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ドイツ語

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#海外文学のススメ

コウモリ構文【ドイツ語】Fledermaus(『ホビットの冒険』)

コウモリ構文【ドイツ語】Fledermaus(『ホビットの冒険』)

どろぼうの腕を買われてドワーフの一行に加わることになったビルボは、夜道で斥候役を押し付けられる。トラブルがあって戻ってこれなくなったら、「メンフクロウの鳴き真似を2回、シロフクロウの鳴き真似を1回して知らせろ。そしたらこっちでできることをしてやる」と言われて送り出された場面である。そんなむちゃな。

Fledermaus (コウモリ)は「羽ばたくネズミ」というような意味で、なるほど、ネズミに似てな

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洗い物の山【ドイツ語】Abwaschberg

洗い物の山【ドイツ語】Abwaschberg

なんとなく瀬田貞二さんっぽく、ですます調で訳してみた。冒頭で、13人のドワーフがビルボの家に突然やってきて、盛大に飲み食いしたあとの翌朝の場面である。

Abwaschberg という単語が気に入った。原文がどうなっているのか分からないが、mountain of washing up だろうか、ひとつの単語になっているぶん、なんだか有無を言わせない迫力がある。

ドイツ語の複合語は初心者には切れ目

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ドイツ人にとって ge- は空気みたいなものなのか【ドイツ語】Geraschel(『ホビットの冒険』)

ドイツ人にとって ge- は空気みたいなものなのか【ドイツ語】Geraschel(『ホビットの冒険』)

13人のドワーフとホビットのビルボが、冒険の旅に出かけて、初めての困難にみまわれる場面。

擬音語・擬態語がテンポよく、コミカルに使われている。気になるのは、すべて動詞の過去分詞形から派生しているように見える点だ(rascheln〔ガサガサいう〕なら過去分詞形は geraschelt, schimpfen 〔文句を言う〕なら geschimpft)。

オノマトペにいちいち ge- がついているの

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