見出し画像

GUのメイク品は売れるのか?|GUのメイクをマーケティング的に分析してみた

こんにちは、さるこじといいます。

昨日、GUが新しく発売するコスメブランド「#4me by GU」について、
なぜメイク品を発売したのかについて考察してみました。

今日はより具体的に、マーケティング的な視点から「#4me by GU」を分析し、「#4me by GUは結局売れるのか?売れないのか?」について考えてみました。

PEST分析

まずは外部環境の分析です。

外部環境分析によく使われるPEST分析に則って、下記の表にまとめました。

画像1

やはり現在はコロナウイルスが、政治的・経済的・社会的に大きな影響を与えています。

特に今回の「#4me by GU」に直接かかわるところで言うと、メイク品の売り上げが軒並み大幅減少しています。
(特にマスクで隠れる部分。アイメイクへの影響は割と小さいです。)

正直これはGUにとっても「予想外」の出来事だったでしょう。
SKU数・リードタイムを考えると、最低でも1年前にはある程度ラインナップは決まっていたでしょうし、リップを2品も開発しているところをみると、この傾向がみられた時にはすでにラインナップの変更ができないところまで来ていたでしょう。
「マスクによって乾燥する」など消費者の声を反映した、と記載がありますが、正直4か月程度で処方内容を変更して納品できたとは考えづらいです。

ただ、悪い影響ばかりではなく、経済の悪化によって消費者の財布のひもは固くなることは、むしろプチプラブランドにとっては追い風になるでしょう。

STP

ターゲット層としては、アパレル同様「10-30代前半のファッションには興味があるけどあまりお金をかけない、もしくはかけられない」層がターゲットになるかと思います。
ポジショニングもアパレルと同じく「ファッショナブルかつ低価格」になるでしょう。
実際にメイクブランド、メーカーとマッピングによって比較をすると以下のようになります。

画像2

明確なポジショニングを確立しており、これまでに同様のメイクブランドはほとんどありませんでした。
ファッショナブルかつ低価格なメイク品が少なかった理由の一つに、化粧品の包装にこだわりおしゃれにしようとすると原価が青天井に跳ね上がることがあります。
例えばshiroやTHREEで多い、「マット仕上げ」はそれだけで原価が2~3割上がることもざらです。
「#4me by GU」は、原価が大幅に上がる加工はせずに、上手くデザインを作っているなという印象です。

4P

各商品の具体的な特徴、価格はこちらの記事にあります。

最後に4Pの視点で具体的な中身を分析しました。
表にまとめたものがこちらです。

画像3

・Product
‐豊富なカラー展開
‐落ち着いたナチュラルな色味
‐おしゃれなパッケージ
‐国内工場生産
‐日本産植物エキス配合

特徴は色味とパッケージです。
ファッションに馴染ませやすいナチュラルな色味で、カラー展開も豊富です。
いきなりこのSKU数で始められるのはさすがです…
また、上でも書いたようにおしゃれなパッケージは言わずもがな重要な要素です。
また、この価格で国内工場生産はすごいですね。100均や3コインズなどのコスメは中国・台湾製がほとんどです。

・Price
一番の強みですね。
・リップスティック 全8色 各590円+税
・クリームアイシャドウ 全4色 各590円+税
・リップグロス 全3色 各790円+税
・マルチパレット 全3色 各1,490円+税
と、手に取りやすいお手頃な価格となっています。
パッケージが似ていると話題のshiroは3,000~5,000円、
THREEは3,000~6,000円が製品単価であることを考えると圧倒的な低価格です。
先にも書きましたが、ファッショナブルなデザインながらも価格を抑えられるように容器のデザインが工夫されています。
例えば、容器に色味を付ける場合、
①上から塗料を吹き付ける方法
②プラスチックの生地に顔料を練りこむ方法

の2種類があるのですが、①のほうがデザインの再現の幅が広くコストは高いです。(マットやグラデーションは①でないと表現できません。)
今回、GUは②の方法を使っているように見えますが、落ち着いたグレーの色味にすることでチープさを払拭できているように思います。

・Promotion
マスメディア、SNS、Web、リアル店舗でバランスよく王道のプロモーションをしているように見受けられます。
GUの認知度があるので、奇抜なことをしなくても認知取っていけるのが強いですね。

・Place
自社店舗と自社ECでの販売です。
製造小売業のため、卸・他社小売り店を挟まないので原価率が多少高くても採算が採れるのが強みです。

結論:「#4me by GU」は売れるのか?

プチプラへの追い風、これまでにあまりないポジショニング、GUの知名度・露出の多さによって、スタートは好調に売れていくのではないでしょうか。
とはいえ、1SKUあたり2,000個/月売れれば良いほうかなと。
そうすると、年間の売り上げが約2.5億円です。
全体の売り上げが3,000億円弱の会社からするとちょっと物足りない数字です。

継続的に売り上げが拡大し、収益の柱になるかどうかは前の記事でも触れた「有明プロジェクト」がうまく機能し、メイク品分野でも効果を発揮するかどうかにかかってきます。
トレンドをいち早く読み取った製品開発、効率的な在庫管理・物流が実現できれば、他社にとって参入障壁の高い良い事業になるのではないでしょうか。

では。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?