見出し画像

筋トレのコツ18:最大筋力によりスピードトレーニングで扱う重量も増える

この記事では筋トレを続けていく上で重要になるコツの中でも、『スピードトレーニング』の特徴についてまとめています。尚、具体的なトレーニング方法については省略しています。あくまで「考え方」だけです。


「スピード・トレーニング」とは?

例えば数10kgあるダンベルを上へ持ち上げる場合、少なくともそのダンベルが上へ持ち上がり切るまでの間は、筋肉を収縮し続ける必要があります。筋肥大を目的とする場合、そうして収縮している間、筋肉に負荷がかかり続けるので、トレーニングの方法としては適しています。

一方、ダンベルの重量が大きくなるほど、「ダンベルを持ち上げる」という動作における「筋肉の収縮スピード」は、どんどん遅くなっていきます。つまり自分の頭の中にある「ダンベルを素早く動かす」という意識と、「実際に行っている動作」とで、大きな差が生じてしまう訳です。

そこで、ダンベルの重量を敢えて小さくして、とにかく素早く筋肉を収縮させる事を意識し、「できるだけ瞬間的に筋肉を収縮し切る(関節を曲げ切る、あるいは伸ばし切る)」ようにします。

すると、素早い動作が行えると共に、頭の中にある「素早く動かす」という意識(イメージ)と「実際に行える動作」が一致します。そのように筋肉と神経の連動性を高めようとするのが「スピード・トレーニング」の主な目的です。

尚、このスピード・トレーニングには、「特定の筋肉の収縮スピードを高める」というように「筋肉」に重点を置いたトレーニングの他に、「神経系(脳、五感、筋肉)の機能を高める」という事に重点を置いたトレーニング、あるいは「特定の動作スピードを高める」という事に重点を置いたトレーニングもあります。


筋肉の収縮スピードの向上を目的としたトレーニング

筋肉の収縮速度を高めるためのスピード・トレーニングでは、そのように筋肉が収縮する時、できるだけ素早く収縮し切るように、あるいは筋肉が伸びる時、できるだけ素早く伸び切るように行う必要があります。軽い重量で行うため、その意識が非常に重要になります。

例えばスクワットの場合、立った状態で、膝を伸ばしたところから曲げていき、膝を曲げたら伸ばしていく・・・という事を繰り返します。このようにスクワットという動作自体は多くの人が知っています。

これをスピード・トレーニングの要素を取り入れて行う場合、「膝を曲げる時のみ、できるだけ素早く行う」や、「膝を伸ばす時のみ、できるだけ素早く行う」、あるいは「膝の曲げ伸ばしを一気に素早く行う」という事になります。また次のスクワットの動作を行う場合、連続で行うのではなく、「1回の動作を行う度に区切って次の動作を行う」事になります。

尚、筋肥大を目指したレジスタンス・トレーニングの場合、スクワットではバーベルを担いで行う事になります。特に筋肥大に適したバーベルの重量は「最大重量の8割前後」、すなわち最大重量が100kgなら80kg前後のバーベルが必要です。実際にその重量でスクワットを行ってみると、1セット中に6~10回前後反復する事になります。そして2分程度のインターバルを挟み、それを2~4セット繰り返す事になります。

一方、スピード・トレーニングの場合だと、それが「最大重量の5割前後」になります。つまり1セットでギリギリ1回しか反復できないような「最大重量」が100kgであれば、その5割である50kg前後です。実際にその重量で行うと、1セット中には20~30回程度を、1回1回を素早く行い、次の1回を区切って反復していく事になります。また次のセットを行う場合、インターバルを長めに取って、2~4セット行います。


ちなみにスピード・トレーニングでの「適切な重量の設定」、及びトレーニングを行う際の「筋肉の収縮の仕方」さえ分かっていれば、このように既存のあらゆるトレーニングを「スピード・トレーニング」として行う事ができます。

つまりここではスクワットを例にしましたが、腹筋動作、背筋動作、腕立て伏せ、ベンチプレス、アームカールなどを、レジスタンス・トレーニングではなく、スピード・トレーニングとして行う事ができる訳です。


