見出し画像

ちょっと注意されるだけで、「私、生まれてこないほうがよかった?」と聞く女の子の心理




ある5歳の女の子の話



バス停でたまたま居合わせた、ある親子のお話です。

小走りしていた女の子が、私の荷物にあたりそうだったので、ママが軽く注意をしました。

ここまでは、よくある風景。

足を止め、振り返った女の子が言った言葉が、これ。



「わたし、生まれてこないほうがよかった??」


はい?
もしもし?

ママも、そしてそばにいた私も、しばし時が止まる。。。

そして、軽くフリーズしている大人たちに、またこの子が重ねてくる。

「ねえ、わたし、生まれてこないほうがよかった?ねえ、ねえ!うわあーんえーん」


こ、こ、こわいよー


ちなみに、この女の子は5才くらい。


5才で、この状況でこの言葉をチョイスする思考回路を、ついつい研究してしまう私。

あくまで推測される範囲で、あれこれ考えてみることにします。

白黒、0か1かの世界観

まずね、
ひとつ目は、認知の歪み。

白黒つけたい。
1番が、それ以外か。
ちょうどいい中間のバランスがなくて、マルかバツの世界を自ら選択し、設定している。


どうしてそう考えてしまうかというと、

状況を読み取る力が、弱いから。

ちなみに
状況がわかる、読み取れる、というのは、

今がどういった場面で、自分は今ここで何をどのようにすればいいのかがわかる、ということ。


状況には、人の情報も含みます。
この人は、こんな人で、こんなことをしてくれる、などの情報。


状況を読み取る力が弱いと、
今、ここで、自分が何をしたらいいかわからず、不安になります。

そうすると、その不安を解消するために、
自分のルール、マイルール、マイ設定を作る。

わかる世界を自分で作り、そこに相手を当てはめようとする。

執着や、頑固さって、
もともとは、こんなふうに、自分の不安を解消するために、自分を守るために作られたもののひとつ。

だから、
まず大事なことは、
周囲がその子のマイルールに振り回されずに、

なにがこの子にとって、わかりにくい状況なんだろう?と、その子の理解の不十分さを埋めてあげることです。


一見、言葉が達者で、
なんにも手がかからない子に、見えるかもしれません。
むしろ、真面目で頑張りやさんで、年下の面倒もよくみてくれるとか。

(↑これらも実は、大人が望む、褒められやすい言動のパターンを再現している可能性が大です。というか、正しいルールというのは、学習しやすいから。)


そんな評価を受ける子どもでも、

こうしたちょっと違和感のある言葉、極端な解釈があれば、
生活の様々な場面で、十分わかるように配慮をしてあげる必要があるかなーと思います。


感覚の過敏さ


もうひとつ、この子がおそらく苦手なのが、
感覚の過敏さ、
そして体の動きの不器用さ。


例えば、ちょっとでも服が濡れると着替えたがるとか、
手に糊がベタベタつくのをとても嫌がるとか。


周りの友達がダイナミックに砂場やプールで遊んでいるなか、
ちょっと離れたところで、身を固めて立ち尽くしている。

で、外から口だけ挟んでくる。ちょっと多弁さがある感じ。


感覚面で苦手さがあることに加え、

自分の体を具体的にどう使って遊んだらいいか、体のイメージが薄いことも。


一見、元気に走り回ったりもするし、
鉛筆やハサミの持ち方も、さほど気になることはないかもしれません。だから気づかれにくい。

でも、
イメージをもって、具体的に体を動かすって、実は結構むずかしいこと。

なんだかうまく、遊べていないかも?という場面が、度々あります。

この子へのアドバイスって?


さて、こんな分析をしたあとに、
では、どうしたらいいか。

家庭で取り組むなら、そうだなあ、
粉もののクッキングかな

え?なにそれ?

絵本の「しろくまちゃんのホットケーキ」、
例えば、あの本を一緒に再現する

粉がとびちるのもOK
卵がうまくわれなくてもOK

ちょっとくらい粉や卵のベトベトが手についても、楽しみが勝つから、濡れおしぼりで拭いてすぐ気持ちが立ち直る。

がたごと動くボールを支えながら、
泡立て器をぐるぐる。
両手のコントロールが必要だし、重たい生地を混ぜるために体幹にも力が入るから、腹筋も使う。

お玉で生地をすくって、手首を返しながらフライパンに流し込む。

フライ返しでひっくり返すのも、手首のコントロールが必要。

手順をイメージしながら、具体的に道具と合わせて体を動かし、
最後の焼き上がりまで、段取りのイメージもつく。

このタイプの子たちは、
問題解決のイメージも薄いので、
ちょっとでもうまくいかないと、過度にどきどきしてしまう。

テーブルに飛び散った粉や生地は、拭けばいいし、
エプロンをすれば洋服も汚れない。
ということ(さえも!)を教えていく。

不安や、不快を取り除いたり、
こうすれば大丈夫、という解決方法を伝えると、

安心して、人と一緒に活動できたり、学べることができます

そして活動の面白さに気づいたり、人とより親しくなってくると、
過敏さが軽減したり、不器用でも意欲は十分に引き出されてくる、ということがよくあるのです。

子どものちょっとした言動でも、違和感を感じたときに、流さないこと。

発達の知識を使うことで、子どもの背景を理解することができる。

子どもは自分から説明できないからね。

発達のあれこれを知ることで、子どもの言動を誤解することが減る、と私は思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?