秋、それはBBQの季節。
最高気温、30度。
それだけで、秋を感じる体になってしまった。
この夏も、一つ前の夏も暑かった。こんなにも太陽を身近に感じたことは、私の人生で未だかつて、ない。
そんな夏に、外で飲食するなど考えられなかった。
だって暑いから。
無理。暑いの無理。熱中症なる。
しかし、最高気温36度で慣れてしまうと、30度は涼しく感じる。快適。風が吹くと気持ちがいい。どこからか声が聞こえる。
「私をキンキンに冷やして。夏の暑さで乾いた喉を駆け抜けたい」
黄金のシュワシュワとした声色が、私の心にそう訴えてきた。妄想だけど。
ついでに言うと、こういう声も聞こえた気がする。
「俺は肉。太陽の光と炭火で焼いてくれ。脂がじっとりと表面に浮いてきて、お前たちの頭も浮かれてきた頃、トングでひっくり返して欲しい。無造作に適当に。雑な感じでひっくり返された俺は、ビールとの扱いの差に、嫉妬という名の業火で自分自身を焼き尽くしてしまうだろう。そこで俺に気づいて欲しい。焼き過ぎないところで俺を網からすくい上げて、塩で食べてほしい。タレはいらない。コチュジャンもキムチもサンチュもいらない。塩一択。俺を味わって欲しい」
私は妄想に従った。
そして、肉や野菜を焼いた。ビールも飲んだ。それ以外のお酒も飲んだ。
冷凍の焼きおにぎりも焼いた。
ついでに言うと、ポップコーンも焼いた。
全然、ポプポプしなくて、直火をあびせた。
出来上がった。
バーベキューは楽しかった。
そういえば、蚊はいなかった。夫と長男が虫除けスプレーを撒きまくったおかげだ。快適だった。
私は好きなだけ肉を喰らい、酒を飲んだ。
色々飲んだ。
昼間にバーベキューをしたもんだから、腹一杯になって夕方に昼寝をした。起きたら頭が痛かった。飲んだその日のうちに、二日酔いになった。二日酔いの言葉の意味を問いたくなった。でも私はまた、同じような失敗を繰り返すだろう。
秋、それはBBQの季節。