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今日も今日とて、お母さん。-たかがイオン、されどイオン編-

本屋さんがあるなぁ〜ちょっと寄って行こうかなぁ〜とか、今日は疲れたから半身浴でもしようかなぁ〜とか、そういうことが当然できない。それが今の私である。
そもそも物理的に「一人きり」になる瞬間がほぼない(どこにいくのももちろん、お風呂だって一緒だよ👶)。
目的もなく街をプラプラすることはない(買うもの決めて最短ルートで回る!が鉄則👶)。
財布とスマホだけ持って外出なんてのも難しい(赤子一人いるだけで「ご旅行ですか?」くらい荷物多くなるのなぜ?👶)。


私の生活から「自分の時間」は消えて、ほぼ全部が「母の時間」になり、今まで当たり前にできていたことができなくなった。まだ母になりたてホヤホヤのとき、私はその現状にストレスを感じることもしばしばだった。

世の中にはきっと、母でありながら「自分の時間」というものもしっかりと確保して、生活のバランスを取っている人もいるんだろう。それはそれで素晴らしい。
私はヘタクソだから、なかなかそれができなかったし、今もうまくできない。
でもまぁよくよく考えてみたら、私は「自分の時間」というものを、本当に絶対に確保したいと思ってるのかわからない。たまにそういう一人きりの時間があるのはいいかもなぁ、程度には思うけれど。

実のところ、私は「自分」と「母」の境界線がよくわからなくなっている。
タイムカードで出勤退勤を区切り、オン・オフ切り替えられるわけでも、締め切りまでに納品できたら万歳!そのあとはしばらく休めるからそこまで頑張ろうっていうものでもない。
すると、どんどん曖昧になっていく「自分の時間」と「母の時間」の境界線。母の皆さま方、いかがされてます?

現在、子は1歳7ヶ月。
今は、ほぼ全部が「母の時間」である現実を当たり前のものとして受け止められるようになっている。
以前は、もう一人の自分が私の両肩をがっしりと掴みながら「子供を持つってのはな!!そういうことなんだよ!!!!」と怒鳴り散らしてきていたのだが、今は「子供を持つとそういう風になるもんなんだよ〜」と、優しく微笑みかけてくれているような感じ。
良いのか悪いのか、ではない。たぶん、良いも悪いもないんだろうと思う。ただ私は、そうある自分を受け入れている。


***

子がまだ、歩けるようになる前。
ベビーカー嫌いで抱っこマンの我が子との外出と言ったら、近所の散歩一択だった。そういった日々に何か変化をつけようと、私がある一大決心をした日のことを書こうと思う。


その日、私は決めたのだ。

親子二人きりで、イオンへ行く!!!!

と。

最寄りのイオンまでは車で20分ほど。
私たち家族が車で移動をする際は、チャイルドシートのとなりに私が座り、運転は夫にお任せスタイルだったため、私は子の表情を常に観察する事ができていたし、ちょっとグズってもすぐにおもちゃや飲み物等を使いあやすことができていた。

しかし二人きりだとそうはいかなくなる。
私は運転手。すぐにあやすことはできない。後ろで泣かれたとき、落ち着いて運転を続けられるだろうか、路駐できない場所だったらどうしよう。
徒歩以外の手段を使って、子と二人きりで移動した事がなかった私にとって、車で20分の移動というのはかなりの大冒険だったのだ。

イオンには大きなベビーコーナーがあり、様々な赤ちゃんグッズが揃っている。
お出かけの際に便利と噂のベビーフードが割安で売られているという情報を仕入れていたので、今日はそれを10個買うという目標を立てた。
さらに私は大冒険を前に気が大きくなっていたのか、スタバでコーヒーを飲むという目標も追加した。

目標①「ベビーフードを10個買う」
目標②「スタバでコーヒーを飲む」

一見イージーそうだが、これはかなり頑張らなければいけないハードモードのミッションだった。

ベビーフードが買えたら自分に拍手、スタバに行けたらクラッカー鳴らしてお祝いしよう。
いざ、出陣。


(最近のお散歩でのひとコマ。)


