったく」

ぶっちゃけ会話になりませんでした。

しかし彼女を横で見ていて、気づいたことがありました。
例えばテレアポや電話でお客様と話しているとき、普段話しているときと比べて話し方や声のトーンが微妙に違ったのです。誰でも多かれ少なかれそういうところはありますが、彼女の場合そこに「自信」のようなものが含まれていました。

彼女に「お客様と話しているときって、どんなこと意識しているの?」と聞くと、「私は『売れてる営業ウーマン』って思って話してるよ」と返ってきました。さらに

「売れてる営業ウーマンならきっとこう話すとか、売れてる営業ウーマンはこんな顔つきしているとか、売れてる営業ウーマンはきっとこんなことしないとかイメージしてやってるかなぁ」

と言いました。

私はこれを聞いたときに初めて「なるほど」と思いました。
彼女は営業中に人格を変えていたのです

「売れている営業ウーマン」という彼女の中でのイメージがあり(海外ドラマの主人公だと言ってました)、仕事中の彼女は完全にその役になりきっていたのです。

彼女にあって、私にないもの。それは

「なりきる力」

でした。

彼女は小さいときから海外ドラマやミュージシャンが大好きで、いつもTVや雑誌を見てはその人物になり切って真似していたそうです。それが社会人になって営業という仕事を始めた時に、海外ドラマに出てくるようなカッコよくてクールで仕事をバリバリこなすキャリアウーマンのイメージが頭にあり、その役になりきって仕事をしていたのです。

つまり自分の『理想とするセルフイメージになりきる力』が彼女は飛びぬけて優れていたのです。(しかも実際には相手のタイプに応じて複数の人格を使い分けていました)

それが分かった時に、私は自分には全くない能力を持つ彼女に対して
「この子はスゴイ」と思うようになりました。
そしてこれまでは営業成績で負け続け、上司からの評価でも負けっぱなしで正直悔しさしかもっていなかった彼女を「尊敬(リスペクト)」するようになりました。

そして何度か仕事の話しをしたり、一緒にご飯を食べに行っているうちに、不思議と私たちは付き合うようになっていました。

この記事が参加している募集

自己紹介

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?