スピード・トレーニングだけを単独で行うべきでない

前述した「筋肉の収縮スピードを高める」という事を目的としたスピード・トレーニングでは「最大重量」を基準に考えています。

つまり筋肥大を目指すレジスタンス・トレーニングを行って、最大重量が上がっていれば、このスピード・トレーニングで扱える重量も大きくする事ができます。

特に大きな重量を扱うレジスタンス・トレーニングに対しては、例えば怪我をしやすくなるとか、体固くなるとか、重くなるとか、とにかくネガティブな印象を持っている人が多いです。そういう人にありがちなのが、このスピード・トレーニングだけを続けてしまう事です。

しかし繰り返しになりますが、スピード・トレーニングの重量は、そのように最大重量の向上に伴って大きくなります。つまり同じ重量でスピード・トレーニングを繰り返すだけでは、いずれ効果が頭打ちになってしまうのです。

スピード・トレーニングを行う場合、それだけを単独で行うのではなく、「レジスタンス・トレーニングによる筋力の向上→スピード・トレーニングの効率向上→パフォーマンスの向上」という流れを作るようにしましょう。


神経系の機能向上を目的としたトレーニング

筋肉が素早く収縮するためには、まず脳からの命令がスムーズに出なければなりません。またその命令がスムーズに筋肉まで伝えられる必要があります。

つまり動作スピードを真に高めるためには、前述のように「筋肉を上手く使えるようにする」と共に、「神経」も上手く使えるようにする必要があります。よって「神経系の機能向上」に重点を置いたスピード・トレーニングも一緒に行うべきです。

「神経系を刺激する」と聞くとイメージしにくいかもしれませんが、例えば光、音、投げられたボール、人の動作などに対して瞬時に反応し、特定の筋肉や特定の部位を動かしたり、全身を素早く動かす・・・というようなトレーニングになります。そのように置かれた状況を瞬時に判断するような要素を取り入れ、その流れの中で、あるいはその後で、素早い動作を行うようにする訳です。

また単純に「五感だけを刺激する」事に重点を置く事もできます。例えば動体視力だったら、視界の中で素早く何かを動かして目で追うとか、周辺視野だったら、視点を合わさず視界の中のものを把握するとか、聴覚なら、目を瞑った状態でパートナーに何かを落としてもらい、その場所に素早く向かうとか、このように様々なトレーニングが考えられます。

更に「脳を鍛える」という事に重点を置く事もできます。つまり例えばクイズとか、数独とか、パズルとか、そういう「脳トレ」もトレーニングにできる訳ですね。行う種類が多いほど脳を鍛える効果も高まります。

尚、これらに関しては本当に多種多様なので、それぞれの方法についてはここでは詳しく触れませんが、方法は工夫次第でいくらでも考えられます。


専門的な動作速度の向上を目的にしたトレーニング

これはスピード・トレーニングの中でも、特にスポーツごとの専門的な「動作」におけるスピードを高めるトレーニングの事です。

例えば陸上競技の短距離走では、「ミニハードル」や「ラダー」などを使ったスピード・トレーニングが知られています。「スピード」であるので、「素早く足先を動かす」「太ももを素早く動かす(最小限にするか、大きく動かすかによって異なる)」「地面に足が接している時間を短くする」「素早く重心を移動させる」などを強く意識して行う訳です。

ミニハードルであれば、最初は前後の間隔を近くし、少しずつ間隔を広げていくように置く事で、助走のイメージもできます。

また例えばサッカーなら、ボールを足元で受けた後、目の前からディフェンスを受けながら、遠くにいる赤いゼッケンをつけた選手を探して、そこに素早くロングパスを出すというようなトレーニング法も考えられます。こうすれば、より実戦に近い状況での動作スピードを高める事ができます。

尚、例えばボクシングの場合、真っ直ぐ張った一本のロープをウェービングしながら前へ進んでいくスピード・トレーニングがあります。一方、前述した陸上競技のミニハードルによるスピード・トレーニングは、ボクシングとは本来関係のない動作ですが、それを行う事で動作スピードの向上に繋がる可能性があります(ラダーでは、ステップのバリエーション次第で、実戦に近い動きを行う事もできる)。

つまり実際のスポーツとは異なるスポーツの動作を取り入れたスピード・トレーニングを行うのも、全く構わない訳です。



以上です。何かのお役に立てれば幸いです。

「サポート」とはチップのようなものみたいです。頂いたチップは食品やサプリメントなどの検証に活用させていただき、後日記事にしたいと思います。