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平戸と夏の思い出

旅行先を平戸に決めたのは、特別な理由があったわけではない。ペットも泊まれる宿を平戸に見つけたからだった。

そこにペットも泊まれる部屋があるからだ。

愛犬家ドッグラバー、そう呼んでもらっても構わない。犬と一緒に旅行に行きたいというのは人間のエゴなのかもしれない。エゴの意味はよくわからない。夏休みだから旅行に行く。犬がいるからペット可の部屋に泊まる。つい先月も伊王島に行ったから、お値打ちの宿に泊まる。ほとんど連想ゲームのような思考回路で、私は平戸に行くことを決めた。目減りする預金残高のことは気になるが、私は記帳後の通帳をそっと閉じた。思い出はプライスレス。そう、お金の話はここではしない。だって、そう。思い出はプライスレス。


🐩⸒


今回訪れたのは、長崎県平戸市。

湯快リゾートホテル蘭風というホテルに、犬も泊まれるというプランがあると知り、夏休みの作文の材料となればと泊まってみることにした。しかし、今年は夏休みの作文は書かなくても良かったらしい。でもまあ行くけど。だって思い出はプライスレスだから。

犬連れで出来ることは限られているが、とりあえず行ってみようと言うことで、私たちは車を走らせた。今回は完全に無計画。まあ、なんとかなるさ。ハクナマタタである。今日もいい日だ。

平戸といえば、隠れキリシタンの地ということで、教会と寺院が同じ画角に収まる街という印象が私にはある。しかし、昼間の暑い中、犬連れで観光は難しいし、息子たちも大して興味がなさそうなので、サクッと平戸城だけ訪れてからホテルへ直行した。

ホテルは昭和感溢れる作り。改装を頑張っていて綺麗になっている部分と、まだ手が行き届いていない部分が混じっている印象。昭和と令和がないまぜになっていて嫌いじゃない。設備的に首を傾げる部分はあるが、宿泊料金がお値打ちなので、こんなもんかなとも思う。

ホテルの前に海水浴場があるのだが、かなり綺麗な海だった。遠浅で透明感がある。お盆明けだがクラゲは全くいなかった。人も少なく過ごしやすい印象。海の家があると書かれてあったが、海の家というよりかはシャワー室と更衣室があるだけのもの。ライフセイバーの方が常駐されているので、安心して泳ぐことができた。私は愛犬と日陰のベンチで過ごした。私はぐうたら酒を飲み、夫と息子は綺麗な海で今年最後の海水浴を楽しんだ。

ホテルのスタッフの方はみな、対応が丁寧だった。
観光地ど真ん中のホテルではないので、宿泊している方は日本の方が多かった気がする。飛び交う言語が日本語だけだと安心する。たまに観光地に宿泊すると、さまざまな言語が飛び交っていて、なんだか落ち着かない。私は日本語しか喋れないので、外国語は緊張してしまうのだ。

犬と一緒に泊まれる部屋は別館にあり、本館からは少し移動しなければならない。エレベーターが二台しかないので、混雑したら移動に困るかなと思ったけれど、特にそんなこともなく快適に移動することができた。犬と一緒に移動する際は、キャリーに入れることが必須条件のため、愛犬ポッキーはバギーに乗って移動。バギーが大好きなので、快適そうだった。

到着後、部屋でビールを飲み、いい感じの時間になってから温泉と夕食に向かった。当然犬は連れていけないのでポッキーにはケージでお留守番してもらい、人間だけが移動。廊下に出ると、ところどころで犬の鳴き声がしたので、少し胸がギュッとなった。こういう時、旅行に犬を連れていきたいのは本当に人間のエゴだなと思う。楽しんでくれればいいが、愛犬に感想を聞くことはできない。ずっと一緒に過ごせることで、快適さを感じてくれたらいいなと願うばかりだ。

夕食はバイキングで、こちらも頑張っているなという印象を受けた。飲み放題のリストバンドをもらって、好きなだけ飲みながら食べる。バイキングのいいところは、酒のつまみだけを選んで食べることができるところ。席で作るせいろ蒸しが美味しかった。彩りなどを気にせずせいろにサザエをぎゅうぎゅうに詰めてやった。サザエうまい。

足湯や卓球台、キッズスペースやカラオケも無料(時間帯によって)で利用できる。手書きの表に名前と部屋番号を書き込んで予約して利用するというもの。

温泉といえば、脱臼だろ?
間違った、卓球だろ?

