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ポアロシリーズ

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#名探偵ポアロ

あのポアロが脇役で黙っていられるはずない『三幕の殺人』※ネタバレあり

あのポアロが脇役で黙っていられるはずない『三幕の殺人』※ネタバレあり

ポアロシリーズ9作目『三幕の殺人』

この作品もなかなか異色な構成で、私の大好きなヘイスティングズはおろか、ポアロすら後半までほとんど出てこない。ストーリーの大半は、メインとなる登場人物らが素人探偵団的な動きをしているのを読ませられているという印象だ。

※以下、犯人が分かるネタバレ箇所があります。未読の方はご注意ください。

今回はクリスティー作品にしては珍しく?ラストにぞくっとさせられる。スッ

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ミステリーと必然性

ミステリーと必然性

ポアロシリーズ8作目『オリエント急行の殺人』。

7作目を読んだ後すぐに読み始めたので、年末までには読み終わっていたが感想をずっと寝かせてしまっていた。なんでも溜めてしまうよくない癖がでている。細かいところはすでに忘れてしまっているので思い出しながら書いてみようと思う。

※ネタバレはしていませんので、未読の方も安心して読んでいただければと思います。

ポアロシリーズの中でもダントツで有名なだけあ

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最後まで手のひらの上で転がっていた

最後まで手のひらの上で転がっていた

ポアロシリーズ7作目『エッジウェア卿の死』

私にしてはえらくハイペースで読み進められていて、自分でも驚いている。
前作の邪悪の家と同じくポアロとヘイスティングズのコンビがメインとなるストーリーなので、馴染みやすかったというのが一番の理由かもしれない。スタイルズ荘、ゴルフ場殺人事件の頃はまだ探り探りだったが、このあたりで2人のキャラが定まってきたような印象を受ける。その分、お互いへの軽口も増えて小

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やっぱりこの2人でなきゃと思わせる一冊

やっぱりこの2人でなきゃと思わせる一冊

ポアロシリーズ6作目『邪悪の家』。

この作品もタイトルは知らなかった。ただ、家(館)というタイトルからは何となくミステリーの定番である館ものを想像させるなという印象。
ところが蓋をあけてみると、館の要素はそれほど感じられず、タイトルになるほどの存在感はない。それでも今回は読後の満足感が強かった。これはひとえに、私の大好きなあのコンビが復活していることにあるだろう。

※ネタバレは極力控えているの

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舞台の魅力と並存する素朴さ

舞台の魅力と並存する素朴さ

前回から随分間があいてしまった。

ポアロシリーズ5作目
『青列車の秘密』

クリスティーの列車ものだとオリエント急行殺人事件が有名すぎるからなのか、この作品はタイトルすら初めて聞くものだった。

内容としても比較的シンプルな作りで、特に目立ったしかけや見せ場もない。普段犯人のことは考えずに読むが、今回は早い段階でもしかしたらこの人かもなぁと目星をつけていた人がそのまま犯人だった。なにせクリスティ

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