いつもそこそこ混んでいる道が、その日は案外空いていたので助かった。「渋滞×子供×二人きり」から得られる解は「悲しみ」しかない。
予定通りの20分でイオンに到着できた。ほっとしながら駐車場をくるくる周り、次に起こるであろうベビーカー乗車拒否の場面を想像して気が重くなる。
うちの子は本当にベビーカーが苦手で、乗せようとすると反り繰りかえって全身で乗車拒否をすることが常だ。現在もそうなのだが、駐車場等でベビーカーに乗せようとするとあまりにも大声で泣きわめくため、いつも誰かに通報されやしないかとヒヤヒヤしている。(それでも結局、一旦乗ってしまえばあとはケロっとしているので、嫌がるのが一瞬であることを知っている分なんとか乗ってもらおうと頑張ってしまう。)

一人で乗せられるかなぁ…くじけそうだなぁ…
そう思いながら「さぁ着いたよ!ベビーカー乗れる人ー?」と勢いよく後ろを振り返ると、子は完全に寝ていた。
いや寝てんのかい。
寝てたならよかったジャーン♪では断じてない。うつぶせ寝が大好きな我が子は、チャイルドシートからベビーカーへ移動する際、一瞬身体が解放されるときに本能で寝返ろうとする。そんなときにまた仰向け状態に身体を固定されるもんだから、嫌×嫌すっごい嫌!になってしまうのだ。可愛いやつめ。

今日は私、試されてるッ…!
だがもうここまできたんだ、やるっきゃない、である。

とにかくそっと、まるで何事もなかったようにそーっと移動させた。

すーーーー、そっ。かちゃ。

うそだろ、まじかよ。
なんと、寝たまま乗り換えさせることに成功したのだ。奇跡だった。これはもう完全に奇跡だった。嬉しくて今すぐ夫にLINEしようかと思ったけれど、ここからは一分一秒を争う。なんせ寝たということは、起きるまでのカウントダウンが始まったということなのだから。急がなくてはならない。だって…

絶 対 ス タ バ に 行 き た い 。

奇跡を目の当たりにした私の頭は完全にイオン<スタバになっていたが、当初の予定通りまずはイオンへ向かった。


ベビーカーを押しながら買い物かごを持ち、売り場へと向かう(ベビーカーと買い物かごの相性の悪さ、あれどうにかならないものですかね)。

あまり買ったことがなかったので、その種類の多さに圧倒されたけれど、とりあえずうちの子の月齢で食べられるものを選んでかごに入れまくった。
その姿はきっと、どこからどう見ても「母」だっただろう。周りを見渡すと、同じようにベビーカーを押している女性や、抱っこ紐&手繋ぎの2児連れ勇者もちらほら。「みんなお疲れ様」とそっと心の中でつぶやき、私はレジに並び、会計を済ませた。そして気付いた。エコバッグを忘れたことに。

袋を貰えばよかったのだが、元来のケチ精神からレジ袋にお金を払いたくなかったのと、なによりレジの人に「袋入りますか?」と聞かれたとき反射的に「いりません」と答えてしまった手前、今更「やっぱりください」とは言えなかった。だって恥ずかしいじゃん?
しかたなく私は10cm四方の箱を10個、ベビーカーの下につっこみイオンを後にした。

平日の午前中ということもあり、比較的人が少なかったためスムーズに買い物ができた。
ひとつ目の目標をクリアしたことで、私は「今ならなんでもできそう!」と思うほど自信に満ちあふれていた。たかがイオン、されどイオン。こんなに自分に自信をつけさせてくれたイオンに感謝しつつ、思い切って来て良かったと心から思った。

ここまで約15分の出来事。
子はまだ寝ている。
行ける。今の私なら、スタバ、行ける!!

(スタバ編へ続く)


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