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#98 母の愛はお誕生日会?🎂

変わった人生を送っているからか、「ご両親はどんな方なのですか?」とよく聞かれる。この note は両親も楽しみにして毎回読んでくれているので、ここで印象的なエピソードを3つ紹介したい。後の2つは両親も覚えているはずだが、最初の話は覚えていないかもしれない。



ほめてもらえた、落書き

僕には妹が二人いて、二人は二卵性の双子だ。妹たちが産まれて以降の我が家はとても賑やかになったが、それ以前は僕と両親、同居していた母方の祖母の、静かな4人家族だった。
 そんな頃、当時の家から歩いて10分ちょっとの距離の今の実家に引っ越してきた。前の家の間取りなどは何も覚えていないが、引越しの朝のある出来事をはっきりと覚えている。

両親と祖母が引越しの準備をしている間、おそらく4〜5歳だった僕は手伝いができるわけでもなく、一人台所で遊んでいた。そして何を思ったか、空になったキッチンの一番上の引き出しを抜き出してひっくり返し、その裏にマジックで絵を描いた。おそらく、トラックか消防車の絵を描いたように記憶している。
 描き上がったら、意気揚々と母に見せに行った。当時の僕は、「叱られるかもしれない」という知識もなく、ただただ描いた絵を母に見せたかっただけだった。母はこんな反応だった。

母:あら、上手ね〜よく描けてる。でも引越しするから、この引き出しは持っていけないわね……

父にも見せてくれ、「新しい家に持って行きたいけど……」と言ってもらえた。実際には引き出しは置いていかざるを得なかったが、褒めてもらえて嬉しかった。「がんばってしたことは、認めてもらえて当然」という価値観のベースがこの時にでき、今でもその感覚を持っている。

*     *     *

ラーメンには豪華なトッピング

次は、母が病気で寝込んでいて父と二人で買い物に行った時のことだ。

父:夕食は何食べたい?
僕:ラーメン!サッポロ一番のしょうゆ味がいい〜
父:……ラーメンだけじゃ栄養が足りないから、肉でも入れようか〜

我が家の爆笑ストーリー🤣

ここからは爆笑ストーリーだ。実家でこの話をするといつも親子で大笑いする。父は、何を思ったか量り売りの肉屋へ行き、100グラム800円という高価な牛肉を買った。今から40年近く前の話なので、今の価値だと100グラム1,500円くらいだろうか。
 父は茹でたラーメンにそのお肉を投入(味付けなし!)、よく分からない味のラーメンが出来上がった。ラーメン屋で食べるよりずっと高価な袋ラーメンだった(当時はラーメン屋のラーメンが350円〜400円位)。せめてもやしと一緒に胡麻油で炒めて砂糖、しょうゆを足してすき焼き風にして乗せれば美味しかったと思うが、当時は料理は完全に母の担当だった。

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一人で食べた、誕生日ケーキ

最後は、少し切ないエピソードだ。カウンセリングを受けはじめた当初、カウンセラーの先生に、「あなたの感情の中で、他の感情より大きいなと思う感情は何?」と聞かれた。答えは瞬間で出る。僕をよく知る人なら知っている僕の口ぐせ、それは「寂しい」だ。この感覚が固定されたのは、この日だったのではないかと思う。

それは小学校2年生の時のことで、その日は、僕が勝手に仲良しだと思っていた友達のK君(もちろん男友達だ)のお誕生日会があった。しかし、僕は呼ばれなかった。普通ならそこであきらめるだろう。しかし、僕はあきらめが悪い。母にK君宅に電話してもらい、お誕生日会に行けるように話をつけてもらった。母がどれほど嫌な思いであの電話をかけただろうかと思うと、涙が出る。

K君宅に着くと、K君のお母さんが「さあ、バースデーケーキよ!」とケーキを出してくれた。でもホールケーキを切ったものではなく、母が電話した後に、K君のお母さんが急いで買い足してきてくれたものだった。イチゴが乗ったショートケーキで、銀色のつぶつぶが乗っていたのをはっきり覚えている。
 K君も他の友達も、すでに隣の部屋でゲームを始めていたので、僕は食卓で一人でバースデーケーキを食べた。あの時の寂しさが、おそらく今も残っていて、支配的感情になっているのだと思う。

この日のことが記憶に戻ってきたのは、大人になってからだ。恥ずかしい思いをしても、どうしても友達の誕生日会に行きたいという僕の気持ちを叶えてくれた、母への感謝を象徴する出来事になった。

*     *     *

今僕がここにいられるのは

僕の家庭では、最初の話で、「だめじゃない、落書きなんかして!」と叱られたり、「ラーメンが食べたいのか、じゃあラーメン屋に行こうか」と外食で済ませたり、あるいは「呼ばれてないお誕生日会になんて、恥ずかしくて行けるはずないでしょ!」と言われたりはしなかった。
 どの気持ちにも、両親が誠意を持って応えてくれた。この経験は、「興味関心や希望はまず伝えて、行動に移してみるのがいい」という信念に形を変え、間接的に僕をドイツに連れてきてくれた。

でも、「寂しさ」からはそろそろ卒業したいです。note 読者のどなたか、お誕生日会に(お子さんのお誕生日会でもOK)呼んでくれませんか?ケーキは、🍰これではなく、ホール🎂を切ったものが食べたいです。銀色のつぶつぶが乗っていると最高です✨もちろん、みんなと一緒に食べたいです。いいシャンパン、持っていきます🍾🥂

今日もお読みくださって、ありがとうございました☕️
(2023年12月9日)

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