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トーストびより vol.2

これまで作ったトーストのこだわりや青果への愛を綴る「トーストびより」。
vol.2は、2020年の4月22日、23日のトースト。
vol.1では興奮して書きすぎたので、読んでくださる方々の温度感を意識しつつ(笑)、トントントンっと振り返ってみます。

椿のトースト

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誕生日:2020年4月22日(水)
愛しむもの:マーガリン、トマトケチャップ、バジルの葉、マスタード、食パン

朝食習慣2日目は、トマトベースのトースト。
初回が甘かったから、2日目はしょっぱい系のトーストを作りたい気分だった。
具材の組み合わせに疎い私だけど、トマトとバジルは間違いなく合う。トマトスパゲッティーとかマルゲリータピザとか、既存の料理の組み合わせに倣って。

マーガリンは、花びらの重なりを意識して、厚みをもたせて。
ケチャップは油分の上ではじくから、お花を描いた後に隙間を埋めるように塗っていく。

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焼いた椿トーストがこちら。
トマトとバジルの香りは食欲をそそる。
マーガリンがあっという間に溶けて、お花の儚さを感じた。

味は、ほぼピザトーストです🍕おいしい。

枯山水のトースト

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誕生日:2020年4月23日(木)
愛しむもの:サワークリーム、くるみ、マカダミアナッツ、抹茶、食パン

わたしは、庭園を眺めるために京都ひとり旅をするほどの日本庭園好き。
なかでもお気に入りなのが龍安寺。白砂の上に大小15個の石が配された、75坪ほどの枯山水庭園。石庭の作庭意図は数々の説があって、誰がいつ頃作ったのかも定かではないミステリアスな庭だ。

スーパーで見つけたのがマカダミアナッツとサワークリーム。
カラッと乾燥していて、微妙な凹凸があるナッツは岩の魅力と重なる。サワークリームの混じり気のないテクスチャと酸味は、枯山水で表現される海や川を彷彿とさせた。

家中を探してみて、熊手代わりにちょうど良さそうなフォークとコームが見つかった。サワークリームの砂紋を実際に引いてみる。フォークは細くて先端が尖っていて、好みの線が引けなかった。コームのほうは、隙間や先端の形状がぴったりだった。ホテルのアメニティがここで役立つとは。

温度変化に敏感なサワークリームは、室温が暖かすぎると溶けてしまい角がなくなるが、逆に室温が低いとボロボロとした硬い表面で砂紋が引けない。
しかし、この食材の扱いづらさは案外とてもよかった。
実際に枯山水の砂紋を引く作業も、やり直しがきかない。線を引くために細工したコームの断片をもって、すすす……と腕を動かす。たった1度きりの作業だ。
食材との呼吸を合わせるようなその感覚は、静かな朝に熊手をもって線をひくのに近い。
全ての線を引き終えた時、煩悩がすっと抜けて「ああ、この感覚を私は求めていたんだな」と思ったのを覚えている。 

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ミックスナッツを買って、机の上に広げる。
くるみは強そうな尖った岩、マカダミアナッツは丸く硬い岩に見えてくる。その中から一番魅力的な岩を探す。

苔の部分は抹茶を選んだ。香りも味も和風にしたかったから。
岩の表面に生えている苔も表現する。

枯山水のトーストは、盆栽のように見つめる。
凝縮された大自然の情景(・・・のつもりのトースト)の上を、蟻のような視点で散策する。

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焼いたらいつにもまして、香ばしいかおり。
砂紋が溶けて消えかかる。焼き目がぽつりぽつり。

ザクザクッとした食感と、サワークリームの酸味が最高。

別日に、抹茶をバジルや海苔に置き換えて作ってみた。結果どれもそれぞれ良い。(解なし)

この枯山水トーストを機に、海外web記事のインタビュー取材を受け始める。

次回[トーストびよりvol.3]

次はゲゲゲのトースト、金継ぎのトーストをご紹介します。

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