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お寿司の聖地でうまいをさけぼう

地域おこし協力隊の応募に際して多少の紆余曲折がありながら、なんとか無事、石巻市の協力隊として無農薬でササニシキを育て続ける田伝むしさんのお世話になることになった。

今日は、その日々栽培や販売に関わるササニシキについてやそれを取り巻く地域環境について書こうと思います。

ササニシキ

よくご存知の方、よく食べている・食べていた方、名前は知っているけど食べた事がない、そもそもササニシキって何?っている人も、最近は増えているかもしれませんね。一昔前は「東の横綱ササニシキ、西の横綱コシヒカリ」ともいわれるほど、日本国内で人気を博したお米なんです!

ササニシキは宮城県生まれ

ササニシキは、1963年晩植に適したハツニシキと収穫量が多いササシグレの掛け合わせで宮城県の古川農業試験場で生まれました。コシヒカリ系のモチモチ感に比べサラッとした食感が特徴で、糖質も少ないので消化にもよいお米です。1990年のピーク時には、全国でコシヒカリについで2番目の作付量となるほど、和食に合うお米として人気を博しました。しかし、そんな一時代を築いたササニシキですが、平成5年の歴史的な冷夏や翌年の高温多雨の影響を特に受け、徐々に食卓から姿を消して行きました。ここ宮城県でも家庭で食べる機会も減りましたね。作付量は全国でなんと0,2%以下までに落ち込んでしまっています。

そんな今では希少種になってしまったササニシキですが、お寿司屋さんでは今でも根強い人気!なんです。寿司酢がシャリ全体にうまく広がり、口の中ではフワッとほどけネタの食感を引き立てる。そして、そのネタの味を上手く引き立てるひかえめな甘さ。このお寿司屋さんで好まれる理由については、昨年石巻に移住してからすぐにこの舌で実感出来ました。

長年のドイツ生活でコシヒカリ系を食べていた僕は、去年の秋、20年ぶりに新米のササニシキで手巻き寿司を家で食べたんです。正直、こんなにも感動を覚えるとは思ってもいませんでした。ドイツでは美味しい魚やお米をなかなか調達できなかったことはあるものの、ここまで差が出るものかと驚きました。魚も石巻産。世界でも有数な漁場で取れた魚介類は、どれも脂が乗って食べ応え、味、どれも申し分なかった。ちなみに海苔はお隣東松島産。パリッとした海苔に採れたて炊き立てササニシキの鮨飯と新鮮なネタを包んで頂く。地元の食材ばかりで味わうこれ以上の無い贅沢。嫁も子供たちも、我を忘れるほど手巻き寿司を頬張っていた。それに手巻き寿司は子供にとっても楽しい。さすが日本人が生んだ総合芸術作品!

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世界三大漁場

ところで、石巻の漁場については上で少し触れたが、宮城県には世界三大漁場があるってご存知だろうか。

以下、石巻市HPからの抜粋だが、こうのような理由から稀に見る地形だそうだ。

”三陸・金華山沖は親潮(寒流)と黒潮(暖流)がぶつかる潮目であることに加え、三陸沿岸に連なるリアス式海岸や多くの島々の点在が魚の絶好の住処となるため、非常に豊富な種類の魚介類が水揚げされます。
さらにこのリアス式海岸は山地が海の間近まで迫るため、森のミネラルをたっぷり含んだ山水が絶えず海へ流れ込みます。そこで海水と混ざりあうことにより、世界有数の植物プランクトンの発生地となります。”

このように、この素晴らしい漁場がある為、石巻がササニシキの一大産地である所以でもあるだろう。こんな素晴らしい食材数々に出会える場所がここ石巻なんです!

水とミネラル

また、この森から流れるミネラルたっぷりの水で我々のお米たちも育っています。ミネラルは、生き物にとってとても重要な栄養素。北上川から流れる豊富に流れ注ぐミネラルを作物が吸収して、病害虫にも強く育ちます。そして、さらにそのミネラルを多く含んだ土の中には沢山の微生物が存在します。この微生物の働きも、稲を育てるのにとても大事な役割を果たすんです。

微生物と土

微生物は土を分解し酸素や水を通しやすくする上、土壌内の有機質を分解して作物が必要な養分や栄養を作り出します。除草剤などの農薬を使わない田んぼの土に触れたり、中に足を踏み入れるとそれがよく分かります。柔らかく、サラサラと、そして何より暖かいんです。

豊かな生態系

水や土壌が豊かだと、それを取り巻く生き物の生態性も自ずと豊かになりますね。我々の田んぼでは年間を通して、様ざな生き物の暮らしを目にします。微生物を餌にする水中昆虫、どじょう、カエルにザリガニ、そしてそれらを食べる鳥やヘビたち。生き物が多すぎて田んぼや稲に起こる弊害もあるけれど、これは生き物にも住みやすい環境がここにあるという証。先日、こんな風景も目にしました。下の写真は、稲を上手に組んで、屋根まで!作り上げて真鴨?が田んぼ内に巣を作っていたんです。田んぼ内は稲に囲まれているから、身を隠しやすく天敵にも見つかりにくい。さらに餌も豊富とくれば、これ以上の子育ての場所はないかもしれない。いやー、でも屋根までちゃんと作ってるのには、本当に感心しました。すごい建築技術を持ってるんですね。

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このように、とても恵まれた自然環境の中、僕たちのお米ササニシキは育っています。

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さあ、早いもので8月初旬、いざ出穂の時。ひかえめに、おしとやかに咲くお米の花。長雨や日照時間の短さに負けず、今年も美味しい実を沢山つけて育ってね!!

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