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#26 とりあえずドイツで暮らしてみる

なんとも建設的ではないタイトルをつけました。でも実際の生活はそんな感じです。留学や海外滞在には慣れている、とたかをくくっていましたが、25年ぶりに長期滞在を前提に海外へ来てみると、色々と思い知らされることがありました。


オーストラリアより外国度が高かったドイツ

先日の投稿で、1997年に交換留学でオーストラリアに着いた日のことを書きました。真夏の日本から真冬のオーストラリアに着き、みじめな思いをしました。あの時とは違って今回は順風満帆な留学生活、と思っていましたが、実際には前回と同じような感じになりました。

ヨーロッパの他の国に留学した友人が、渡航直前まで「住む場所が決まらない」と話していたのを覚えていたので、出発の二ヶ月以上前に住所が確定していた僕はとても幸運でした。しかし到着してこれから数ヶ月を過ごす自室に入った瞬間、

ここはオフィスか……?

と思いました。ドイツらしいインテリアで、壁は白の塗り壁、無彩色のインテリアで、見た目には「洗練されている」感じです。タイルの床も清潔に保つには合理的なのでしょう。でも何というか、この部屋には「ほっとする感じ」がない!最初に短期留学したカナダの部屋も、次に1年間滞在したオーストラリアの部屋ももっと部屋らしくて、外から帰ってくると「家に戻ってきた」感じがありました。今は何となく、オフィスに仮設ベッドを置いて寝ている感覚があります。近々大きめのラグを買ってきて敷こうと思っています。


昔つっぱったこと

自然と、1997年の前回の留学のことを思い出しました。出発直前に大学の研究室が開催してくれた壮行会で、お世話になっていた先生は次のように言いました。

留学は、学問のみならずその国の文化、食べ物、気候すべてを体験する場だ。
その国のものを食べなさい、そして、一年を通してその国の気候を感じなさい。

恩師の言葉 従ったものの、実際は……

この言葉はとても本質をついていると思った僕は、先生の言葉に従いました。食事は基本的に学生寮で出るものを食べ、日本食レストランなどに行くことは避けました。夏休みには多くの学生が国に帰りましたが、僕はオーストラリアに残りました。でも、これはかなりのストレスだったようです。

*     *     *

初めて日本食を口にしたのは、留学も後半に入った頃、熱を出して寝込んだ時でした。親しくしていた日本人の友人がおにぎりを作って食べさせてくれ、「食べ物には食べ物以上の意味がある」と実感しました。美しいビーチが近くにあったのでよくビーチウォークを楽しみましたが、飛行機が見える度に、「あれに乗って帰りたい」と思いました。オーストラリアがとても気に入っていて、一日ずつ減っていく滞在期間が残念で仕方なかったのですが、それでもずっと外国にいるストレスは大きかったようです。


気持ちは食べ物でできている

今はドイツにいます。昔、クラシック音楽関係の仕事をしていたころからドイツには10回近く来ていて、食べ物も自分に合っていると感じていました。ここ数日も、ハム、チーズ、パンを中心とした食事に満足しています。でも、自分で「そろそろ疲れたかな……」と思うころには、きっと思っている以上のストレスがかかっているだろうことは、過去の経験から分かっています。

一元論と二元論、どちらの立場をとるにせよ、人間の感情やメンタル状態は脳細胞が生み出す現象であり、脳細胞は食べたものをエネルギーとして働いています。疑似科学的ではありますが、やはり「何を食べているか」は心身の状態に大きく影響すると思います。「そろそろ日本食が食べたいな」と思った時には、すでにストレスレベルが危険域に入った証拠だと思うので、その前にどこかいいレストランを見つけたいと思います。

できることをやろう

当初、「寝て起きて、生活する場所」とあまり思えなかった自室は、意外なことに日本でずっと使っていたデスクトップPCを置くと一気に自分の城らしくなりました。先日の投稿で、「無事に持っていけるか?」と書いた iMac 27 は無事動きました!食事は、外食をやめて自炊することで、日本食ではないにしても、地に足がついている感覚を得ました。調理したり、使ったお皿を洗ったりという身体的な行動が、この土地での生活に馴染んでいく重要なステップになっている気がします。

現在のワークスペース iMac27 がいい感じで収まった
窓の外は緑で、いかにもドイツらしい
写っているカンガルーのぬいぐるみは25年前からの相棒
ハム・チーズは多くの種類が安く手に入る
少量パックもあるので、一人暮らしに便利
今日の夕食〜多くの種類のソーセージがあることはもちろん
「焼くだけハンバーグ」もいろいろな肉の種類から選べる
写真に写っている 500ml のビールは130円ほど

もう一度、強くなる

海外生活で得られる一番のものは、やはり文化も習慣も異なる異国の地での生活を「どうにかやりくりする」強さではないかと思います。ドイツ人はほとんどの人が英語が堪能というイメージがありますが、それは大学や国際ビジネスの場での話。中心街を外れたスーパーでは英語があまり通じないこともありますし、商品パッケージにはほぼドイツ語表記しかありません。今日はやっとNTTドコモの海外サービスから現地の携帯電話会社に切り替えましたが、最後までドイツ語を Google 翻訳しながら手続きを進めた感じでした。

今思うと、オーストラリアから帰った後の日本での25年間は、本当に「楽しい」と同時に「楽(らく)」だったのだなと思います。オーストラリアで悪戦苦闘した後、理想的な就職をした僕は、ある意味「たくましく生きていく」力を少し失ったのかもしれません。ここで、コンフォート・ゾーンから出てストレスレベルが高い環境で暮らすことで、「もう一度強くなりたい」と思います。

なぜ「もう一度強くなる」必要があるのか、それは僕にすべき大切な仕事があるからです。その内容の一部について、次回の投稿で書こうと思います。

今日もお読みくださって、ありがとうございました🇯🇵🇦🇺🇩🇪
(2023年8月6日)

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