ということで、卓球台を予約し、みんなで交代しながら卓球をした。
小さい頃はうまく卓球ができなくて泣き喚いていた次男が、普通に卓球ができるようになっていて、夫と二人で胸アツだと顔を見合わせた。成長。高校生の長男がいちいち煽るのですぐに喧嘩になる。まあ、これも一時的なものだろう。愛犬ポッキーはキャリーからじっと卓球する様子を見つめていた。夜は涼しくて、散歩をするのにもちょうど良かった。

朝も温泉に入り、朝から大量に朝ごはんを食べ、腹ごなしに卓球もした。

いい感じにラリーが続いて、「上手くなってきたねぇ」なんてことを言っていたら、隣の台で卓球を始めた小学校低学年っぽい男子二人が、かなりテンポ良くラリーを始めた。こいつらタダもんじゃねえ、と家族みんなで隣の台を見つめる。上手くなってきたなぁなんて思ったのが恥ずかしくなるくらいの上手な小学生たちに圧倒された。それを横目で見ながら、よくわからないフォームでサーブをし始める長男。顔はニヤついている。なんだかそれだけで楽しい。思い出はプライスレス。

ひとしきり遊んだ後、お土産を買って帰ることにした。

帰りは佐世保に寄ろうか、ということで九十九島パールシーリゾートへ。遊覧船に犬も乗れるとのことだった。到着したのが出航後で、次の便は1時間後と言われた。さらに犬を入れているキャリーのファスナーを完全に閉めてくださいと言われ、なんだか気分が完全に萎えてしまったので、遊覧船は諦めることにした。散歩をするにも暑すぎるので、ペット同伴で食事ができる佐世保バーガーミュージアムへ向かうことにした。朝ごはんを食べすぎてお腹が空いていなかったのだが、佐世保バーガーミュージアムに着いたのが14時で、出来上がりまでに1時間待ちと言われた。その頃にはお腹が空くだろうということで、九十九島が見渡せる佐世保バーガーミュージアムでハンバーガーができるのを待つ。1時間待ちと聞いて、早々に帰っていく人たちもいたが、実際は30分でハンバーガーが提供された。

息子が「早く出てきて良かったね。わざわざ1時間とか言わんでよかったんやない」と言っていたので、人間の心理的には、待つ時間が短くなった方が得をした気になるので、長めに伝えておくほうがクレームが生じなくていいのだということを教えておいた。20分でできますと言って30分経ったら、みんなイライラして仕方がない。1時間待つつもりだったのに30分で出来上がって文句を言う人は少ないだろう。

佐世保バーガーはかなり美味しかった。レギュラーサイズを頼んだが、バンズも軽く野菜もたっぷりなので、ラージサイズでもいけたのでは、と思った。多分ラージが出てきたら食べきれなかった気がする。一緒に頼んだ水出しコーヒーも美味しかった。

佐世保バーガーを食べたら15時を過ぎていたので、道の駅やSAによってお土産を買いながら、帰宅した。

帰ってから肌を触るとまだスベスベしていた。温泉の効果はすごい。温泉地に住んでいる人は、ずっと肌がスベスベなのだろうか。スベスベの実を食べていたのは、誰だったっけ。アルビダだったかな、なんて思ったりはしなかった。

帰宅後、家にビールがなかったのでホッピーを飲んだ。その後は、ダイニングテーブル横の夫が作った棚から酒瓶を取り、焼酎をソーダで割ったり、モヒートを作って飲んだりした。風呂上がりにグラスに残っていた焼酎のソーダ割りを飲んだら、ソーダ割りじゃなくストレートの焼酎が入っていた。思わず「濃っ」と言ったら目の前で酒を飲んでいた夫が、「自分のグラスに入れようと思ったら間違っておかんのグラスに焼酎を入れた。まさかそのまんま飲むと思わんかった」と笑った。そのおかげか、いい気分になっていろいろ飲んでいたら、自分でも気付かないうちにソファーで眠りこけていた。次男に起こされて気がつくともう深夜の1時になっていた。「俺はもう寝るから。おやすみ」と次男が先に寝室に行ったのだが、私は起きることができず、気づいたら二時になっていた。やっぱり酒が捗り過ぎるこの棚はよくないと思った。

あまり観光はできなかったが、息子たちも楽しんでいた。私と夫も美味しくお酒飲めて満足した。愛犬ポッキーが楽しかったかはよく分からないが、吠えたり暴れたりせず、ずっと機嫌よく撫でられていたので、楽しかったんじゃないかと勝手に思っている。夏に旅行に行きたくなるのは連休があるからだけど、やっぱりもうちょっと涼しい方が過ごしやすいし楽しめる気がした。

なぜか息子は自分用のお土産にザビエルのキーホルダーを買っていた。ザビエルのおかげで忘れられない思い出がひとつできた気がする。たぶん、気のせいだろうけど。



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旅行の写真は、下の記事からご覧いただけます。
今回は、写真と記事を別々にしてみました。なんとなく。






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