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【大河ドラマ】『光る君へ』第1話感想【ネタバレ含む】

そ、そうきたか。
やっと言葉にできる感想はこんなところです。

今日から今年の大河ドラマ『光る君へ』が始まったわけですが、まさかしょっぱなからヒロイン・紫式部―役名:まひろ—の母であるちやはが亡くなって、しかもそれが藤原道兼によって殺されたのだという展開になるとはまったく予想しておらず…。
振り返れば、確かに紫式部の母親は彼女が幼いころに亡くなっているものの、具体的な没年や死因ははっきりと分かっていなかったように思います。それを逆手にとってこんな展開にするとは本当に驚きで、そしてストーリーとして引き込まれるものでした。

ちやはを殺した藤原道兼は、強いものが弱いものを虐げても構わないという発想の持ち主として描かれており、それが(少なくとも)大っぴらに口にできるような価値観ではないことは、弟・道長やふたりの母・時姫の反応からもうかがえます。一方で、ちやはの死とその犯人を知ったまひろの父・為時は、権門の御曹司である道兼が罰されることはないと考え、自身や家族の安全のため、ちやはの死の本当の原因を伏せることとします。このことから、やはり今回のドラマでは弱肉強食、正義や道理に先立って権力が物をいう社会背景が通奏低音になるのだな…とちょっと暗澹たる予感がします。

とはいえ、第1回からこんなにハラハラとしてしまったので、これは絶対毎週観ることになる気がしています。楽しみ!

その他、気になったことをメモしていきます。

◆「この時代の男女の立場がおよそ現代と同じように同等だったわけではない」ということを描く手法が絶妙だったなと思います。ちやはの「(為時は)私のこと思ってくれている」という台詞からは、当たり前の前提としての一夫多妻制が厳然と伝わってきますし、「私の里が豊かでないから(為時が他にも妻を持っているのだ)」というセリフからは、妻の実家が夫の権力基盤であることも読み取れます。また、幼い三郎が父や兄のマネをして、姉の詮子に、入内した女性の役割をデリカシーなく語っているところは、三郎が子役で元服前の身なりをしているだけに何だか痛烈にリアルです。
◆勉強のできる紫式部に対して為時が言った「お前が男だったら…」という発言は比較的有名な史実ですが、ドラマの場面としては意外とあっさり出てきたなという印象です。それと、このシーンに限らず、まひろ役の子は「自分が男性と比べられる」「女性が男性に軽んじられる」といった状況での、静謐に不満を示す表情がうまいですね。
◆為時は漢文を文語調(かしこまったような話し方)でまひろに説いて聞かせているのに対し、まひろは漢文の内容を道長(三郎)に口語(平易なしゃべり言葉)で説明しています。これはあくまでまひろが幼いからそのような台詞にしているというだけかもしれませんが、「真名(漢字)」で文に親しむ男性と「仮名」を用いる女性という相違、ひいては仮名で書かれる『源氏物語』をはじめとする女流文学への違いにつながっていくのだろうかなどと想像してしまいました。
◆為時の父の申し文が「学の無いものが官職についている」などとちょっと露骨なものだったのが意外でした。為時は自身の漢詩を一条天皇に評価されて抜擢されていく人なので、今後彼の成長にも何か期待できるのかもしれません。
◆関白・頼忠の声が小さいのは史実通りなのでしょうか。キャラが立ってて印象に残りました。

#光る君へ #大河ドラマ  

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