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映画とおしゃべりの会。(モンゴルのヒップホップ文化を描いた作品を観て)

月1で映画とおしゃべりの会をやっている。6月はモンゴルのヒップホップ文化を描いた作品『モンゴリアン・ブリング』を観て、6人でおしゃべりした。参加者は高校生から社会人まで。始めましての方も、何度も参加してくださってる方も。

モンゴリアン・ブリング 原題:Mongolian Bling
2012年製作/作品時間90分
撮影地:モンゴル 製作国:オーストラリア
遊牧民や僧侶のイメージはもう古い! 21世紀のモンゴル社会を動かしているのは、ヒップホップだ。共産主義から民主主義への転換という政治的変遷にもまれながら、一度は閉ざされてしまった自国の歴史や文化を掘り起こし、西洋と東洋の狭間で自らのあり方を見出し表現しようとするウランバートルのヒップホッパーたちの姿を描くドキュメンタリー映画。首都ウランバートルの音楽シーンの盛り上がりの裏で、歴史ある伝統音楽を現代的なリズムや歌詞に取り入れ、自分たちの新しいアイデンティティをつくろうとしている動きもみられ、ヒップホップを通して、現代モンゴルの実像を見ることができる作品。

監督:ベンジ・ビンクス
翻訳:玉川千絵子(5th-element.jp)
出演者: Gennie(ジーニー)、Quiza(クイザ)、 Gee(ジー)

◆「アーティストは社会を治す医者なんだ。」◆
急激な民主化と経済発展で、社会の歪みを生み出した現代モンゴル。それに対し、ヒップホップを通して警告を発するアーティストたち。彼らは、西側の文化を受け入れながら、一方でモンゴル独自の文化やルーツに強い愛着やプライドを持っています。「西洋文化を直接真似してもダメ。自分たちのルーツを考えるべき」と彼らは言います。かつてはアジアの大地で巨大な帝国を築き、遊牧民族、騎馬民族として独自の文化を継承し続けてきたモンゴル人が、現代の変化をどのように受け止め、それをどのように新たなアイデンティティへと築き上げていくのか、大きく変わりゆくモンゴルから目が離せません。

アジアン・ドキュメンタリーズHPより

鑑賞後、おしゃべりの中で出た話を振り返ります。
・ある学校でヒップホップが禁止された。固定概念やイメージだけで良くないと禁止するってどうなんだろう?とモヤモヤしていた。でも今回、ヒップホップの歴史を知り、社会へ声を上げる文化の一つとして生まれたことを知った。その背景を知れば見え方が変わるはず。
・あるアーティストがお酒を販売する大企業ととスポンサー契約をし、他のアーティストがその姿を商業主義と批判するシーンがあった。彼は活動を始めた当初、生活費が足りず仕方なくと受け入れた、と。アーティスト活動とお金。価値観重視?それともバランス?ミュージシャンやアーティストが生きていくには?を考えさせられるシーンだった。
・言葉を音楽やリズムに乗せてぶつけ合うことでコミュニケーションをはかる文化がかつてモンゴルにはあったそう。ヒップホップはその文化にも似ていると伝統文化音楽家は語っていた。DNAレベルで共振できるものがあるのかも。伝統音楽家も案外ヒップホップには寛容だと感じた。
・ヒップホップアーティストがライブでのパフォーマンスや作品の中にモンゴルの伝統楽器の演奏を積極的に取り入れるケースがある。自分のアイデンティティとして。また若い世代にもっとモンゴルの伝統や自国の文化に興味を持つきっかけを作りたくて、と。いいなと思った。
・社会に対してただモヤモヤする、そして我慢するだけでなく、ちゃんと言葉にして声をあげていくこと、って大事。その手段としてのヒップホップっていいなと。
・他国から占領され、何度も大きく社会体制が代わり、社会全体の価値観や文化も同時に変化せざるを得なかったモンゴルは、伝統文化と現在は大きく分断されてしまってきた。その中でも伝統を守り続けてきた人々がいることは本当にすごい。
・その一方で、柔軟に他国の文化を取り入れ、また新しい独自のものを生み出していくダイナミックな力が働いていることに面白さを感じる。
・だからこそ海外にもモンゴルのヒップホップアーティストが招聘され、そこで「言語を超えた」(彼らはモンゴル語でラップをするが)気持ちを共感させ、新しい交流や文化がまた生まれていくのも面白いと思った。

などまだまだ、それぞれ話は尽きませんでした。(参加されたみなさん、ぜひ追加コメントを)伝統と現代のユースカルチャーの対立と共存、アーティストとして生きるには?、国境を超えた新しい文化が生まれるダイナミックさ、モンゴルの今を旅する感覚、ヒップホップの歴史を改めて学び直し発見したこと、など面白い時間となりました。
現在7月の鑑賞作品のリクエスト受付中!候補作を3作品あげています。
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