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ごはんがあったって、タコスを食べてもいいじゃない。

梅雨の中日。

その日の福岡は暑かった。そして金曜日だった。ビールを飲むのに最適な金曜日。そんな日にいつものようにごはんくて困る、なんてことはなかった。
うちにはちゃんとあった。米もごはんも。でも、その日の私に必要なのは米ではなく小麦だった。それに気づいたのは米を炊いた後だったけれど。

私はその日の朝、ごはんを炊いた。夜ご飯の分まで。食べるか食べないかもわからないのに、ルーティンだからと大量に炊いたごはんを、かなりテキトーに一膳分に分けて、ぴっちりとラップに包んで、冷蔵庫にしまった。

ごはんは夜食べられるだろうと心待ちにして、冷蔵庫に待機している。
しかし、そのごはんたちと一緒に食べるべきおかずのことを考えると私は憂鬱になった。

冷蔵庫や冷凍庫にはおかずが作れるような材料はあった。でも、何も作る気にはならなかった。
なかったのは、私のやる気だった。

私はその日の朝、何が食べたいのかがわからなかったのだ。自分の食べたいものすらわからないなんて、エンゲル係数が高いと自負している私にとって、恥でしかない。恥ずかしい。穴があったら入りたい。

「あなたの食べたいものは何ですか?」
「いや、ちょっと……よく、わからな……」

「何ですと? 食いしん坊の名は剥奪です! お母さんのお腹から出直してきなさい!」

みたいな。
穴の話はどこに行った。穴があったら、出て行きたい。

そんな朝だった。

晩ごはんのメニューが決まらないと嘆いている私に、次男が言った。
「鶏肉があるなら、焼いてパンに挟めばいいやん」

なるほど! うまそうやな、それ!
私に必要なのはパンらしい!
ごはんを前にしてパンという2文字を耳にし、一気にテンションが上がる私。

その日の仕事中の私は、鶏肉をパンに挟むことばかりを考えていた。食パンかなぁ。サンドイッチパンかなぁ。ホットドック?

いや、ここはあえてのピタパンじゃね?

と言うことで、仕事終わりに私は業スーへ向かった。業務スーパー。その名も業スー。
ピタパンがありそうな冷凍庫へといそいそと向かう。ふふ。今日の晩御飯はピタパンよ。ピタピタのパンパン。ちょっと焼いて、半分に切って、真ん中をこじ開けて、いろいろ詰めつめするの。ピタパンに。

みたいなウッキウキで行ったのに。行ったのに。行ったのに!
ピタパンがなーーーーーーーーーーーーーーーーい!

え? 予定と違う。
私のイメージしてた晩ごはんはどこ?

と言うことで、私は予定を変更してタコシェルとトルティーヤを買うことにした。タコスもうまいよね〜と、ひき肉と鶏もも肉も購入。(鶏肉は冷凍庫にあったけど、むね肉だったから解凍せずに、新たに購入)

エセタコミートの作り方

①挽肉を炒める
②トマトソース、焼き肉のタレ、ケチャップをテキトーに入れて炒める

おわり

なんちゃってタコスの作り方

①レタスを千切る。
②レタスを洗う。
③トマトを切り刻む(洗ってから)
④加熱せずに食べれるチーズの袋をビリビリ破る
⑤めっちゃ蓋の硬いサルサソースの蓋を夫に開けてもらう
⑥「スプーンがないよ」と言われて台所に取りに行く
⑦「ほらよ」とスプーンをサルサソースの瓶に突っ込む
⑧とりあえずビールを飲む
⑨タコシェルまたはトルティーヤにレタス・トマト・エセタコミート・チーズ・サルサソースを乗っける

できたよ

パクッと食べる。
タコシェルのカリカリっとした食感と、タコミートの旨み、レタスのシャキシャキ、サルサソース、チーズのマリアージュが最高にビール!!

野菜が食べたいな〜と思ってテキトーにオリーブオイルで炒めた茄子としめじ、ピーマン、にんじんなんかものっけちゃったりして?

鶏もも肉は皮パリで焼いて、カットして、一緒にのっけちゃったりして?

ああ、たのしっ! ビールがすすむくん。
私が求めていた金曜日のばんごはんがここにあった。




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