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消えゆく日本の原風景 10年後に完全に消えてしまう場所がある事をご存じですか。

今回の記事では「里山の光と影」の「影」の部分を書きます。

たくさんの魅力がある丹波篠山市。その一方で大きな問題が一つあります。
それは、住民の「人口減少と高齢化」です。
 大阪市は1㎢あたり12,216人(※1)
対して、丹波篠山市の人口密度は1㎢あたり114.6人(※2)
 かなり人口密度が低いのが分かります。そして「65歳以上の人口が7%を超えた社会」を「高齢化社会」と定義され、21%以上で「超高齢化社会」になります。丹波篠山市の高齢化率はなんと28.50%。約3人に1人が65歳以上の社会なのです。

〈参考〉
※1 大阪市公式ホームページ08_oosaka2022.pdf
※2 丹波篠山市ホームページ:丹波篠山市の概要/丹波篠山市 (tambasasayama.lg.jp)

過疎化は地方だけの問題なのか

 過疎化と聞くと、地方だけの問題としてとらわれがちですが、実はそうではありません。地方が担っているのは主に自然環境に関連する農業や林業です。その産業が衰退すると、食料や水・木材など、生活に必要なものを安定して供給することができなくなります。森林は水や空気を綺麗にしてくれ、空気を循環する役目がありますが、緑が多ければいいというわけではなく、整備しなければ、災害が発生した際に、洪水や土砂災害などの被害が拡大します。そして、近年キャンプやアウトドア系のレジャー施設が郊外にできたことにより、憩いの場所としても役割を担っています。
 過疎化は日本の将来を揺るがす問題になっているのです。

過疎化地域を支援する団体「さともん」

 丹波篠山市の北部にある川阪地区は、過疎化に苦しんでいる地区です。
 この地域を支援しているのが、NPO法人里地里山研究所、通称「さともん」です。獣がい対策が専門で、里山保全のための活動をしています。

団体については記事のその③にて詳しくお話するとして、まずどんな問題があるのか、我々さともんの代表理事、鈴木克哉氏に聞いてみました。

24年度 川阪での田植えにて。

 鈴木氏は「集落では草刈りをはじめ、農地や山林の管理、川阪に伝わる伝統行事、福祉の面など、地区の住民で行います。しかし、人口減少と高齢化により、5年後、10年後には集落活動の維持や、お米づくりの継続が難しくなり耕作放棄地の増加や集落の景観悪化が心配されます。」と眉を曇らせました。

川阪地区は自然豊かで生き物がたくさんいます。まさに日本の原風ともいえる村が10年後にはなくなるかもしれない。危機せまる状況にあるのです。そして、そんな場所が日本にはたくさんあります。

手入れの届かない広大な土地の手入れ

  集落活動の中でも、草刈りは特に大変な作業で、人手も体力も道具もいります。今は使っていない農地でも草刈りを定期的にしておかないとすぐに荒れた景観になってしまいます。

平坦だった土地が短期間で草が伸び放題に。160㎝の私の腰より高くなります。。

 手入れがされず藪が伸び放題となってしまった土地は、野生動物の恰好の隠れ場となってしまい、ますます野生動物と人間の適切な距離が保たれなくなります。だからといって、その土地をまた農作地で活用しようとすると、草を刈り笹や木の根を掘り起こし、整地して土づくりをして、、、と農作物が本格的に収穫できるまでは途方もない年数がかかります 

集落の人が守ってきた大切な伝統の伝承


 そして、集落には大切に守ってきた独自の伝統や文化があります。みんなで守りみんなで伝承していく。その醍醐味が消滅しかけているのです。

西紀北地区の春日神社の秋祭り。2023年は4年ぶりに開催されました。

 
 自然豊かな土地と、伝統文化、共存し伝承しようとする人々の想い、
10年後に消滅していいわけがありません。どれも未来を担う子ども達に必要な要素ではないでしょうか。
 そして、川阪のような土地がもつ、特有の大きな問題がもう一つあります。全国的にみても甚大な被害です。それについては次回の記事でお送りします。


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