ハムスターに感化される売れない芸人の話 14.帰還

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生きてた。
大掃除の時以外には陽の目を浴びることはない、ベッド裏で。
筆者都合で記事にしたのは今日だが、
脱走した当日の深夜に発見された。


包み隠さず言うならば、諦めていた。

丸一日いなくなった生後2週間のハムスターが、
生きているわけないと思っていた。
死骸は見つかるのかな、見つからないのかな。
うちのフェレットが食べちゃうのかな、
食べてもお腹壊さないのかな。
とか考えてた。


どうやら食べるらしい。
もはや調べてもいた。


長い長い冒険を終えた赤ちゃんハムスターは、
めちゃくちゃ元気そうだった。
ケージに戻したら、
もう他のハムスターと見分けがつかなくなった。
ぐったりとかするべきだろ、
って逆に言いたくなっちゃうくらい。


冒険譚を皆に語っていたりするのだろうか。
真っ暗な小宇宙。
夜行性で夜目が利く君は何を見てきただろうか。

ついでに掃除したら、
太陽くらいの埃出てきたから、
何も見えなかったかもな。


帰還という言葉は、
遠方から帰ってくることを指す。
辞書の例文は「宇宙から無事帰還する。」だ。
ケージから、その距離4m程の大冒険。
よくぞ無事帰還してくれた。

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